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ミータソの企業分析【ウェルスナビ】2020年4Q

こんにちはー、引き続きIPO株の動向が気になってるミータソです。

2月19日上場のWACULが初値/公募価格=4.4倍でしたが、その後株価は下降線。米国債金利上昇に引きづられて日本株も全体的に株価下降線もあるんでしょうか。

直近のCAGRも高く、必要なスキルの敷居を下げるDX支援的なサービスはプレイドにせよ、ヤプリにせよ、今後も成長が期待できると思うので、もうちょい下がって1,600円くらいになったら仕込みたいです。

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今回はロボアドバイザーによる資産運用サービスのウェルスナビを取り上げました。2020年下期に上場後、コロナ相場で株価の後押しもあり、ついにおまかせNISA取り扱い開始と決算も事業も絶好調のようです。

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【おまかせNISA】
NISA(少額投資非課税制度)のメリットを活用しながら、「長期・積立・分散」の資産運用を「WealthNavi」にすべておまかせできる機能

同じ資産運用系のTHEO(お金のデザイン)やFOLIO、楽ラップと軽く比較しつつみていきましょう!

1. 会社概要

【基本情報】
ウェルスナビは2015年4月に創業、2020年12月に上場しました。上場時の時価総額は約517億円、IPOラウンドで26億円ほど新規調達しました。

IPO直前期売上が15.5億円、最終利益が▲20.6億円と大幅な赤字上場だったんですよね。市場での吸収金額197.2億円と大規模にもかかわらず初値騰落率がちょうど1.5倍。従業員数は2020年12月末で91名。

【経営メンバー】
代表の柴山さんは東大→財務省→マッキンゼーと超絶エリート。マッキンゼーでも金融セクターで機関投資家への助言業務と、ウェルスナビのサービスと近しい業務を経験し、起業しています。

ハーバードロースクールだけでなくINSEAD MBA、そしてNY州弁護士もってるなんてどこまで勉強熱心なんだ。。。投資銀行のM&A出身のCFOやクオンツ出身の執行役員(アルゴリズム開発)とバリバリの金融系が脇を固めています。

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【創業のきっかけ】
柴山さんはアメリカ人の奥さんと国際結婚、奥さんの親から「資産運用してほしい」とお願いされた時に、柴山さんの親とで10倍もの金融資産の格差があったそうです。親は、若い頃から余裕資金をすべて積み立て、世界中の株式や債券に30年近く分散投資してきたそうです。

柴山さんの親世代の日本人にとって、給与は銀行預金に寝かせておくもの。一部を資産運用に充てるというのは、決して身近な方法ではなかったと。「親世代が若かった頃、一般の人でも世界水準の資産運用ができるサービスが日本にあれば」と思い立ち、テックキャンプでプログラミングを学び、ウェルスナビを開発したそうです。

【株主の状況】
創業者の柴山さんの持分は24.84%、主幹事証券のSBI系が14.24%(6.46+5.38+2.4)、そしてグリー(AT-I投資事業有限責任組合)が9.18%持ってますね。特にグリーはウェルスナビ創業後半年たった2015年10月からのお付き合いです。

その際、シードラウンドで資金調達額なんと6億円!フィンテックでお金がかかるとはいえ、IVSで有名なインフィニティベンチャーさん含め相当な投資家達の注目と期待を創業時から浴びていたんだと思います。(下の図は東京IPOさんより拝借 http://www.tokyoipo.com/ )

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【事業概要】
世界の富裕層が利用する金融アルゴリズムに基づいたロボアドバイザーが、完全に中立な立場から、すべて自動で、世界分散投資を行うサービスです。顧客一人ひとりにとって最適な資産運用を、ネットを通じて提供しています。顧客は最低1口100万円から資産運用をスタートでき、ウェルスナビ側の手数料は顧客預かり資産の1%(年率、税抜)となります。

2. 事業詳細

【サービスの特徴】
ロボアド、世界分散投資、全て自動化、ほったらかし、手数料1%。ぱっと聞いてどのようなサービスか、そしてどのユーザーに刺さるのわかりやすいです。5つの質問で運用プランをしてくれ、同時にリスク許容度も1~5まで可視化。入金すれば日々の運用成績を確認可能と非常にUIUXに優れています。

