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旅のうた(歌日本紀行)

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2022年2月の記事一覧

(第15回) 欅坂46が歌う「渋谷川の新風景」

(第15回) 欅坂46が歌う「渋谷川の新風景」



稲荷橋付近の変貌しつつある渋谷川の景色。

 神宮の杜にきれいな水がある。明治神宮庭園内に湧き出る清正井(きよまさのいど)である。ここはずいぶんと前からパワースポットとして認知され、高感度女子たちの携帯待ち受け画面にもされている有名な場所で、ある川の源流のひとつになっている。渋谷川である。

 童謡『春の小川』がこの渋谷川をモデルにして生まれたというのは、ずいぶんと言われていることなので、ご存

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(第15回)「生駒・宝山寺新地、女町エレジー」

(第15回)「生駒・宝山寺新地、女町エレジー」



参道から続く「生駒新地」の景色

 「女に生まれてよかったわ。ほんとはいいことないけれど、せめてこころで思わなきゃ。生きてはいけないこのわたし。生駒は哀しい女町」

 前時代的と言ってしまえばそれまでだが、なんともすごい歌詞である。昭和48年、作詞家の石坂まさを氏によって書かれた歌、石坂氏の愛弟子である藤圭子をはじめ、幾人もの歌い手によって歌い継がれた佳曲『女町エレジー』の一節である。

 こ

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(第14回)ブルーライト・ヨコハマ〜横浜の仄暗いあかり

(第14回)ブルーライト・ヨコハマ〜横浜の仄暗いあかり



薄暮の山下公園には氷川丸が係留され、ヨコハマを見守る。

 きれいなお姉さんのかわいらしい節回しと、こどもをちょっとだけムズムズさせるような色気が印象深い歌だった。1969年にヒットしたいしだあゆみの『ブルーライト・ヨコハマ』である。以前この稿で取り上げた青江三奈の『伊勢佐木町ブルース』は前年(1968年)のリリース。その頃わたしは幼稚園、街に流れたこの2曲が、強烈なインパクトで幼児の脳裏に刷

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(第13回) ままにならない天城越え

(第13回) ままにならない天城越え



歌詞にも登場する「浄蓮の滝」。観光客にも人気のスポットである。

 「天城越え」は、伊豆半島にある天城峠を舞台に歌われた楽曲である。その昔天城峠と言えば、わたしのなかで、(山口)百恵ちゃん一択であった。あの『伊豆の踊子』の話である。川端康成の名作は何度も映画化され、時々の旬な女優さんたちが主演を努めたが、わたしの場合は、吹き替えでのヌード姿が話題になった、1974年版の印象が強烈なのであった。

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