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路線バスの本数が増える/減る要素

路線バス(ここでは乗合路線バスを念頭に置きます)の本数の決まる条件は意外と多いのです。

本数が増える要素例

・人口、人口密度が高い
・双方向の需要がある
・自治体が補助金を出す
・高齢化率が高すぎる
・18歳未満が多い

減る要素例

・資金力不足
・乗務員不足
・競合輸送機関がある
マイカー、タクシー、鉄道、送迎バスなどがこれにあたります。病院や学校だと、送迎バスの方が本数が多いこともありますし、無料で乗れることも多いです。

操車場、待機場の場所が悪い、狭い
乗客は意識しないけれども、重要な点。鎌倉駅前の待機場が狭すぎて、駅前ターミナルの改修によってこれ以上狭くなると営業所まで毎度回送しなければならない・・・というような記事を読んで、主要駅等の待機場が狭いと営業所まで回送をする往復の時間分営業運転ができなくなり、本数が減る傾向に働きます。つまり主要駅などには充分なバス待機場(時間調整だけでなく、乗務員休憩用の駐車分を含む)が必要という事です。コンビニ等があるとなお良いですね。

・道路が悪い
道路状況が悪い(カーブや急勾配が多い)=表定速度が遅くなる」と、バス会社にとっては、その路線の収支は悪化します。バス運賃は所要時間では決まらず、距離で決まるからです。また、運転士の乗務時間は「今日は8時間、次の日は10時間」のように決まっており、距離が同じでも所要時間が長いと、1日に往復する回数が減る傾向に働きます。距離が同じなら速度は速い方が良いのです。
あとあまりにも乗り心地が悪いと、乗客に酔う人が出て敬遠されることもあります。
・接続が悪い
接続が悪いと利用者が減るので、他の交通機関に切り替えて、バスに乗らなくなるからです。
・バス停の場所が悪い
例えば、バス停が駅の改札口から離れていると、その距離を移動するだけで疲れてしまうので、タクシーやマイカーに切り替える人が出やすいです。

・道路が狭い
「道路が狭いと、大型車が入れない→割高な小型車を導入→収支が悪化→本数減」
「道路が狭いと、大型車が入れない→割高な小型車を導入→乗り切れず乗車を断る→利用者が減る→本数減」
「道路が狭いと大型車が入れない→小型車は割高なのでバス会社には購入できない→路線廃止」
多くのバス会社が導入している日野ポンチョは路線バスの車両としては割高で、しかもコミュニティバスなど、元々人口が少ない地域が多いので、バス会社の経営を悪化させる方向に働きます。
コミュニティバスで多用されているハイエースは、10人しか乗れないので、定員オーバーが心配されます。

【私案】準中型二種免許の新設

最後に、話が脱線しますが、準中型二種免許を新設するのが良いのではと考えています。14~17人乗り(車種はハイエースコミューターなど)まで運転できるようにするものです。
これにより、従来は10人乗りハイエースまでが限界だったタクシー・ハイヤーや介護タクシー事業者もコミュニティバス事業に参入しやすくなるかな、と思います(現行では、予約制乗合タクシーや、デマンドバスなど数人程度の輸送にしか対応できていない)。
また20~29人という需要だと、路線バスではポンチョ、送迎バスでは既存のマイクロバスで良く、それとの棲み分けを考えると準中型二種免許は14~17人までとするのが妥当。
準中型二種免許は、普通ないし準中型一種を保有してから1年以上経過していることを条件とします。車両の重量については準中型と同じです。

「14~17人乗りの準中型二種免許」を導入するメリットは以下です。
全長が短いのでポンチョすら入れない狭い道路を走れる(路線バス)
ポンチョ(ショートモデル):6.29m
ハイエースコミューター(14人乗り):5.38m
これにより、狭隘バス路線の減便・廃線を避けることができます
・宿泊業、飲食業、自動車教習所、温浴施設、結婚式・葬儀場、ゴルフ場などサービス業の送迎バスに10~16人(団体客)の需要がある(特に古い旅館だと中型車が入れない場所もありそう
中型車では転回が難しい、団地やマンション、個人宅の駐車場、敷地内にも入っていける→サービス業におけるシームレスな送迎を実現!
スポーツ遠征での貸切バスの需要がある。チーム競技では10人乗り1台での輸送は困難。
中型車は車両購入費・維持費が高い、駐車場の場所を取る、運転が難しい

まとめると、「10人乗りハイエース以上、30人乗りポンチョ未満」の需要を拾いつつ、狭隘路線も走れる車をもっと運転させよう、という意味合いです。

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