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「知性をケアする」スピノザ『知性改善論』ゼミ初回レポート#2

先日、5月23日(木)22時より、佐々木講師によるスピノザ『知性改善論』ゼミ#2が行われました。今回も20名弱の方にご参加いただきました。ありがとうございました。

今回は、講談社学術文庫版で14ページから19ページまで、第6節(B6=A2)から第14節(B14)を読みました。真の善を探究すべく、富、名誉、快楽といったものを手放すべきか、あるいはこれらもまた使いようによっては完全性に至る手立てとなるのではと逡巡するスピノザの姿が目に浮かぶような記述が続く箇所でした。

今回、佐々木さんは原文にある"modo possim penitus deliberare"(深く熟考することができれば)というラテン語が二箇所に出てくることに着目しました。そして、この"deliberare"が「熟考する」という意味に加え「重さを測る」という意味を持ち※、まさに、大衆的な善(富、名誉、快楽)を享受する通常の態勢(institutum)と、これを捨て去って最高善の発見を目指す新たな態勢をとるべきか、どちらが有益かのあいだで揺れている=疑っている、その緊急性にあって熟慮を強いられているスピノザの状態を丁寧に読み取り、解説されていました。

※英語のponderが「重さを測る」と「じっくり考える」の二つの意味を持つのと同じとのことです。

また、参加者の方から「第三種認識」「直観知」について尋ねられた佐々木さんは、ドゥルーズのスピノザ講義において、それが外部の力を自身の内部に直面し把捉しているかなり奇妙な「自己意識」として説明されていること、また、ドゥルーズはこれを芸術の問題に繋げて論じていることを紹介されていました。
ちなみに、ゼミ内でも紹介のあったドゥルーズのスピノザ講義(March 31, 1981)は下記のURLから読むことができます。


次回は、5月30日(木)22時からです。これまでの動画もアーカイブでご覧いただけます。興味・ご関心お持ちの方は、ぜひお気軽にご参加ください。

こちらのゼミについての詳細・お申し込みにつきましては、ホームページPeatixをご覧ください。

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また、ソトのガクエンの哲学思考ゼミにご参加いただきますと、月額制で、佐々木講師担当の古典ゼミだけでなく、基礎ゼミ、シネマ読書会、表現スキル思考ゼミ、大学院進学情報&原書ゼミにもご自由にご参加いただけます。ゼミメンバーであれば、これまでのゼミのアーカイブをすべてご覧いただけますし、専用Discordにて他のメンバーの方々とも交流していただけます。
哲学思考ゼミのメンバーも随時募集しておりますので、興味おありの方は「哲学思考ゼミ」のページをご覧いただけますと幸いです。


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