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食品ロスについて考える~季節商品のプロモーション~

流通経済研究所

主任研究員 鈴木雄高

こんにちは。10月のイベントといえばこれ!といえるほど、日本でもすっかり定着した「ハロウィン」。
そして10月は「食品ロス削減月間」でもありました。今回は、食品ロスについて考えます。

定着したハロウィン市場

 10月中旬、最寄りのスーパーマーケットに足を踏み入れると、華やかに飾り付けられた菓子売場が視界に飛び込んできた。特設売場に並ぶ商品のパッケージには、カボチャやコウモリ、お化け、仮装したキャラクターなどがあしらわれている。ずらっと並んだ商品の中、甘い粒に混ざって、激辛の粒が入った袋入りのソフトキャンディが目に留まった。家族で楽しもうと思い、購入した。
 モノ消費からコト消費という文脈では、ハロウィン向けの商品と謳うことで、ハレの日のコト消費を促していると言え、顧客への価値の提供という面からは、華やかな売場での買い物や、家族や仲間と過ごす時間といった経験価値を提供しているという見方ができる。

食品ロス削減月間

 ところで、10月が「食品ロス削減月間」であり、ハロウィン前日の10月30日が「食品ロス削減の日」だということをご存じだろうか。これらは「食品ロスの削減の推進に関する法律」の第9条で定められている。今年は、多くの自治体が、家庭で余っている食品を持ち寄ってもらい、集めた食品を各地のフードバンク団体などに届ける「フードドライブ」を行っていた。こうした取り組みを通じて、「食品ロス削減月間」や「食品ロス削減の日」が(ハロウィンが短期間で多くの人に認知されたように)定着していくだろうか。

食品小売業による食品ロス削減の取り組みタイプ

 わが国の食品ロス量は、推計が開始された2012年度は642万トンだったが、2020年度には522万トンにまで減少している。ただし、2020年度の食品ロス量が少なかったのは、コロナ禍ゆえの異常値であると考えられる。また、食品小売業から出される2020年度の食品ロス量は60万トンと、2012年度の58万トンよりも多く、削減への取り組みを一層推進することが期待される。
 食品小売業が実践している食品ロス削減の取り組みは多様で、大きく分けて次の3つのタイプがある。

  1. 発注の精度の向上

  2. 販売期限内に売り切る

  3. フードバンク団体への寄贈

1.発注の精度の向上

 AIを活用することで、高精度で需要予測を行い、発注数を決めるものが主である。賞味期限の短いデイリー商品にセミオート(半自動)発注を導入しているローソンや、AI自動発注の対象カテゴリーを広げようとしているライフコーポレーションなどの事例がある。店舗、期間、対象商品を限定して、自動発注精度の検証実験を行っている小売業もある。

2.販売期限内に売り切る

 従来からスーパーマーケットなどで行われてきた、賞味期限が短い商品の値引き販売などがこれに相当する。近年ではコンビニエンスストアでも同様のことを行うようになってきた。セブン-イレブンではエシカルプロジェクトと称して、販売期限が迫った商品を購入するとポイントを付与している。値引き販売と似ているが、「お得感」の訴求と同時に、「良いことをしている」という意識づけにもなる点が特徴的だ。

3.フードバンク団体への寄贈

 前述のハロウィン向けの菓子のように、販売促進期間が終了して店舗のバックヤードに戻された食品を、フードバンク団体に提供するものがある。ハローズやカスミなど、多くのスーパーマーケットが地域のフードバンク団体と提携し、この取り組みを進めている。中身には問題がないが、パッケージの破損などにより販売できなくなった食品も寄贈対象となる。また、顧客に、自宅などで余っている食品を来店時に持ってきてもらい、寄贈してもらう「フードドライブ」のボックスを店頭に設置する事例も増えている。マルエツ、コープみらいなどが取り組んでおり、ファミリーマートも全国でボックス設置店舗を増やしている。

祭りの後

 10月31日のハロウィンが終わると、店頭からも、ハロウィン向けの商品は撤去される。売れ残った商品は、一部が特売商品のコーナーに並び、それ以外はバックヤードに運び込まれることになる。その商品の中身は既存商品と同じで、パッケージだけを変更したものも多いが、通常のパッケージの商品が定番売場に陳列され、定番価格で販売されていても、ハロウィン向けの商品は、値引き販売や廃棄の対象とされてしまうのだ。

目指す社会のビジョンを示せるか

 食品小売業が需要を創出するためには、コト消費を促したり、経験価値を提供するなど、積極的にショッパーマーケティングを仕掛けることが重要である。一方で、食品ロスの削減も取り組むべき課題である。
 食品ロスの発生を抑制するには、前述の、「1.発注の精度の向上」、「2.販売期限内に売り切る」、「3.フードバンク団体への寄贈」を組み合わせて行うことが肝要である。特に、2と3を進めるためには、顧客や地域の団体などのステークホルダーに、「自社が目指す社会のビジョンを示し、共感を得る」ことが必要になるはずだ。