Blankey jet city「last dance」

自分が最も良く聴いた日本のバンドは3つ、サザンオールスターズとミスターチルドレン、そしてブランキージェットシティだった。  

サザンオールスターズは90年代からすでに「国民的バンド」といわれミリオンセラーを連発していた、ライブでは大所帯の楽器隊とダンサーが現れ、派手な演出でブランキーとは「水と油」と言えるぐらい真逆のバンドだ。

ミスターチルドレンが出てきたのは90年代、シングルやアルバムは飛ぶように売れていた、今は音楽番組やチャートなどみないが、当時のミスターチルドレンの飛ぶような勢いは「ミスチル現象」と呼ばれた。「愛、恋、希望、自分らしく生きよう」そう言ったことがテーマになっているように思える。

その「国民的なバンド」や「ミスチル現象」をよそに、同じ90年代を駆け抜けていたのがブランキージェットシティである。 

ブランキージェットシティというバンドは90年代では浮いた存在だったように思える。まるで「陸の孤島」のようなバンドだった「ミュージックステーション」によく出ていたが、アイドルが出ているような番組に出て欲しくなかった、というのが個人的な感想だ。

自分にとってあまりにも骨太で鋭利な刃物のようでかつ繊細な世界感はあまりにも他のバンドと比べ異質だった。

自分はイギリスのバンドもアメリカのバンドも色々聴いたが他につい従いを許さないと思う。唯一同じようなかっこよさを持っていたのがニルヴァーナだろうか。

そんな中朝日新聞に「最後傑作harem jetsを出してブランキーは解散します」という記事が載った。

最後のツアー「last dance」で行った横浜アリーナでのコンサートが正規のライブアルバムになり収録されている、そして横浜アリーナの後の最後のステージがフジロックフェスティバルであった。

ライブアルバム「last dance」は無駄な音は一切ない余計な加工はしていない、サイドギターすらいない。ギター、ベース、ドラムだけである。

「お前が欲しい」のSEが流れ大きな画面にメンバーの映像が流れ、ライブが始まる。

このライブアルバムの聴きどころは「punkey bad hip」「僕はヤンキー」「dijのピストル」の流れとラストの「baby baby」だ「dijのピストル」では普段寡黙な男、照井利行がギターソロの前に叫び「baby baby」では中村達也がマイクに向かって叫ぶ。ここら辺が聴きどころではあるが、バンドをやっている人はこのライブアルバムは必ず聴くべきだと思う、自分も何度も聴いた。

横浜アリーナの後メンバーはフジロックの舞台に立つ。本当に最後のステージのためか、客の盛り上がりは最高潮に達する。

もうあたりは暗くなってしまったステージで緊張感のある曲をバチバチ演奏する様はあまりにもかっこよすぎる、「ロックの神が降りた瞬間」なんて言葉は陳腐であまり使いたくないが、この時だけはそんな言葉を使いたくなる。

そして最後の曲は「dijのピストル」だった。(幸せな人は意外でした)浅井健一は「バイバイ」とだけ言ってステージを去った。

ここでブランキージェットシティの歴史は終わる。

フジロックのグリーンステージの最後がブランキージェットシティだったのは意味があったように思う、グリーンステージのトリは基本海外のバンドが多くレイジアゲインストザマシーンやオアシス、レッドホッドチリペッパーズなどの猛者揃いだったからだ。

…サザンオールスターズもミスターチルドレンもロックバンドと言われる、だがしかし「本当のロック」はどちらかと言われるとやはりブランキージェットシティを選んでしまう。

ブランキージェットシティはその二者の様に市民権を得られなかった、だがそれでも良い。

だがここまでかっこよい「ロックという音楽」を演奏するのはサザンオールスターズにもミスターチルドレンにもできないことなのだ。

もちろんそれぞれ音楽性が違うのだから「どちらが良い悪い」という話ではない、三者には違う良さがあるからだ。

浅井健一は最近様々なメディアに出ているが、そもそも桑田佳祐や桜井和寿とは違う音楽性なのだから、同じように売れること自体無理があるし、売れなきゃ売れないでそれでいいと思う。

音楽というのは「売れる=いい音楽」というわけでもないからだ、必ずしもセールスでは測れない部分がある。

とはいえ自分は今の浅井健一の音楽はもう聴くことはないと思う。

ブランキージェットシティのようなバンドは今存在するだろうか?

自分が知らないだけかもしれないが。

ブランキージェットシティのライブアルバム「last dance」はロックのかっこよさが詰まっている、ぜひ聴いてほしい。

動画の映像はフジロックですが、これも正規のライブアルバムと映像化を望む。

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