Like a『春色』バトルフィールド ♯5
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ピンクから茶色に近いくすんだ色に変化した桜が、第四校舎前に掃き溜められていた。
新入生向けのサークル説明会が部室で改めて行われ、サークル員たちとの顔合わせがあった。始めて部室に来た時にはなかった長机とパイプ椅子が四角形に並べられ、順番に先輩たちが立ち上がり自己紹介をした。自分の性の目覚めからセクシャリティまで笑いを交えて全て話す人もいれば、名前と年齢だけ言う人もいたり、ただ自分の趣味のサバイバルゲームについてひとしきり話した後、興味ある人いたら今度一緒に千葉に行きましょう、と締めた人もいた。話すことの差については先輩たちが気にしている様子はなく、こうやって話したいことだけ話せばいい、という新入生に対しての見本を示してくれているようにも見えた。僕の他には二人の新入生が入った。二人は控えめに自分がトランスジェンダーであることとパンセクシャルであることを明かしただけだったので(僕もパンセクだよ!と潤さんが言っていた)、僕も同様に名前と、自分がゲイセクシャルであるということだけ言って席に着いた。
活動についての簡単な説明の後入部届けを書き、そのまま部室内で歓迎会が行われた。長机を二つ片付け残り二つを並べて即席のテーブルにし、そこにお菓子を広げた。椅子を適当に移動させそれぞれの新入生を二〜三人の先輩たちが囲う形で集まり三つのグループが自然にできあがった。
僕のグループには吉原さんと坂上さんという先輩がいた。吉原さんは女性で、坂上さんは男性だった。二人の人柄に惹かれすぐ仲良くなり、僕は歓迎会後もよくこの二人と一緒にいることが多くなった。
吉原さんは、白井さんのことが好きだった。
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