生きているだけ。だけど、生きている。



僕の話をする。

僕は今年28歳で、埼玉県に住んでいる。趣味は小説書くこと、読書。ラーメン食べ歩き、製麺。暗号通貨の勉強。小説×トークンエコノミーを模索すること。

とりあえず大学を出てからの話をしよう。そうしよう。

僕は大学中に就職活動をまったくしなかった。なぜなら面倒くさかったからだ。自分が会社で働くという未来がまったく想像できなかったし、正直言って怖かった。あと社会に対する反抗みたいのもあった。青臭いな。

そんな僕だけど、どうにか無理矢理自分のやりたいこと、興味を持てることを見つける。それが「日本語教師」だ。
日本語教師とは外国人や日本語を母語としない人々に日本語を教える教師だ。
僕は外国人が日本文化に傾倒する様を見るのが好きだった。だからその手伝いをしたいと思った。

在学中に一年間勉強し、晴れて日本語学校で働くことになった。

でもうまくいかなったんだよな。

教師って教壇に立ってる時ものすごい孤独だ。誰も助けてくれない。むしろ、生徒を助ける立場だ。そして僕の作った教案(授業計画)を事前に先輩方にレビューしてもらうわけだけど、それがほんとにしんどかった。

教壇に立って僕が授業の実演をする。
すると先輩方が「ここがだめだ」「ここが違う」と指摘してくれる。そしてあらかた授業が終わるとしーんと静まり返って一人のベテランが言う。

「君はいったい何を学んできたのですが?」

ニコニコしながら言ったそれは、僕の自尊心を粉々に打ち砕いた。回りが真っ暗になって、何も考えられなくなった。足が震えて、頭がわんわんし始めた。

その通りだ。
僕はいったい何を学んで来たのだろう。教師だぞ?僕は教師になろうとしていたんだ。甘い気持ちじゃだめなんだ。僕はいったい何をしていたんだろう。本気で日本語教師をしようとしている人に失礼じゃないか。生徒に失礼じゃないか。

教師は生徒に責任をもって接しなければいけない。生徒の人生のいくらかを背負わなければいけない。僕にはそんな覚悟も気概もなかった。自分のことで精一杯だった。

そんなこんなで、日本語教師の職を辞した。

日本語学校に就職する前に、一緒に勉強していたお兄さんが言っていたことを思い出す。
「一度社会に出てから日本語教師だになった方がいいんじゃない?」
正にその通りだった。
僕は一瞬で新卒カードを捨て去り、第二新卒になった。

そのあと職を転々とするんだけど、それはまた別の話。

今はとりあえず生きている。自信喪失し、日々悩むことしかないけれど。生きているだけ、だけと、生きている。

僕はどこに流れていくのか。僕はほんとに自分がやりたいことをして、暮らしてよい人間なのか?

「そんなのいいに決まってるだろ?」

偉い人や自分に自信がある人はそういう。じゃあ僕は? 全然言い切れないよ。言い切れない。

電車のホームで朝日を待つ。まぶしい。今は暖かい。冬だけど。包むものは何もない。今日はマフラーを忘れてしまった。でも、僕はこの瞬間が好きだ。この瞬間だけは。

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