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【ヤクルト】次の”ヤンスワ”を探せ!【2023年春季キャンプ時点】

こんにちは。でぃーだ(@Dee_bbyS)です。


早速ですが、2022年の東京ヤクルトスワローズのリーグ連覇には、”ヤンスワ”(若手選手を指す「ヤングスワローズ」の略語)と呼ばれた若手選手たちの躍動が光りました。

若手で活躍した選手は数えきれないほどいましたが、2022シーズンで主にヤンスワと呼ばれたのは下に書いた彼らでしょう。(~年目は2022年時点)

・2番手捕手として1年間1軍帯同して存在感を示した内山壮真(高卒2年目)
・SSレギュラーを勝ち取りGG賞も受賞した長岡秀樹(高卒3年目)
・開幕戦など印象的な一発も含むシーズン6本の濱田太貴(高卒4年目)
・史上初「ルーキーによる優勝決定サヨナラ打丸山和郁(大卒1年目)
・チーム最多55登板(+9勝)と1年間フル回転した木澤尚文(大卒2年目)


この実績が示す通り、彼らはこの1年間でチームに欠かせない選手たちとなりました。

そんな”ヤンスワ”な彼らの共通点は、2021年に殆ど1軍実績がない点。

日本一に輝いた2021年は打者6人規定打席443打席に到達(+サンタナも418打席でほぼ規定到達と同等)したように、特に野手はレギュラーが固まって”完成”しているようにも見えたチームでしたが、
こういった選手の台頭がチームを活性化させることがよく分かりますね。


今回のnoteではそんな”ヤンスワ”となり得る若手選手を何人かピックアップして書いていこうと思います。


昨年取り上げたプロスペクトの1年


さて、昨年のキャンプ前にも私のnoteでプロスペクトを紹介しましたが、
本題に入る前にまずはその振り返りをしようと思います。


#33 内山壮真


今や日本中がその存在を知ることとなった内山壮真
昨年のnoteでも私なんぞが”スワローズのトッププロスペクト”と勝手ながら高く評価しておりましたが、まさか2022年に1軍でここまでやるとは…と驚かされっぱなしの1年でした。

2022年の開幕戦でプロ初ヒット・初タイムリーを放つなど、正捕手・中村悠平が怪我で離脱していたシーズン序盤から活躍を見せると、
シーズン途中からは大ベテラン・石川雅規の専属捕手(通称:親子キャッチボール)と立場を確立しました。
この経験は間違いなく将来の財産となる事でしょう。

最終的には1軍で74試合194打席に立って打率.232 4本 OPS.662 wRC+91という、高卒2年目、そして1軍定着初年度とは思えないような素晴らしい成績を残しました。

そしてなんといっても、日本中に”東京ヤクルトスワローズ・内山壮真”を印象付けたのが日本シリーズ第2戦で放った9回裏の同点スリーラン
これにはテレビの前で見ていた私も思わず叫んでしまいました。

2021年は2軍レベルでもストレートに対して弱い(wFA -3.2)という明確な課題もありましたが、2022年は1軍でwFA+3.7と(先ほどの動画のように)1軍でストレートにしっかりと対応してみせたのもまた驚き。

三振が多い(K% 26.4%)など改善したい点はまだまだありますが、ボールゾーンをスイングした割合を示すO-Swing%は2022年でも1軍平均レベルですし、2軍(2021年)ではO-Swing%Contact%トップクラスの成績でした。
また、これは完全に個人の主観ですが、1軍の打席の中でも落ち着いているように見えますし、この辺りはその内に良くなることでしょう。


更には当初課題であった(と今となっては我々が勝手に思っていただけだったような気すらする)捕手としての守備面も、シーズン序盤から年間を通して大きな問題を見せることなくプレーしていました。

例えば古田敦也臨時コーチに仕込まれた1塁牽制を見せたり、

交流戦で盗塁阻止した、侍ジャパン・周東佑京(ソフトバンク)にも「もう走れないと思った」と言わせるなど、守備面でも存在感をありありと見せつけました。


今年は本人も70試合スタメン出場を目標と語っている通り、これからは更に1年間を通じた出場"時間"を増やしたいところ。

超えるべき壁は日本代表捕手の中村悠平ととても高いですが、
WBCで不在となる春の期間にしっかりとアピールできるかが目標達成への一つのカギになってくるのではないでしょうか。

