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どうして同性愛者は生まれるのか?生物学的な知見からの考察⑨

ホルホルの実で性別を変えるには、ホルモンだけでなく、脳の構造から変える必要がある。どうもアコニチンです。

この本を参考に、生物の性決定について引用していきます。

性の決定に関わる要因としては、性染色体によるものと環境によるものの二種類に分けられます。

哺乳類の性はX染色体とY染色体という性染色体が関わっています。XXであれば雌に、XYであれば雄になります。XXYという3本の性染色体を持つ(クラインフェルター症候群の患者である)と雄に、Xだけを持つ(ターナー症候群の患者である)と雌になることから、Y染色体を持つことが性を雄に決定する条件であることが分かっています。

哺乳類では、雄がXYの2種類の性染色体を持つのに対して、鳥類では雌が2種類の性染色体を持っています。雌に異なった2種類の性染色体が存在する場合、便宜上その性染色体はZ、Wと呼ばれます。

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次に、環境によって性が変わる生物を紹介していきます。

発生期(生まれるとき)の温度によって性が決定されており、下記のようなパターンが確認されています。ちなみに、温度がどのように感知されて性が決定されるのか、そのメカニズムに関しては不明です。温度に依存して性別が変わる生物は、一部の魚類、ワニ、一部のカメ、ムカシトカゲ、一部のトカゲがあげられます。

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温度に依存した性決定では、決定した後、性が変化することはありません。これに対し、一部の魚類や爬虫類では、性染色体を持たず、成体になってからの社会的地位によって性が決まり、その後さらに性転換を行うものもいます。例えば、ファインディング二モでおなじみ、カクレクマノミは、一匹のイソギンチャクに複数の個体がいる場合、常に最大の個体は雄、次に大きい個体は雌、それ以下のサイズは性的に未成熟だそうです。このとき、何らかのアクシデントで雌がいなくなると、雄が雌になり、未成熟個体で最大のものが雄となります。

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性染色体と環境(温度や社会的地位)によって性決定されるということが分かりました。では、性別によってどんな違いが出るのでしょうか。ヒトの脳に注目してみました。

ヒトの脳の視床下部にとあるニューロン群(脳細胞の集まり)があります。INAH-1、INAH-2、INAH-3、INAH-4(四つあわせて性的二型核)という名前がついています。このニューロン群の大きさが男性、女性、同性愛者によって違うという研究結果が出ています。しかし、研究者によって異なる結果が出ており、不明な点が多いのが現状です。

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INAHのほかにも、分界条床核(BST)や視床下部の視交叉上核、大脳、脳梁、前交連にも男女差があることが知られています。

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まだ研究されつくしていない分野なので、どうして同性愛者が生まれるのか、その生物学的な理由は分かっていません。もしかすると、同性愛は病気ではないので、生物学的な理由や違いなんてないのかもしれませんね。

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