⑦転職失敗。売り手市場で転職時代と言われてますがやはり転職は博打。私の実体験をお話します。七章目

七章目です。
初めて読みに来ていただいた方は大変お手数をおかけしますが、この前の一章目~六章目をお楽しみに頂いてから、本章を読み進めていただけますと幸いです。小説風に営業ストーリーを描いてます。また別で有料記事になりますが転職失敗についての本編記事もありますので、良ければご購入頂きお読み頂けましたら幸甚です。
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ピンポーン!!!


お客さん「はい。」

モミヤマ氏「こんにちは~!!!昨日約束させていただいておりました〇〇のモミヤマです!!」

お客さん「あ、ちょっと待ってくださいね。」

ガチャッ!!

ワイ&モミヤマ氏「(やばい。いよいよか・・・)こんにちは~~。」

お客さん「どうぞ入ってください。」

ワイ&モミヤマ氏「ありがとうございます。失礼いたします。」

と家の中へ通されるオッサン二人。

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中にはご主人が既にダイニングテーブルに座っていて、奥さんがお茶を入れてくれている。すぐそばにはベビーベッドがあり、赤ちゃんがスヤスヤと寝ている。

着席すると、早速モミヤマ氏が気づいて

モミヤマ氏「あ、何か月ですか~?」

と会話をはじめ、ご主人と談笑をしている。

と彼がご主人と話しているのを色々と聞いていたのだが、やっぱりトークがかなり面白い。何と言うか、本当にこう裏表がないというか、お客さんと自然な会話もして、しかも商談の前に何か会話せなあかんからしてるという”ぎこちなさ”がなく、場を和ませているのだ。実は聞いたところによると、モミヤマ氏は今まで訪問販売したお客さんからお中元や手紙なども結構もらうことが多いらしく、何件かのお客さんとは親密な付き合いもあるらしい。

普通、訪問販売で知り合った営業マンがお互いそこまでの関係性を築けるだろうか?しかも買う側で立場が強いはずのお客さんの方からお中元をもらうって役員や管理職レベルで送り合うとかならまだしも、なかなか担当営業レベルではBtoBでも難しいのではないかと思われる。(ちなみにモミヤマ氏の役職はセールスエキスパートで管理職ではなかったと思う)

もはやコンプライアンスがうるさい今のご時世、お中元はもはや風物になってしまったかもしれないが、当時はものすごい人だなという印象だった。

モミヤマ氏「じゃあ、そろそろお話させていただきますね。」

と一冊のフォルダを鞄から取り出して、説明を開始し出した。

製品の資料を広げ、3分~4分だろうか。サクッと製品の説明をして、
いよいよお客さん向けの資料の説明を開始。

製品の説明はゼロというわけにはいかないのだろうが、それでもとにかくモミヤマ氏の説明には無駄がなかった。くどくど製品の優れているポイントの説明は一切せずに、お客さんが購入するにあたり不安に思うところや客観的な製品のポイントを説明していて、わかりやすい。

モミヤマ氏「以上がご主人と奥さまにとって、この製品を導入頂いた場合のお話になります。そして、これまで日本で実際にたくさん普及してきた理由をどうお考え頂くかの資料はこちらになりますが~~~・・・」

と一番落としどころの資料が出てきた。それは昨晩モミヤマ氏と一緒に作りこんだ資料で、私もその資料はモミヤマ氏と作って説明を受けた時にかなり納得していた。(製品のことを明言すると身バレするかもしれないので控えさせて頂くのですが、)その資料にはその導入するメリットとタイミングが今で、今後の世情によってはメリットが薄くなっていく、もしくは損をしてしまう可能性があるということを分かりやすく説明している内容のものだった。

モミヤマ氏「話をお聞きいただいて、率直にいかがでしょうか。」

ご主人と奥さん「・・・・・・分かりました。非常にわかりやすく、丁寧にご説明いただきありがとうございます。今すぐの返答はできないのですが、いつまでに回答をすればいいでしょうか。」