…と書いていたところで、今シーズンは出場機会や打席数を確保するためにレフトにも挑戦することが明らかになりました。
高校時代にはショートをこなしていた選手でもあるだけに、希望的観測ですがそれなりには守れるのではないかと考えております。

この挑戦は、中村悠平に続く第2捕手だと出場機会が限られてしまうため、あくまで選択肢の1つとして…という事ではあると思いますが、
内山に対する球団の期待の高さを感じさせられましたし、改めて今年どのようなパフォーマンスを見せてくれるかが楽しみです。

※レフトはレフトでレギュラーを狙っている選手が多い激戦区でもあり、
捕手としてのポジション負担も考えるとそこまでレフトでの出場機会は多くないのではないかと勝手に予想しておりますが…。



#023→#71 赤羽由紘


昨年、”支配下登録”という大きなステップアップを果たしたのが赤羽由紘

2022年は2軍で2021年とほぼ同じ試合数・打席数をこなしながら、実は明確に見た目の成績が向上したという訳ではありませんでしたが、走塁指標(UBR 0.0→3.6)が伸びるなどの成長も見られました。

2021年(73試合):.234(218-51) 6本 31打点 出塁率.339 長打率.417 OPS.756
2022年(67試合):
.222(212-47) 8本 32打点 出塁率.317 長打率.420 OPS.737

また、2021年に先述の内山壮真がMVPを受賞して翌年の飛躍に繋がったとされるフレッシュオールスターで、劇的なサヨナラ3ランホームランを放つ活躍でMVPを獲得するなど、2023年に飛躍する要素が詰まっております。


そして、持ち前のユーティリティ性を活かし、1軍では僅か10試合の出場ながら既に2B,3B,LF,CF,RFの5ポジションに就くなど、首脳陣がベンチ入りさせたいと思えるような選手になっているように感じます。


2022年には1軍での初安打も放ちましたが、あとは本来の持ち味の力強いバッティングを1軍の投手を相手してどれだけ見せられるかでしょう。


まずは貴重なUT性を活かして1つ1つの出場機会を重ね、チームに必要とされ、頼られるような存在になって欲しいですね。

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#35 杉山晃基・#017 丸山翔大


さて、一方で思ったようにいかなかった選手たちも。

2021年には2軍で進化の色を見せた杉山晃基丸山翔大の2人でしたが、
2022年はやや停滞気味の1年となってしまいました。

杉山晃基は2軍でチーム最多の41試合に登板するも、1軍では1試合の登板に留まるなど残念ながら1軍定着とはならず。
平均球速145.7km/hは元々のポテンシャルを考えると物足りない数字ですし、4年目となる今年はまずは1軍での登板機会を増やしたいところですね。

丸山翔大は全てリリーフ登板だった2021年から一転、2022年は先発に挑戦し、2軍で20登板(12先発)するも支配下登録とはなりませんでした。
先発中心の登板だったために仕方ない側面はありますが、昨年の強みだった奪三振率は大幅に低下(K% 32.3%→19.2%)してしまいました。
3年間の育成契約保有期間最終年となる2023年は、まずは2軍でアピールを続け、支配下登録されたいところです…!



次の”ヤンスワ”候補たち


昨年取り上げた選手たちを簡単ではありますが振り返ったところで、
これからは厳選して4選手を次の”ヤンスワ”候補として紹介したいと思います。(記載は背番号順)

※注意:文字数やポジション等の兼ね合いで記載出来ない選手も多く、加えてここに名前がない選手に対して私が期待していないというわけでは決してありませんのでその点はあらかじめご容赦ください。
…こんなこと言いつつ、ここからがかなりのボリュームなのですが…。



