#134 2つのベンチ

画像1 「また、こんなぁ~、絵にもならない所を描いて…」。通り掛かった古山画伯は哀れむような表情をして、悲哀に満ちた声でボソッと言いました。私は2つのベンチという対象物を含めた、スカンノの通りの空間に惹かれました。前日は、このベンチに老女が座っていました。何もしない。ただ息をしているだけのような過ごし方。なんと素敵な時の過ごし方でしょう。日本では、歳を重ねた者がゆったりとした時を過ごす、このような場などほとんど見られません。この空間をスケッチしたい。私は美術家ではなく、ただの旅人。そんな思いで描き続けました。

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