ほんとうの「独自性」 (2022/6/22)
記事の長さはおよそ1,700文字。2〜3分程度で読めます。
記事のポイント
集英社、小学館、講談社の出版大手3社は、雑誌の編集システム共通化に乗り出した。
集英社が開発した総合紙面制作プラットフォーム「MDAM(エムダム)」を小学館、講談社が既に導入した。他にも光文社、主婦と生活社、世界文化社グループが採用し、大手中堅各社に参加を呼びかけていく。
このシステムで雑誌の表紙から裏表紙まで全ページの基本的な編集作業が完結する。どの雑誌でも共通する機能を揃えた。
アクセス権限によって自社の編集部員だけでなく、フリーのライター、営業・管理部門の担当者らが校正の進捗状況をリアルタイムで確認できるようになった。
これまでは出版社の中でも雑誌編集部ごとに異なるソフトやツールを使うことが多かったため、編集部を異動すると新しいフローを覚える必要があり、作業の断絶が起きていた。編集作業を標準化して効率を高める。
ウェブやアプリでの電子配信が普及した中で、画像データをスピーディーに扱えるメリットもある。
もともと集英社が2017年、男性誌「週刊プレイボーイ」を皮切りに19媒体に導入。同じ課題に頭を悩ませてきた小学館が18年に採用し、19年に講談社に広がった。
共通システムで管理しているコンテンツを生かして新たなサービスを生み出そうと、3社で戦略委員会を設置しており、今秋をめどに具体的な事業計画をまとめる方針。
出版科学研究所によると、国内の雑誌販売金額は21年に5276億円となり、24年連続のマイナス。ピークだった1997年の約3割の水準にまで落ち込んでいる。
雑誌の低迷が続く中、ライバルが協力して新たな収益モデルを築く。
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雑誌を買わなくなりましたね。
20〜30代のころは、週刊誌、月刊誌で定期的に買っているものがいくつかありましたが、今では1年に1冊買うか買わないかというレベルになりました。
同じ期間で比べて、本の購入頻度はほとんど変わっていないか、むしろ増えているくらいなので、雑誌の凋落が際立っていますね。
販売金額がピーク時の約3割になっているのも納得です。
皆さんは最近、いつ雑誌を買いましたか?
そんな厳しい経営環境もあり、日本の名だたる大手出版社が協力して雑誌編集システムの共通化に取り組んでいます。
編集プロセスの共通化には大賛成です。
私はコンサルティング会社にいたころに、いくつもの業務改善やシステム導入のプロジェクトに関わりましたが、そのときにいつもクライアント様がおっしゃる言葉がありました。
「うちのやり方は独特だからね〜」
自社の「業務のやり方(業務プロセス)」が独特なことに強い誇り?を持っている方が多かったですね。
そのためシステム導入では、独特な業務プロセスを維持するために汎用的なパッケージシステムを選ばずに独自開発。
パッケージを入れるにしても、本当に必要か?と疑いたくなるようなカスタマイズ(修正)を要望されることが多かったです。
当然ながらカスタマイズを加えれば加えるほど、システムの開発コストは高くなります。
では追加の開発コストをかけて守った独特な業務のやり方が、最終的な顧客に対する成果物(商品やサービス)の独自性に活かされているかというと、残念ながらそうでないことが多かったです。
顧客がお金を払うのは、「独自の業務のやり方」に対してではなく、「独自の商品やサービス」に対してなんですよね。
顧客が価値を認めてくれない独自性にこだわってコストをかけても、顧客はそれに見合うお金を払ってはくれません。
顧客が価値を認めて対価を払ってくれる「自社のほんとうの独自性(強み)」は何かを見極めること、そしてそれを高めるためにコストをかけること。
逆の言い方をすれば、それ以外の部分は共通化するなりして、よりコストをかけないようにすることが大切です。
独自コンテンツ満載で、買いたくなるような雑誌が出てくるのを期待したいですね。
本投稿は日経新聞に記載された記事を読んで、
私が感じたこと、考えたことについて記載しています。
みなさんの考えるヒントになれば嬉しいです。
「マガジン」にも保存しています。
「学びをよろこびに、人生にリーダシップを」
ディアログ 小川
美味しいものを食べて、次回の投稿に向けて英気を養います(笑)。