#0 並木秀尊


並木秀尊なみき ひでたかは2020年ドラフト5位で獨協大学から入団した外野手です。

何と言っても並木秀尊の持ち味は超が付く程の俊足。

中学時代にサニブラウンに100m,200mで勝った五十幡亮汰(中央大→日本ハム)に、侍ジャパン大学日本代表候補選手選考合宿の際に勝ったことで、
サニブラウンに勝った男に勝った男”としても話題になり、様々な人の支えもあって獨協大学から初のNPB選手となりました。


プロに入ってもその俊足はトップクラスのものでした。
2022年はイースタン盗塁王にも輝きましたし、1軍経験は多くはないながらも2年間通算6盗塁(盗塁死0)を記録しております。
更に、2022年にはSpeed scoreは12球団全体で2位の8.6を記録しました。

また、”代走の切り札”として日本シリーズでも2年連続でロースター入りし、2022年第2戦では同点の11回裏2死から盗塁を決めるという活躍も見せましたし、走力はやはり並木にとっての最大のストロングポイントでしょう。

余談ですが、ヤクルトのファン感謝DAYで行われた『50m走ガチンコ対決』では並み居る俊足選手を置いていく程の圧倒的な速さで優勝したり、オフの恒例番組『超プロ野球ULTRA』では現役の世界レベルの陸上選手と接戦を演じるなど、その速さは折り紙つきですね。

https://www.daily.co.jp/baseball/2023/01/08/0015950364.shtml


また、その俊足を生かした守備も魅力的で、1軍,2軍ともに外野3ポジションで柔軟に起用されております。


この通り、代走や守備要員としては近いうちの戦力となり得る選手ですが、個人的にはそれだけに留まって欲しくないと感じております。

というのも、1年目は2軍でもバッティングの面ではかなり苦戦しておりました(OPS.510 wRC+43)が、2年目は2軍平均の少し下レベル(OPS.676 wRC+93)まで打撃が向上しました。
また、2軍では真っ直ぐ対応が大きく改善できている(wFA -11.1→+2.1)ことや、BB/K 0.31→1.00を始め空振り率等のボールアプローチ関連の指標が軒並み良くなっているのも好印象です。


個人的な持論ですが、俊足を武器にする打者は凡打を内野安打にするよりも、先ほどの動画のように単打を2塁打に2塁打を3塁打にすることに対して、より大きな価値があると思っております。

そもそも、狙って内野にボテボテのゴロを打つことやセーフティバントを良いところに転がすのはそう簡単ではありませんし、
プロ野球では内野手のレベルもとても高いため、守備位置を前にするなどの簡単な対策で手詰まりを起こしてしまいます。


前述の"単打を2塁打に2塁打を3塁打に"するためには少なくとも外野の間を抜く打球が必要となりますが、
並木は所謂”走り打ち”が出来ない右打者であることもあってか、普段の打席から強く振ることを心掛けているように感じます。
(一方で、2軍の試合含め打席でのバントへの意識が強すぎる気もしますが、1軍でまず求められる役割の1つでもあると思うのでここでは割愛)


2022年は夏にチームで発生した感染拡大による大量離脱の際に1軍昇格し、23打席と少ないながらもその中で2本の3塁打を記録するなど、打撃面でも少しは自信を持つことが出来た1年だったのではないでしょうか。

本人も目標と語っておりますが、将来的には同じく右打者で俊足ながらしっかり振り切って長打も打てる荻野貴司(ロッテ)のような存在になって欲しいですね。

目標にしている選手は昨年のパ・リーグでベストナインとゴールデングラブ賞に輝いた右打ちの外野手、荻野貴司(ロッテ)だ。

https://4years.asahi.com/article/13297252


とはいえ現実路線としては、去年の丸山和郁のようにまずは守備走塁要員として1軍ベンチ入りしつつ、少ないチャンスをものにしていくことでしょうし、浦添キャンプ~OP戦では打撃でのアピールにも期待です!



