スポーツ外傷・障害の評価 スペシャルテスト編
こんにちは、でぐのぶ(@Degunobu)です!
前回のROM編に続いて今回はスペシャルテスト編です!
ここまで読んできてくれているなら、もうあなたの評価はかなり機械化されたプロセスになっていることでしょう!!
スペシャルテストはほぼ最後の確認のような存在だと僕は考えています。
ですが!
スペシャルテストが下手だとやはり結果に差異が生じてしまいます。
また、よく聞くけど感度や特異性って何?どういうことなの?という人もいると思います。
ですので前半はスペシャルテスト上達のポイントを、そして後半は感度・特異性について説明していきます。
スペシャルテスト上達のコツ
・スペシャルテストを理解する
・陽性になる理由を知る
・練習
です。一つずつ見ていきましょう。
・スペシャルテストを理解する
何事もやみくもにやるだけでは成長のスピードは上がらないと思っています。
一昔前(今も?)に流行った英語学習ツールのスピードラーニングを皆さんはご存知でしょうか?あれも聴いてるだけで英語が話せるようになる!って言ってますけど、正確ではないですよ。
冊子がついていて、何て言ってるか書いてあるんですね。
まずはそれを見ながら、何を話しているのかを分かっている状態で英語を聞き取っていくからリスニングが伸び、フレーズを覚えていけるんですよね。
例えば、意味も何と言っているのかもわからない状態でフランス語のCDを永遠に聴いていてもフランス語は上達しませんよ。
(すみません。英語を死ぬ気で勉強していたころのトラウマが蘇り、本編には関係ない部分で熱くなってしまいました笑。)
何が言いたいかと言うと、ポイントを押さえないとダメですよっていうことです。
スペシャルテストのポイントはテストのやり方、結果、その結果何が言えるのかということですね。まずここを参考書を見ながら身につけることが重要です。
・陽性になる理由を知る
次に重要なことは陽性になる理由と症状が出る部位だと考えています。
陽性になる理由
例1:膝のラックマンテスト
陽性になる理由はACL(前十字靭帯)の損傷のために、脛骨の前方への動揺性を制限することができないので、エンドフィールなく脛骨が前方に動いてしまいます。
こんな感じで、テストのメカニズムを解剖学的に理解すると予測される外傷も納得しやすくなると思います。
症状が出る部位
例2:骨盤帯のパトリックテスト(FABERテスト)
このテストは痛みの出る場所によって、予想される障害が違います。
仙腸関節部に痛みがあれば仙腸関節炎、股関節前部に痛みがあれば股関節前部の痛みと予想されます。
ただ痛みの有無を訊くだけで、yesと答えられて自動的に陽性と考えるのではなく、痛い部位をしっかり確認することが重要です(急性期などでは持ってる手の部分が痛いということも少なくないです)。
例2においても陽性になる理由がわかれば、おのずとその部位に症状が出るのもわかるはずです。
・練習
あとはここまでに挙げたポイントを押さえてひたすら練習あるのみです!
アメリカンフットボールの男子選手と体操の女子選手ではテストのやりやすさが全く違います。年齢、性別、体格、いろんな人に試させてもらいましょう。
ここで一点注意ですが、スペシャルテストはストレスを与えるテスト(痛みを誘発させる)が多いので、慎重に練習させてもらいましょう。
アキレス腱が切れてるかもという人に、せっかくなのでと何度もトンプソン・スクイーズテストを試すことは、患者の立場に立つとどうなのかなど考えるといいと思います。
では後半は、感度と特異性についてです。
↑この画像はsensitivityで検索して出てきたものです↑
感度と特異性
・感度(sensitivity):真陽性になる率
・特異性(specificity):真陰性になる率
これだけ書くとなんのこっちゃって感じだと思います。
真陽性というのは、スペシャルテストが陽性の場合、その病気や傷害を確定できるということです。
(例:ラックマンテストが陽性で、ACLを損傷している)
真陰性というのは、スペシャルテストが陰性の場合、その病気や傷害を除外できるということです。
(例:マクマリーテストが陰性で、半月板損傷をしていない)
ではこれらを評価の時にどう生かせばいいでしょうか?
感度が高いテストが陰性の場合は除外(rule out)に、特異性が高いテストが陽性の場合は確定(確定っていうとちょっと語弊があるかもしれませんが、可能性に入れるくらいのニュアンスで受け取りください)にします。
感度が高い=陽性になる可能性が高い⇒それでも陰性なら、怪我をしてない可能性が高い
特異性が高い=陰性になる可能性が高い⇒それでも陽性なら、その怪我している可能性が高い
ということなんです。
上記のようにスペシャルテストの結果を受け止めて最終的な判断に生かしています。
最後に注意点ですが、全てのスペシャルテストが感度が高くかつ特性も高いわけではありません。
テストによっては感度も特異性も低いものもあります。信用が低いテストの結果を過度に信じすぎるのも問題になるという点を忘れなく。
最後に最も重要なことは、そのテストを「正確に行える」ということです。スペシャルテストを正確に行ったという前提の元で、MRIなどの画像を比べて、感度や特異性を調べています。
感度や特異性を考える前に、まずテストを正確に行えるように技術を磨く必要があります。
アメリカで使用していた下の本↓にはテスト毎の信頼度が書いてたと思います。
まとめ
スペシャルテストを理解した上で練習することや、感度や特異性をとおしてスペシャルテストの結果に対する考え方がおわかりいただけたでしょうか。
感度や特異性を調べている論文もたくさんありますので、pubmedとかで検索してみてください。
感度や特異性がいくら高くても、テストのクオリティが低いと結局間違った結果に繋がってしまうので、最後は練習がものを言います。周りの人の身体は借りれるうちに練習しまくりましょう!
では次回、最終話のまとめ編も宜しくお願い致します。
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