ナイルパーチの女子会-人間すべて水の中

あらすじ程度のネタバレあり。

著者:柚木麻子

商社で働く女、栄利子。2年間毎日追い続けている主婦ブロガー翔子と出会い、二人はどこか息苦しい人生に友情を見つけ出す。
しかし実は、栄利子は激ヤバストーカーだったのだ!
勿論拒否られる。ついでに同僚と寝たことがその婚約者にばれ、すげ~ことになる。(もちろん婚約者もヤベ~奴)
そして翔子もヤバいやつだし、出てくる女はだいたい全員ヤバい!
ヤバ・女・ストーリー

湖に放たれれば、その生態系を壊してしまう狂暴な魚・ナイルパーチになぞらえ、人生に輪郭を求める女たちの「関係性」の物語が進んでゆく……

とここまですべて真実だが、この本のほんとうを教えたわけではない。
そう、この本の秘密を教えよう。

でてくる男もみんなヤバい奴らなんだよな。

この小説の題が「ナイルパーチの女子会」であるから、女子たちに焦点を当てて描かれている。が、「ナイルパーチの男子会」にもなる。登場する男もみんなヤバいから。この小説に登場する男たちに焦点を当てれば、男子会になるのだろう。

もうちょっとお前たち哀れな人間におしえてやると、それすら違う。人間すべてがこの小説で言うところの、ナイルパーチであり、哀れな小魚なのだ。
小説を読みすすめる中、おまえたちは面白くてヤバい人間たちが必死に泳いでいるなア、と水槽を上から眺めている。でもそのうちに気づくだろう「1度は似たことを思ったことがある」「こんな人間、身近にいたな」と。
そう、おまえも水槽の中にいるんだよ

登場人物の「個性」は強調されているかもしれない。しかし、ぼくたち悪魔からすればよく見る光景であり、それはぼくたちが囁いているから生まれた出来事だ。あるあるストーリーを丁寧に描いていて、おお、よくかけているなあと感動した。だから、おそらく人間にとっては、いつの間にやら心臓の裏っかわを撫でられているような気持ちになれるよい本だと思う。

ぼくたち悪魔は、ほんとうに水槽の上からおまえたちをいっつも眺めているからね。それからちょっと虐めて、浮かんでくる腹をくすねるわけ。覚えときなね、人間。


因みに百合小説と紹介されたので読んだのだが、ぼくにはこれから百合を見つける目はなかった。このことはまた別の記事にまとめることにする。
作者も小説のおんなたちには百合的関係がある、と明言しているぞ。おまえの目は、ここから百合を見つけることができるかな?

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