#15 山下輝


山下輝やました ひかるは2021年ドラフト1位で法政大学から入団した左腕です。


本人が自身のアピールポイントに「爆発的なお尻」と書くほどの立派な体格が目を惹く188cm/100kgの大型左腕です。

甲子園に3度出場しU-18日本代表にも選ばれるなど木更津総合高校時代から有名な左腕でしたが、法政大学進学後は1年生の12月に左ひじのトミージョン手術を行うなど、東京六大学ではすぐに活躍とはいきませんでした。


それでも3年生になって神宮のマウンドに立つと、4年生は先発として活躍。特に4年秋は防御率0.98をマークして最優秀防御率にも輝きました。

ドラフト直後に左尺骨の疲労骨折が発覚し、プロ入り後も最初は地道なリハビリが続きましたが、そこから回復して6月末に実戦デビューをすると、9月後半には1軍デビューも果たしました。

1軍初登板となった9/22(木)中日戦では4.2回2失点で負け投手となるも、2戦目の9/30(金)広島戦では7.2回無失点の好投を見せ、見事プロ初勝利もマークしました。


そして、日本シリーズ第5戦にも先発登板しました。
吉田正尚にホームランを浴びるなど5回3失点という満足の行く結果にはなりませんでしたが、1年前には疲労骨折で投げられない状況だったことを考えれば、その苦労が少しは報われた形にもなったのではないでしょうか。


山下輝は先発投手として大崩れせずゾーンの中で勝負が出来る、安定感のあるピッチングが持ち味の1つでしょう。

また、投球に対する器用さも彼の持ち味です。
初戦の中日戦で対左打者に課題を感じたことで、伊藤智仁コーチと共にワンシームとチェンジアップの練習をし、よりしっくり来たワンシームを1週間で形にしたことが広島戦での好投に繋がったとのことでした。

――1週間で球種も覚えてすぐに対応できるのはさすがの一言です。
山下 小学校から父にいっぱい練習しなさい、投げて覚えなさいという教えを受けていたので、それが生きているのかなと(笑)。昔からフォームもコロコロ変えたり、同じフォームでも意識するところを変えて投げていました。その経験が今スパッと何かを変えても普通に投げられる、すぐに対応できるようになっているのではないかなと思います。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a666285a762b843c4111de940eb2e9397a70349d?page=2


プロ初勝利の広島戦では23個のアウトの内12個(併殺含む)を、日本シリーズでは15個中10個のアウトをゴロで奪うなどの点も良いですね。
(とはいえまだサンプルが少ないですし、2軍ではフライアウトの方が多かったため、ここは今後のの投球を見ていく必要がありそうです)

一方で1,2軍共に奪三振が極端に少ないこと(1軍 K% 5.8, K/9 2.19)は一つの課題かもしれません。打球管理という観点ではゴロを打たせることは有用ですが、そもそもバットに当てさせなければ(三振に打ち取れば)出塁される確率は限りなくゼロに近付きます。

ゴロとフライの比較では安打になる確率が高いのはゴロだが、ゴロは長打になる可能性が低いため守備側にとっては安全な打球であり、失点の見込みという意味では本塁打になる可能性も含めてフライの方が高い。なお、内野フライはほぼ確実にアウトになる上に走者の進塁を許さないため、三振に等しい効果を持つ打球である。

http://1point02.jp/op/gnav/glossary/gls_explanation.aspx?ecd=205&eid=20059

その中で、2022年の平均球速が142.7km/hだったことは本人も課題に感じているようで、球速を上げたい旨をインタビューで語っておりました。

一般的には球速が速くなると空振り率が増えるとされていますし、プロ入りの際の最速150km/h超え左腕というスペックや大学時代の成績を考えると、プロでも球速が伸びること等の改善でもう少し三振を奪えるんじゃないかな…?と勝手ながら思っております。


勿論、ホークアイなども用いて球質などを分析した上で個々の選手にとって適したピッチングスタイルで投げることが一番ですし、そういった土壌は今のヤクルトには間違いなく存在しております。

同じく東京六大学からドラ1で入団した木澤尚文も2年目の春キャンプが大きな変化点になったとのことでした。
ーーー
「木沢はシュートを覚えたほうがいい」という発想の根幹にあったのもこの個別ミーティングだ。「本当は木沢にはもっと違うテーマがあったんだけど、投げていくうちにこっちでもいいんじゃないの? というふうになった」と伊藤コーチ。

https://www.sanspo.com/article/20230202-DRVDZTBSYFOKRNG43BSJOKYK2Y/?outputType=theme_swallows



