大道芸ワールドカップ実行委員会についての個人的考察_基礎編

備忘録の趣旨

私はコロナ前まで実行委員の一人として実行委員会に参加していました。
そんな私から見た実行委員会の(当時の)実情と実行委員会の内外に存在した問題点をここに記しておこうと思います。

これは私が実際に見聞きし体感したことですが、一人の視線でしかありません。昨今の問題に対する一つの考えとして受け取っていただけると幸いです。

このnoteの定義

まずは実行委員会や関連団体に対してそれぞれの説明を行おうと思います。とはいえ、さらにコロナ禍で内部の構造が変わっているというお話を聞いていますので、今現在は違っているかもしれません。

イベント

実行委員会が主催として開催しているイベントが、正式名称を「大道芸ワールドカップin静岡」と言います。
2022年に開催されるなら「大道芸ワールドカップin静岡 2022」と西暦でナンバリングされます。

主催が大道芸ワールドカップ実行委員会、共催が静岡市です。 「大道芸」という日本語からはジャグリングなどを想像するかと思いますが、対象は「パフォーミングアーツ」であり身体(肉体)を使った表現です。

名前の通り、世界から集めたパフォーマーからチャンピオンを決めるワールドカップ部門があります。ただ、ワールドカップ部門に出場するパフォーマーは参加パフォーマーのほんの一部であり、大半はコンペティション対象ではないオン部門、フリンジ部門(オフ部門)に登録されます。

実行委員会

任意団体

実行委員会は市民の集合体であり任意の団体です。実行委員は実行委員長含めて全てボランティアで活動しています。(元Pもボランティアとして参加していました)

100人超が所属し、1億を超える資金を動かす任意団体は全国的に見ても珍しいのではないでしょか。(他の地域イベントの内情を知らないので、もし似たような事例があれば教えてください。)

任意団体なので団体に法人格はありません。
法的な後ろ盾が無いため何をするにしても脆弱です。自分たちで資金開発するにしても助成金を取得するにしても不利でしかありません。なので、幾度か法人化を目指すような目標が掲げられた事はありますが、内部・外部の要因で実現はしませんでした。

実行委員長

実行委員長には、基本的には静岡の財界人が就きます。

前述の通り、実行委員会は任意団体なので組織として銀行口座を持ったり外部団体や企業と契約ごとを行うことができません。お金や責任の絡む事は実行委員長の個人名義を使用します。

相手方の事を考えるに、契約相手に社会的な実績や財力がないと担保が取りにくいと思います。スポンサーや関連企業の事を考えると、ある程度の財力と認知度・実績がある人物が適任となります。

プロデューサー

プロデューサーも一人つける事になっています。
(前Pが就任するまでしばらく不在でした) 大会のビジョンを定めブランディングをおこなう方であると認識しています。(規約上には文字で役割が明記されていますが、内部資料であるため転記はやめておきます)

しかしながら、一実行委員ではPが何をしているのかがとても見えづらく、業務への理解度は高くありませんでした。(ただこれは、平社員では役員の業務を把握できない、という一般企業では当たり前な事象と同様なのかもしれません)

チーフディレクター

大会のビジョンと現場を調整するためにチーフディレクターという役割もあります。
といっても、運営側なので立場的にはプロデューサーの運営方針を支えるような意味合いが強かったです。
複数人おり、叩き上げで現場の声を吸い上げようとしていた人もいましたが、どなたも上手くは調整できていませんでした。中間管理職を地で行っているような役職だったと思います。

以上が一般企業で言う運営層(役職)です。

実行委員

現場運営として、多い時で100名を超える実行委員が存在し、各役割ごとにチーム分けされています。

全員が静岡市に住んでいるわけではなく、市外県外の方も多く参加していました。会議のたびに静岡に来る事になるので負担は相当にあったと思いますし、私にもありました(ボランティアなので交通費も一切出ませんでした)。

実行委員をやっていると、とにかく昨年と同様に運営する事に体力を奪われてしまいます。イノベーションは生まれにくい環境だったと思います。

また、やりたい事はあるが経費までを見通して事業計画を立てられる方は少なかったです。マネタイズ(事業で生まれる相対的な価値)まで考えられる人は稀でした。

「自分たちもボランティアだから」という意識は常にあって、実行委員の力を過小評価している人も多かったです。大会との関わり方や関係性の認識違い、運営層とうまくコミュニケーションができていませんでした。

事務局

実行委員会の窓口として事務局があります。
ボランティアである実行委員は、学業や仕事、家庭などが最優先であるため、外部団体とのやり取りに支障をきたす事があります。そのため、有償のスタッフが常駐し、各種団体や企業、静岡市とやり取りを行っています。

