「またいつか」を信じて。
三寒四温に花粉の飛散。
風邪を拗らせるのには絶好の環境において、私の中の免疫細胞は今年も我慢ならないようだ。
大型の商業施設に向かって市電沿いに車を走らせる。久しぶりに窓を開けるとミシっという音がした。同時に心地よい穏やかな空気が車内に流れ込む。
目的地が同じだろうか。春色を身に纏った街ゆく人々はどこか顔が綻んでいるように見える。
同じ毎日が続いていくことを羨ましく思った。
彼ら彼女らはそれを信じてやまないだろう。信じることすら愚かなのかもしれない。
春はあまり好きになれない。多分これからもそうだろう。
別れがあるから出会いがある。そう自分に言い聞かせても、愁いだ。
「またいつか。」その言葉が実現することはほとんどない。
心のどこかではわかっていても一時の憂いを解毒する。
出会えたことに感謝して、別れにとことん泣いて憂いを分かち合うこと。
それがこの街で愛してくれた人たちへの恩返しになる。
出会いよりも別れを大切に。
そんな人がこの世界の大多数を占めれば「またいつか。」という言葉は本当の意味をなすと思う。
愛してくれた街、人、景色、全てに愁いて、憂いて。
明日も生きてゆく。
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