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旅のうた(歌日本紀行)

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2021年10月の記事一覧

(第3回)冬の増毛に「舟歌」が聴こえる」

(第3回)冬の増毛に「舟歌」が聴こえる」



 JR北海道が、留萌本線の留萌(北海道留萌市)~増毛(増毛町)間(16・7km)の路線を廃止することを発表した。同区間は12月4日限りで運行を終了する。

 留萌本線は、深川~留萌~増毛間を結ぶ全66・8kmの鉄道路線である。このうち海沿いの区間にあたる留萌(るもい)~増毛間は利用者が極端に少なく、平成26年度の1キロ当たりの1日平均利用者数が39人となっていた。1列車の乗客換算ではたった3人

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(第2回) 竜飛岬で『津軽海峡冬景色』を唸る

(第2回) 竜飛岬で『津軽海峡冬景色』を唸る



初夏の津軽。竜飛岬先端から津軽海峡を眺める。

 作詞家の阿久悠氏が以前どこかで、「昨今の歌は、歌詞が飛んでいない」と言っていた。冒頭三行で聞き手の気持ちを、日常の位置からどこか遠いところへ連れて行ってあげることが重要だと、そんな主旨のことを語っていた。そのときに例にあげていたのが、この『津軽海峡冬景色』である。

 「上野発の夜行列車 おりた時から 青森駅は 雪の中」

たしかにこの歌は、こ

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(第1回) 『岸壁の母』をひねる、舞鶴の港

(第1回) 『岸壁の母』をひねる、舞鶴の港

 万葉集の時代から昭和ムード歌謡、ひいては、ゆるキャラとこどもたちが歌う「企画ものご当地ソング」まで。歌が土地を元気にし、土地が歌を元気にする。歌でニッポンを巡るこの旅は、かの名曲『岸壁の母』。菊池章子、二葉百合子に歌い継がれた名曲の舞台に迫る。

 昭和40年代から50年代にかけて、『岸壁の母』は、お茶の間によく流れていた。「母は来ました今日も来た」。まだ小学生で事情がよく飲み込めていなかった私

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