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個人的にはこの年間1%の手数料、他のインデックス投信やETFみても運用コスト諸々で0.2~0.4%くらいでしょうか、やはり高いと思います。ただ、年金2000万円問題って聞いたことある、なんか年金に期待できないっぽいぞ。余裕資金はあるから自分の資産は自分で管理しないと!けどなにからやっていいのかわからない、

証券口座開設しようにも手続複雑でめんどくさい、開設しても商品いっぱいありすぎて何から買って良いのかわからない。発注ってどうしたらいいの?指値?成行?ちゃんと分かりたい人にとっては頭痛くなるくらい長いプロセス・・・日々を忙しく過ごすサラリーマンにはこれを自動でやってくれ、あとはほったらかし!だったら0.数%なんて気にならないんですよね。

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ちなみにウェルスナビのユーザーは20~50代が9割を超え、92%が働く世代。また投資未経験者が全体の30%ほど、3人に1人が投資をやったことがない人達です。逆に言うと投資経験がある人達にしっかりと評価され、使われてる点が特徴的です。

2016年に開始のサービスが5年弱で3,700億円弱も日本人のお金が集まり、シェアは70%弱。他社で一番多くて18%ほどですから、国内ロボアドといえばウェルスナビが飛び抜けてます。


【プライシング】
預かり資産全体の1%、非常にシンプルです。資産時価に対してなので、ユーザーが毎月積立で預ければ、ウェルスナビはその分手数料取れるだけでなく、預けた先のロボットによる運用成績が順調に伸びてれば、その分も手数料として取れるんですよね。

このようにマーケットの伸びに応じて加速度的にトップラインが成長していく構造になっています。一方このような収益がマーケット連動、つまり株式市場の値動きに左右される点がウェルスナビのリスクでもあるんです。

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3. 財務概要

営業収益・営業利益・最終利益ともに業績予想を達成しております。前期比60%超の営業収益・預かり資産の成長、平均月次解約率1%弱、ARR31.9億円、もともと赤字見通しだったので、決算としては文句ない数値ではないでしょうか。

費用はSBI証券、イオン銀行、三菱UFJといった提携金融機関への販売手数料、開発系その他人件費、広告宣伝費が主なところかと。既に広告宣伝費を除く営業損益はプラスとのことなので、今後徐々にパートナー比率を下げるとともに、過去の広告宣伝費を回収するフェーズに切り替えている途中でしょう。

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4. 株価予想


ここ数日でマザーズで調整が入った割にウェルスナビの株価は堅調です。時価総額も1330億円と、長期的視野にたった機関、その他安定した投資家が買い支えているのかもしれませんね。

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業績予想ガイダンスを達成できている一方で、ウェルスナビのリスクである
株式市場の値動きに左右される点、会社スライドではコロナ禍で株が下がったけど、解約等それほどなくユーザー離れの影響は小さかった旨の説明をしています。

一方サービスリリースは2016年、たぶんウェルスナビのユーザーは旧バブル後、リーマンショックその他長期的な下げ相場を経験していない方も相当数いると思います。アベノミクスの上げ相場のみ、ユーザーの3人に1人が投資をやったことない人達ですしね。

冒頭にも話しましたが、米国債利回りが上昇傾向にあり、株から債券に資金が流入し、米国株のマイナス影響が日本株へ波及し、マクロ影響で運用成績のマイナスが長期的に続いた際に、ユーザーがどのような判断をするのか不透明なところもあるので、一旦は静観したいです。

資産運用系のマザーズ銘柄なら、個人投資家向けに株に関する情報サービスを提供するミンカブとかあります。21年6月に今流行りの米国株関連サービスを開始するようです。

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5. ミータソのスタートアップファイナンス情報発信について

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マザーズ上場企業の企業分析だけじゃなく、スタートアップファイナンスなどつぶやいてますので、もしよかったらフォローしてください。泣いて喜びます。

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