規約上では実行委員会内部には入っていませんでした。
窓口業務や会計処理、雑務などを実行委員会から委託されている形なので、実行委員会の承諾なく判断をすることは基本的にはありません。
そのため、実行委員会の動きが鈍く事務局が動くに動けない、という現象が度々発生していました。※緊急性のあるものに関してはそれまでの慣例に習って判断していた場合はあります。

実行委員会の地盤を固めるために事務局員を増やした時期もありますが、この余白はそれを書くには狭すぎるので割愛します。

当日ボランティア

当日に現場で実務を担当してくれるボランティアスタッフは「当日ボランティア(当ボラ)」と呼ばれていました。
当ボラさんは多い時で1000人を超えています。

実行委員も当ボラさんも同じボランティアで立場は一緒、という事をしきりに言っていました。
ただ、規約上では当ボラさんは実行委員会には所属していません。責任分界点だったとは思いますが、この差が一部の熱心な当ボラさんにはヒエラルキーを意識させましたし、実行委員との間で信頼関係が上手く築けない場面もありました。

今思えばですが、「役割の違い」を丁寧に説明すべきだったのかもしれません。(何につけても説明は足りていない組織だったと思います。)

共催・スポンサー

静岡市

イベントの共催は静岡市です。
イベントにかかわる責務は実行委員会と共に負う立場にありますが、実行委員会が独自に行なった事業は静岡市に責任はありません。

ここはとても重要で、市から「勝手にやったこと」とみなされてしまうと、全ての責任が実行委員会(=委員長)にいきます。

これは双方にとって不幸なことなので、それを防ぐために実行委員会内の主要な会議には静岡市からの担当者に出席してもらい、運営や契約に関しても都度担当者を通じて情報共有(実行委員会目線だとお伺い)をしています。

別の視点の話をします。
静岡市はイベント運営の目的で実行委員会に助成金(公金)を支出しています。
市の予算は議会で承認を得る必要があります。議会に対して、事業計画(予算)を提出し、質疑応答を受け、承認を得た予算が実行委員会にイベント実行費として助成されます。
つまり、議会に対しての説明責任は市にあります。もし計画と違うお金の使われ方をすれば、その責任も市にあります。

実行委員会が助成金で行う事業は市の担当者を通じて必ず確認します。また、勝手に事業を進めてしまうと、助成金の対象外と言われてお金が出ない可能性があるため、実行委員会は市の承諾を必ずとります。
もちろん、ブースで使用する鉛筆1本を購入する事にまでは関与し合いませんが、事業の計画書、見積もり、契約内容、領収書、支払い実績は全て担当者が目を通して上長に報告し、市の認識とズレがないようにやり取りをしていました。

(つらつらと述べましたが、上記のような助成金の流れに関しては誰からも説明を受けたことはありません。ここで書いている事は私が調べた事なので、間違いや勘違いもあると思います。後学のためにご指摘とご教授を頂けると幸いです。)

メインスポンサー

キリンビール株式会社とキリンビバレッジ株式会社がメインスポンサーです。大手企業なので、当然に広告代理店が間に入っています。

競合他社とのバッティング防止など一般的なスポンサーからの要求はあったと思います。当日ボランティアがブース内で飲む飲料水も、競合他社の製品はNGです。ラベルを剥がしたり、水筒に入れ替えるなどの工夫をしていました。

上記以上の、例えば運営方針に関してなどでキリン社が何か意見するような事は見聞きしていません。毎年全体説明会に両社の支店長が挨拶に来られ、当日ボランティア含む全てのスタッフに応援のメッセージを投げかけてくれていました。(プラスしてお土産も用意してくれていました)

その他スポンサー

キリン社以外からも多くの企業からスポンサードされていました。
過去も含めて私が知っている限りでは、創価学会やパチンコ関係企業などからもスポンサードを受けていましたが、自社の認知度アップとイメージアップが主であり、キリン社同様に実行委員会に対して主義主張を強要するような事はありませんでした。

ただ残念な事に、資金提供を盾に内部干渉してくる地元企業もありました。 静岡は狭い地域なので、実行委員会の人事や体制が政争の具として使われる事もあります。
「ほんとかよ!?」と思われる方も多いでしょうが、それだけ大きなイベントであると認識しておかないと、気づかぬうちにおかしな人が入り込んでしまいます。


以上が基礎知識です。
それ以外に知りたいことがありましたらコメント下さい。全てには対応できませんが、分かる範囲とできる範囲で追記しようと思います。


→大道芸ワールドカップ実行委員会についての個人的考察_問題点その1

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