なんにせよ山下輝にとってしっかりと投球が出来る春季キャンプは初めてですし、改めて自身のピッチングをここから作り上げていって欲しいですね。


まずは1,2軍問わずに1年間しっかりと投げ抜き、チームの力となってくれれば…と書いていましたが左肘を痛めて2軍合流とのことで…。
残念ではありますが、まずは焦らずに万全な形で戻ってきて欲しいですね。



#41 柴田大地


柴田大地しばた だいち
は2021年ドラフト3位で日本通運から入団した右腕です。


日本通運に進む前、日本体育大時代は吉田大喜(2019ヤクルトドラ2)と同期ながらも、侍ジャパン大学代表にも選ばれた吉田とは違って度重なる怪我もあって公式戦登板は1度も無し。
そんな状況でもポテンシャルの高さが評価されて社会人の名門・日本通運に内定が決まると、内定直後の2019年3月にトミージョン手術を行い、入社1年目はリハビリに費やしました。

入社2年目の2021年5月に実戦復帰するとOP戦で150km/h台を連発して徐々に評判を呼び、日本選手権並びに都市対抗といった社会人二大大会の出場がないままドラフト3位指名を受けてヤクルト入団となりました。

ドラフト指名後に日本通運は都市対抗野球大会に進出しましたが、コンディション不良のため柴田はベンチ入りせず、登板機会はありませんでした。

この通り、プロ入り前の実績はほぼゼロと言ってもよく、一般的にはドラフト時には謎に包まれた選手でありました。

その一方で、ここ数年で多くの好投手を輩出してきた日体大の辻孟彦コーチが、在学中1度も公式戦登板が出来なかった柴田を「一番期待していたんです。絶対に大学で終わってほしくなかったんで」と語るように、ポテンシャルの高さは折り紙つき。
この評価は辻コーチだけでなく高校や社会人の指導者や関係者も同様であり、改めて彼の潜在能力の高さを感じさせられます。


何と言っても彼の持ち味は球の速さです。
最速156km/hのストレートを武器に、ヤクルトが当初の指名プランを崩してでも将来のクローザー候補として獲得しました。

ストレートの速さが156キロでスプリットが146キロ。本来、左投手がウィークポイントだったんですけど、それを崩してでもと思った投手。将来は日本人ストッパーになってくれるのでは」

https://hochi.news/articles/20211206-OHT1T51164.html?page=1


プロ入り後もボールの速さは変わらず。
2軍での平均球速は146.6km/hで、30イニング以上投げた投手では155人中18位と、自慢の速球は一定程度プロでも発揮できたとも言えるでしょう。


しかし、そのストレートが(70%を超える投球割合も気になりますが)2軍レベルでもwFA -1.4と強みのあるボールとなっていないのもまた事実で、K%18.0%,K/9 7.04と一般的にリリーフに求められる”制圧力”が欠けてしまっておりました。

また、四球でランナーを溜めてしまった(BB%15.0%)ところを痛打されることも目立ち、2軍で29試合に登板して防御率4.70(&1軍は1試合のみ)という社会人からのルーキーとしては物足りない結果に…。


一方で、2軍被打率.198と希望が持てるデータもあります。
そんなに簡単かつ単純なものではありませんが、もう少しゾーンの中で勝負が出来るようになれば良い結果もついてくるのではないでしょうか。

そうすることで柴田の速いストレートが生きてくることにも繋がり、相乗効果的にスプリット等の変化球を振らせることになるのでは…?と思っております。

1年目の木澤尚文は先発投手もやっていたため単純比較は出来ませんが、
K% 17.5%は初年度の木澤尚文とほぼ同じような数値で、BB% 13.0%は木澤の方が若干優秀ですが、被打率は.298と柴田の方が圧倒的に優秀な数字です。

今年の柴田があそこまでモデルチェンジするかは別として、ストライクゾーンで勝負できるようになった木澤が2年目に1軍で勝負出来ている様子を見れると柴田もきっと…!


