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母がいる

ある時から気になり出した。
自分の中に亡くなった母がいること。
うっかりした失敗の癖、あくびの声、匂い。
お祓いすれば消えてくれるだろうか。
なぜなら、どうしても虐待を受けていた自分が、体の中で苦しいのだ。
カウンセラーさんに話していて、
「私は『家族』という味方がいなかったから、味方になってくれる『家族』が欲しい」
そう、ポロッと言葉が転げ出た。
改めて言葉にすると、胸が苦しくなる。
まだ10代にもならない子供、10代の大人から狙われやすい子供。
一度も助け出してはもらえないどころか、
「お前が全部悪い。障害者だし、文句言うな」

令和になった今でも苦しむなんて、おかしいだろうか。しがみついてるわけではない。
べっとりと全身にまみれた、何かのように洗い流せないのだ。

自分の中にいる母を追い出したく、
お線香をあげてみている。
早く離れてくれ。
私はもう、あなたの所有物じゃないのだ。

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