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#4 空間と作品(前編)


⌛︎この記事は読むのに約5分かかります。



パブロ・ピカソ《腕を組んですわるサルタンバンク》
画像は美術手帖より引用



今回は東京アーティゾン美術館7月27日〜10月14日まで行われている「空間と作品」の感想をまとめました!


※前後編の記事です


↓展覧会の概要(長くてすみません!)

美術館の展示室に整然とならぶ美術品、それらは、今日誰もが鑑賞することのできる公共的なものとなっています。

ですが、その美術品が生まれた時のことを振り返ると、それは邸宅の建具として作られたり、プライベートな部屋を飾るためにえがかれたりと、それを所有する人との関係によって生み出されたものであることが分かります。

また、時を経る間に、何人もの手を渡り、受け継がれてきたものもあります。

この展覧会では、モネ、セザンヌ、藤田嗣治、岸田劉生、琳派による作品や抽象絵画まで、古今東西、様々な分野の作品からなる石橋財団コレクション144点によって、美術品がどのような状況で生まれ、どのように扱われ、受け継いでこられたのか、その時々の場を想像し体感してみます。

https://www.artizon.museum/exhibition/detail/574



満足度は★★★★★で、普段美術館に行かない人でも楽しめるスポットに違いありません!


岸田劉生麗子像


<こんな人におすすめ!>


・購入者が実際どのように作品を見ていたか
 知りたい人!

額縁と絵画の関係性を理解したい人!

・マティス、ルノワール、ピカソなどの世界的に
 有名な作家
の作品を見たい人!




建物も清潔感があります


<料金>
一般:1200円、学生:無料



<アクセス>
東京、京橋、日本橋駅から徒歩5分



メアリー・カサット ≪娘に読み聞かせるオーガスタ≫



ここからは、作品に対しての感想解説をしていきます!




6Fー空間と作品の見事な調和


円山応挙≪竹に狗子波に鴨図襖≫
狗子はのことを指します。



まあまあ長い廊下の奥を進むと、まさかの!と
! 実際に畳に座ることもできましたよ。


特に日本画は和の空間で飾られると、作品の良さが引き立つと感じました。


拡大図



ちなみに≪竹に狗子波に鴨図襖≫紙本墨画淡彩というカテゴリです。

(紙本墨画→紙の上に墨で描いた絵、淡彩→水墨画に部分的に色を施したものという意味)



イラン ≪白地多彩人物草花文タイル≫


イランでガージャール朝の時に作られたようです。(ガージャル朝は、19世紀の列強の国々による進出に巻き込まれた少々可哀想な王朝です) 


↓このサイトでは、イラン製のタイルがたくさん見れますよ!



佐伯祐三≪カフェテラスの広告≫


お金で見るのはあまり好きではないですが、写真の椅子(Artifort製のF976)を調べたら、中古でも17〜20万で取引されていて驚きました。

Artifortはオランダの家具メーカーで、F976ジェフリー・ハーコートという人がデザインしたそうです!

拡大図

この絵は、佐伯祐三が亡くなる1年前に描かれた作品で、その時彼は2度目のフランスにいました。



屋外制作も積極的にしていたそうで、鮮やかなタッチ雰囲気の捉え方の上手さにも頷けます。



↓佐伯祐三の作品がもっと見たい方は、ここから
 どうぞ!




フランソワ・ポンポン≪しゃこ≫
エットレ・ソットサス
≪二段組のサイドボード(Model MS.120)≫


では彫刻家のフランソワ・ポンポンの方から。(名前が可愛い)


ポンポンの代表作≪白熊
画像はWikipediaから


ポンポン
を語る上で、切り離せないのは≪考える人≫を作ったオーギュスト・ロダンの存在です。


ポンポンは35歳頃からロダンの助手として働くようになりますが、今回の展示品である≪しゃこ≫は
その合間に作られていたようです。

シャコ(しゃこ)はヨーロッパにも広く生息している鳥で、ポンポンの時代にも身近だったのでしょう。


同時期に作られた≪ほろほろ鳥
画像は群馬県立館林美術館から



ポンポンは若い時も昼間は仕事をして、夜に美術学校に通うという生活をしていたそうです。
それだけ彫刻への熱意があったのでしょう。



続いて、建築家兼デザイナーのエットレ・ソットサス≪二段組のサイドボード(Model MS.120)≫


再掲


私はこの家具を最初に見た時、なんてかっこいいチェストなんだ!と感動しました。


そして帰ってきた後、展示品リストを余韻に浸りながら見ていたのですが、なんとチェストではなく、サイドボードと書かれてありました。



私はそこで壁にぶち当たります。
そもそも「サイドボード」って何だ?


調べるとこんな情報が…


衣類収納家具として使用するならチェストと呼び、飾り棚や書類棚として使うならサイドボードと呼べばよいのです。

https://wow.jpn.com/magazine/?p=872#:~:text=実は、それぞれの家具を,呼べばよいのです%E3%80%82


なるほど。飾り棚…なんと豪華な棚の使い方なんだ!



The Indian Memory Basilico バジリコ ティーポット≫ 出典:https://metrocs.jp/item/4121/



ソットサスは他にも、玩具のような面白さ奇抜さを兼ね備えた唯一無二の製品を後世に残しました。


≪カールトン CARLTON 本棚≫
出典:https://metrocs.jp/item/5607/


5Fー影響を受ける画家たち


海老原喜之助≪素描


5Fは、影響を受ける画家たちのようなテーマがある作品が数点並べてありました。(普通に展示されてある作品が大多数)


この≪素描≫だけ私が紹介しても何のこっちゃって
話ですが、隣にはパブロ・ピカソの彫刻が置かれていました。


左がピカソの≪道化師
画像はTOKYO ART BEATからお借りしました


どういうことかというと、この作品の作者である
海老原喜之助ピカソの彫刻を過去に持っていたそうです。


この展示方法で、西洋文化に影響を受ける日本人画家の姿を見せたかったのではないでしょうか。(モチーフの選び方が西洋っぽい)



伝 俵屋宗達《伊勢物語図色紙 彦星

風神雷神図屏風≫でお馴染みの俵屋宗達!
初めて宗達の作品を見ましたが、精巧という言葉がぴったり合っていて、隙がないなという印象を受けました。


前田青邨《風神雷神》が隣には飾られていました
画像は美術手帖からお借りしました


これは私の推測ですが、この図色紙は


ひこ星に恋はまさりぬ天の河へだつる関をいまはやめてよ 


現代語訳 一年に一夜しか織姫に逢えぬ彦星よりも私があなたを恋する気持ちはまさっている。
天の川のように二人を隔てる関所のような仕切りを今はやめてくれ。 

という伊勢物語に収録されている和歌の一場面だと思われます。

↓出典



ここまでいかがでしたか??



文字数がこのままいくと4000文字は軽く
超えそうなので、今回は一度切らせていただきます。


後編も一週間以内には書き上げるので、楽しみに待っていただけると嬉しいです!



それでは。 




↓横浜のそごう美術館に行ってきました。
 宜しければどうぞ。