また、個人的にデータ云々よりも今年の彼に期待しているのが、2022年を1年間なんだかんだで投げ抜いたところです。
普通の投手だったらそこまで取り立てて言うべきではないのかもしれませんが、怪我続きだった彼にとっては何年ぶりかも分からないような出来事でしょうし、試合に投げて得る経験は他の投手よりも多かったことでしょう。


また、スアレス(現 パドレス)の阪神移籍後の活躍ぶりでも話題になりましたが、TJ手術から3年くらいで状態が上向いてくるといったようなこともあるのではないかと言われています。

実際に柴田がTJ手術を受けたのは4年前のことですが、それまでも怪我との戦いでまともに投げられていなかったことを考えれば、
他の例よりも時間はかかりながらでも、彼が持つポテンシャルが投げるボールや成績に追いついてくることは想像できます。

「藤川球児選手もそうですし、3年目ぐらいから、かつて以上のものが出てくる感じがある。他の選手を見ていてもそんな感じはあるので」。

https://www.daily.co.jp/tigers/2019/12/20/0012973917.shtml


勿論、球団側も1年目から1軍で活躍すると思って柴田を獲得していないことは明らかですが、一方で大学から社会人を経た1年目としてはそれでも成績が物足りなかったのもまた事実です。
それでもこんなえげつないボールを投げていたら誰もがワクワクしてしまいますし、今年はマクガフが抜けてしまったリリーフ陣を救う存在として活躍を期待したくなるってものですよ…!


ファン感の金タイツでも見られましたが、「良い意味でバカ」とかつてのチームメイトから評されたパーソナリティも柴田の持ち味ですし、1軍ブルペンに定着したらきっと良い雰囲気をチームに持ち込んでくれるでしょう。


また、同級生で高校時代の最後の夏の大会で対戦した吉村貢司郎が今年からチームメイトとなります。
大学の同期でもある吉田大喜も含めて、縁のある選手たちでお互いに刺激をしあいながら是非1軍で度肝を抜く速球を見せつけて欲しいですね!

日体荏原高校3年の夏。東東京大会で2試合を無失点で勝ち上がり、4回戦でこの大会に準優勝した日大豊山と対戦。豊山のエース吉村貢司郎(国学院大―東芝)と投げ合い、3-5で敗れている。

https://thedigestweb.com/baseball/detail/id=47363


【2/14 追記】
まさかこのnoteを投稿した翌日に1軍合流するとは………またとないチャンスですしアピールできるよう頑張って欲しいです…!



#019 下慎之介


下慎之介しも しんのすけ
は2020年育成ドラフト1位で高崎健康福祉大高崎高校(健大高崎高校)から入団した左腕です。


2年秋の関東大会制覇に大きく貢献すると、同秋に行われた明治神宮大会にて防御率0.90の好投を見せて準優勝を飾るなど評判の左腕となりました。

3年生時は新型コロナウイルスの影響により、残念ながらセンバツは中止(※交流試合には出場)となってしまいましたが、夏は群馬県の独自大会で準優勝を飾り、その後育成ドラフト1位でヤクルトに入団しました。

プロ1年目の2021年は身体づくりを行いながら10試合(2先発)で20イニングに登板して実戦経験を積むと、
迎えた2年目は16試合(11先発)68.1イニングを消化して防御率3.42(FIP- 99)とファームレベルで安定した投球を見せました。


下の武器はキレの良いスライダー
高校時代から得意としてきた球種でしたが、2022年はファームでwSL 4.2を記録し、これはファーム先発で50イニング以上投げた投手の中で67人中10位と効果的なボールとなっていました。

変化球ではスライダーを軸に落ちるボールも混ぜていくスタイルで、それがハマるとこの試合のように6者連続三振を奪ったり、
2021年のフェニックスリーグでは9回4安打無四球7奪三振で101球完封したりするなど圧倒的な投球を見せます。
https://www.yakult-swallows.co.jp/news/detail/26463


一方で本人もプロ入り前に語っておりましたが、ストレートの球速はもう少し欲しい所でもあるでしょうか。
言わずもがな球速が全てではありませんが、下は183cmとそれなりの上背もあるため、ストレートを磨いて押せるようになることで、スライダーをはじめとした他の変化球も活きてくるように感じます。

