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利用者目線の映画レビュー2 セックス・チャット 淫靡な世界に堕ちて

さてライブチャット関連の映画レビュー第二弾です!
今回はアメリカ映画を取り上げていきます。


セックス・チャット 淫靡な世界に堕ちて
原題 Chat(2015)
監督 ボリス・ウェクスラー
脚本 ボリス・ウェクスラーポール・ペディット
出演者
マリエル・デ・ロッカ・セラ
ロデリック・ピープルズ
ジョー・ミキエタ
ケイトリン・コリンズ

この映画、アマゾンプライムにてレンタルにて視聴。
しかしながら日本語による情報が少ない。英語で検索してなんとか出てくる程度でとにかく注目されていない作品です。
レビューもほぼ酷評(笑)

原題が”Chat”とシンプルであったものを、日本ではちょっと刺激的なタイトルをつけて見てもらおうと算段なのでしょう。レンタルビデオ屋のビデオスルー作品みたいな感じでしょう。

調べてみるとこの作品、クラウドファンディング的な資金援助を受けて作られたものらしく、そのサイトのページが残っていました。
個人的には、お金を出してこんなゴミができたらがっかりだろうなあ、と同情してしまうのですが、まあ致し方ない。

監督のフィルモグラフィーを見ると、監督としてはこの作品が最後の模様。
まあこういう映画監督はきっと知らないだけで山のようにいるんでしょうね。映画館でかかるような人はほんの一握りなんでしょう。


◎あらすじ

通常の光でもまぶしく感じ、目を開けているのが困難な羞明の症状がある男スティーブン。彼は音信不通の娘マリーの手がかりを求めて、娘が働いていた会社に乗り込んだ。そこは多くの女性が淫靡な姿をカメラの前に曝け出し、男を誘惑するオンライン・アダルト・チャット会社だった。しかし娘の行方は掴めず落胆していたところ、スタジオデザイナーのジェフリーからDVDを渡された。そこには淫らな姿でカメラの向こうの男を誘う、娘マリーの姿が映し出され、その姿にスティーブンは悲しみに暮れた。少しでもマリーの情報を掴もうとしたスティーブンは自らオンライン・アダルト・チャットにアクセスし、その中からマリーと一緒に写真に写る”独りぼっちのアニー”と呼ばれる女性に接触を図るのだが...。

Filmarks 映画 より引用

あらすじを書くのも面倒でつい引用してしまいました(笑)

いちおう誰も観ないと思いますがネタバレ注意です。

映画の後半、実はこのあらすじに書いてある内容はほぼすべてスティーブンの妄想であったことが明かされます。マリーは娘ですらなく、オンラインチャットで知り合っただけの女の子なのです。本名をチャットしてる最中に聞き出し、娘であるという妄想を膨らませていたのです。

マリーからチャットでBANされたスティーブンは、父親を名乗り、ライブチャット会社に乗り込む奇行をしていたのです。前半ではライブチャット会社の勢力争いとそこに巻き込まれた娘をめぐって、スティーブンとアニーとのミステリーのような様相を呈しますが、後半にいっきにすべてそれらを妄想の一言でうっちゃるのです。ちゃぶ台、ひっくり返せばいいってもんじゃないよ!

たしかに妄想オチといったような作品は過去たくさんありますが、この作品はその手の作品に求められるような精緻な伏線であったり、あるいはミステリアスな含みを全く持ちません。
とにかく、妄想でした!の一言で、前半部のあれやこれをひっくりかえしてしまうのです。セリフや出てくる人物、シチュエーションの一致で、なんとか関連性があると説得してきますが、いくらなんでも雑過ぎる!
正直、なにを感じることを期待されているのか困ります。

そんなわけで映画としてめちゃ雑です。そしてつまらない。


さて映画としてはクソな本作、アメリカでの映画ということで日本のライブチャットとは雰囲気がだいぶ違います。
前回みた『チャットゾーン』は日本の映画かつ製作がライブチャットの運営会社ということもあり、明るくポジティブなイメージで描写されていました。
それに対して今作は、ライブチャットをする部屋は極端に青っぽくグリーディングされているようです。どこか冷たく怪しげな、まさに淫靡な雰囲気を持っています。
まあ、ステレオタイプ表現とも言えますが。


チャットレディのサービスもやはり今作のほうがずっと直接的で、積極的です。
特に過激なシーンはありませんが、脱いではいるしより積極的に性を売っています。ゆるふわチャットというイメージはまるでありません。
怪しげな性の世界というイメージです。

個人的には海外のチャットは利用したことありませんが、日本のそれよりは過激で直接的という印象のそのままんですね。

会うのはご法度というルールは、いちおうはあるらしいのですが、この作品でも漏れなく破っています。前回観たチャットゾーンよりはずっとカジュアルに破っている感じですね。まあジャンルの違いもあるでしょうが。

個人的に面白かったのが、会うための方法です。
主人公のスティーブンがあるチャットレディに会うためにしたことは、
まず500ドルを送金したうえで、インターネットで調べた彼女の個人情報(なんでそんな情報が簡単にでてくる?)で父親の死を知り、同じようなシチュエーションと娘との絶縁を話し同情を誘うというやり方でした。

んー。映画としてはまあ正解なのかもしれませんが、これで会えるなら苦労しないようなあと思いますね。

オンラインチャットを題材にした映画を鑑賞したのはこれで二作目、やはりチャットをテーマにした映画だとどうして「会う」という展開は欠かせないものなのかなと思いますね。
メールチャットを題材にした綿矢りさの『インストール』はその意味だとちょっと特殊だったのかもしれません。

今作も前作も、つまらない上にライブチャット要素がそこまで濃くないという映画でした。可能であれば、ライブチャットを完全に中心に据えた映画を観てみたいものです。


チャットレディと2人付き合った経験から、
こんな記事も書いています。
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