モミヤマ氏「ありがとうございます。実際にお話を聞いて頂いてお分かりいただいたかと思いますが、この製品の導入を考えるときに、正直長く眠らせても、お客様の結論はお変わりないのかなと思います。なので2-3日間ぐらいでお返事いただけましたら幸いです。」

ご主人「わかりました。」

そう、売っていた製品について今でも思うのだが、確かに逆の立場で考えるとほかにやることと言えば、これから相見積もりとって値段の差や製品の差を見るぐらいなのだ。製品の性能などはメーカーで違いはあるだろうが、正直どこのメーカーも一長一短であろうし、そういった売り文句って結局買ってみないと分からないところが多い。やっぱり導入の時の価格になると思うし、この価格がもちろん安ければ安いほどいい。でも、モミヤマ氏の今日の商談は、色々な点で資料や説明が見積価格はほとんど説明せず、お客さんにも意識させておらず、なぜ導入すると良いのかをかなり説明して、導入したときのイメージをお客さんに意識させているのだ。価格が高い安いという話に乗っからせないことと、かなりお安くしてます!値引いてます!とかお得なんですよ!と話をすると他社なら金額いくらになるか、そもそも高い安いの話になってしまうので、極力お客さんが考えれば良い、判断しなくてはならないことはこちらから説明しない、というのがモミヤマ氏の見解らしい。見積書提示のときも価格はこうなりまして、と一応サラッと説明していたが、エッ?と今でもビックリしたのを覚えている。また私がお客さんの立場だったら、正直なところメーカーの営業マンが販売店の営業マンとともにわざわざ訪問販売の商談に同行・同席して説明をしてくれる、というのは他社ではなかなか無いししっかりとした販売店でメーカーからそのサポートを受けられている会社、というその点では安心できる材料かなと思う。


そして、その商談はいったん終わり、返事待ちとなった。

モミヤマ氏「お疲れさん、もぺもぺさん。あんな感じで商談して、フォルダの中の資料は後でコピーさせたるわ。そういえば、話変わるけど、この近くにケーキ屋さんないかな?」


ワイ「えっ?」

モミヤマ氏「いや、ちょっとウッカリしてたんやが、後になって申し訳ないけど、さっきのお客さんのところにケーキ渡しに行ければいいんやけどさ。」

ワイ「わかりました。近くにジ〇スコがありますよ。そこ行きますか。」

そしてジ〇スコでケーキを買い、再度商談したお客さんの自宅に戻り、

ピンポーン!!

奥さん「はい?」

モミヤマ氏「すみません〇〇のモミヤマです。お渡しし忘れていたものがあって、再度申し訳ありません。」

奥さん「はい、今出ますね。」

というわけで奥さんにケーキを渡してお礼をしその場を去り、その後も訪問販売を4-50軒行った。

そして、その帰りの営業車の中、

モミヤマ氏「ケーキを渡したのは、夜に食べてもらって前向きに検討してもらおうと言う意図で、ケーキってところがポイントやねん。ナマモノやし、絶対商談したその日か次の日には食べなあかんし、もらった人や会社のことを連想するから、資料を見ながらどうするかケーキ食べながら、ご主人と奥さんで話することが多いねん。シュークリームとかでもええで。もちろん、もしなんかアレルギーとか食べられない理由で断われたら、ちゃんと持ち帰って自分か自分のところの家族みんなで食べたらええから。」


ワイ「わかりました。(確かに食べるときに嫌でも商談したこと思い出すもんな・・・。物で釣るとかじゃなくてちゃんと理由があるねんな・・・)」

モミヤマ氏「これで大体契約率5%ぐらいはアップしとるで笑ガハハハハ( ̄∇ ̄」

そしてその次の日・・・・、商談したお客さんから連絡があったのだ。

【第八章】に続く

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