人の成長を阻害する正体
メンタルヘルスサポートシステム「LONTA」を使うと、
チームの成長阻害要因が分析できます。
今回も、「LONTA」分析結果からの気づきをご紹介したいと思います。
■ つらい仕事ほど人を成長させる!?
「どうしたらもっと成長してくれるだろうか」
「もっと負荷をかけて成長させないと」
など、
多くのマネージャーはメンバーの成長について、
常に悩みます。
どうすればより成長してくれるのか、
その人の成長速度が速まるのか、
常に考えるわけですが、
「つらい仕事ほど、人を成長させる」
「やっぱり実務経験が一番」
「座学だけしていても成長しない」
といったご意見もあります。
私自身、そういった意見に賛同する部分と、
そうは思わない部分がありました。
というのが、ここ1年「LONTA」を通して、
人材育成を受託していく中で、
・つらい仕事にチャレンジしているが、
やりきる前に、ストレスで体を壊し、転職。
・実務量を膨大に受け持っているけれど、
客観的に見て、周りからの評価が変わらず、
本人も成長実感を得られていない。
・研修を受けた直後はとてもモチベーションが
上がっていたが、数か月後、何も変化していなかった。
といった方々のお役に立てなかった悔しさがあります。
■ 「70:20:10」の法則で活躍している人
「70:20:10」という法則があります。
これは、アメリカの調査会社ロミンガー社が、
リーダーシップ研究において、
世の中で優秀とされている企業の経営幹部に対して、
「どのようなことが自身の成長に寄与したか」
を調べたところ、
70%・・・経験
20%・・・フィードバック
10%・・・教育研修
という結果だったそうです。
これが、発表された当時、
「教育研修は、わずか10%しか役に立たない!」
といった見出しが多かったのですが、
果たして本当にそうなのでしょうか。
これは私なりの答えなのですが、
「この3つは、比率(%)ではなく、掛け算」
だと感じています。
つまり、
実務経験で、膨大な量をこなしていても、
フィードバック機会が少なく、
教育研修がほぼゼロだった場合、
90(本来70)×5(本来20)×1(本来10)=「450」
実務経験を積みながら、フィードバック機会があり、
教育研修もあった場合、
50(本来70)×10(本来20)×5(本来10)=「2,500」
こちらのほうが成長早いと感じています。
なぜかと申しますと、
「LONTA」を導入されている企業で
活躍されている方の様子をお聞きすると、
・忙しいけれども、目の前の仕事に対して前向き。
・常に自分自身へのフィードバックを歓迎している。
・人に会う、本を読む、研修に参加するなど、
インプット量が多い。
この3つが揃っている、ということに気が付きました。
■ サーボメカニズムが作動しない
と、ここで、
「それがあるべき姿、良い姿だとはわかっているけど、
そうなれないから、悩んでいるんだよ」
というお声が聞こえてきそうです。
そこでお伝えしたいことがあります。
『サーボメカニズム』
という言葉をご存じでしょうか?
元の言葉の意味は、ロボット工学で、
物体のズレを自動的に修正し、
目標へと到達するシステムのこと、
を意味しています。
この言葉、心理学でもときどき使われるのですが、
「人は本能的に、無意識的に、なりたい自分へと
向かっている。
だから目標を立てると、いつか必ずそこに到達できる」
と言われています。
動物が親から学び、飢死にしないことも、
このサーボメカニズムの働きだそうです。
本能的にエサの取り方、食事の仕方を学ぶわけです。
では、なぜサーボメカニズムが備わっているにも
関わらず、人は望んだ自分になれないのでしょうか?
答えは、
『感情が邪魔をするから』
です。
■ 市場に飛んで来ては去っていく鳥のよう
例えば、多くの会社では毎年、活躍社員を表彰する機会や、
昇進を発表される機会があると思いますが、そのとき、
「オレも表彰されたい、もっと成長して。次こそは!」
「もっと給料上げたい。そのためには活躍しないと」
と思う方はいらっしゃると思います。
そこでは、
・成長したい
・稼ぎたい
・活躍したい
といったなりたい自分や目標が生まれ、思考しますが、
それを感情が邪魔してきます。
心のどこかに少しでも、
・けど、もっと忙しくなるのは嫌だ。
・お金を持ちすぎると、実は不安になる。
・本音ではこれ以上がんばることは、面倒くさい。
といった、無意識に湧き出てくる感情が、
知らず知らずのうちに行動を抑制していくのです。
私は自分のことを、「感情という、ありとあらゆる種類の
鳥たちが飛んで来ては去っていく、開けていて風通しの
いい屋内市場」のようにとらえているのだ。
(出典:「Think clearly」 ロルフ・ドベリ著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4763137247
それくらい、感情は自分でのコントロールが難しく、
移り変わるものだと感じます。
サーボメカニズムを発揮するためには、
まず、その行動に対して、どのような感情が
沸き起こっているのか、観察し発見するところから、
スタートしてみるのが良いですね。
■ 最後に
今回は、「成長を阻害する要因」について書かせていただきました。
約10年前、僕が20代の頃は、成長することが全て、
常にそれを求められてきたような気がします。
今の自分も、もっと成長したい、という欲求があります。
しかしながら、今の時代、「成長しなくても良い」という価値観も
受容されている、と感じます。
大事なのは、自分自身にウソをつかず、
「こうありたい」
という自我と、周囲の環境とのベストバランスを見つけて
生きていくことなのかな、と考えています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?