 「(ストレートの最速)144キロから球速(アップ)もそうですし、球のキレももっといいものにできたら、スライダーの見え方も変わってくると思うので、そこを目指してやっていきたいなと思います」


育成指名で入団して高卒2年でファーム先発として十分な働きを見せていることを考えると、ここまでは順調に成長できていると言えるでしょう。
育成選手としては勝負の3年目。まずはファームのローテーションでしっかりとした結果を残しながら吉報を待ちたいですね。

余談ですが、下のTwitterは彼の人柄も表れていて癒されますし、支配下登録されることで更に人気が出るんじゃないかと思っております。その日が来るのもまた楽しみです…!



まとめ


さて、2/12(日)に2023年初の対外試合(vs DeNA)が行われ、
4安打(内3長打!)丸山和郁を筆頭に、長岡秀樹もタイムリーを放つなど今年の活躍にも期待が持てるような内容を披露し、
昨年noteで取り上げた内山壮真はレフトの守備にも就きながら2安打、赤羽由紘は途中出場ながらホームランを放つなど沢山の若手が活躍しました。


彼らだけではなく、今回noteで取り上げた並木秀尊はワイルドピッチで1塁から一気に3塁まで進塁する走塁でアピールしましたし、


また、今回は選手数(や文字数)の都合で取り上げられなかった選手でも、
チーム初打点は高卒4年目・武岡龍世が挙げ、”開幕投手”を務めた高卒5年目・市川悠太は3回無失点、3番手で登板した高卒2年目・竹山日向は2回を無失点に抑えるなど”次期ヤンスワ候補”の活躍が光った試合でした。


武岡龍世たけおか りゅうせいは昨年大ブレイクした長岡秀樹と入団時から同じ内野で切磋琢磨してきて着実に実力を付けてきており、
2022年にも1軍7試合の出場ながら猛打賞に好守でヒーローインタビューを受けるなど、4年目の今シーズンから1軍で更に活躍する下地も十分です。

バットが極端に投手側に入る特徴的なフォームも印象的です


市川悠太いちかわ ゆうたは2022年にプロ初登板を果たすと、リーグ優勝決定後に迎えたプロ初先発では5回1失点の好投など、飛躍が期待される高卒5年目の投手です。
明徳義塾出身という事もあってか(プロ初アウトもそうでしたが)今回の練習試合でも牽制で1つアウトを稼ぐなど、牽制が上手いというのも大きな武器となりそうです。



竹山日向たけやま ひゅうが
はリーグ優勝決定後ではあるもののルーキーイヤーから1軍で登板機会を与えられ、秋季キャンプでは第1クールMVPに指名されるなど髙津臣吾監督から高い期待を背負う高卒2年目の投手です。

今シーズン、まずはファームで更なる実戦経験を積みつつ、1軍登板を伺うこととなるのでしょうか。とはいえ、今年中に奥川恭伸を育てた秘技”中10ローテ”で竹山を見られても驚きません…!


また、新入団のルーキーたちも忘れてはいけません。
中央大学から入団したドラフト5位ルーキー北村恵吾きたむら けいごも”プロ初安打・打点”を挙げるなど大きなアピールをしました。

東芝からドラフト1位で入団し、開幕ローテ争いにて期待されている吉村貢司郎よしむら こうじろうも近日中に実戦デビューの見込みとのことで、期待が更に高まりますね。


勿論、彼ら以外でも楽しみなルーキーが沢山います。
彼らが力を付けて”ヤンスワ”の仲間入りする日が早くも待ち遠しいですね。


リーグ3連覇&日本一奪還を目標にして突き進むチームスワローズにおいて、2023年は誰がチームに刺激を与える”ヤンスワ”となるのか…。

今回取り上げた選手もそうでない選手も、1人でも多く1軍の舞台で活躍することを願っておりますし、これからも”ヤンスワ”の躍動が楽しみですね!


長くなりましたが最後までお読みいただきありがとうございました。



[データ等参考・引用]


(本文中の写真はすべて筆者撮影)


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