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コンフェスコ 15/n ダフネとジャン

 ダフネには好きなひとがいました。
少し年上の、音楽の好きなジャンに憧れていました。
  ジャンの歌う歌が大好きでした。その芯の強さを感じさせる、しかし時に繊細にやさしく語りかけるような歌声がとてもとても好きでした。

  ジャンが歌を歌うところは決まっていました。

  コンフェスコたちが住む寝蔵から大きな木の反対側へ進んだところに木々の囲む小さな広場がありました。
 小さな広場の真ん中には大きめの胡桃のような石があります。

 ジャンは月が明るい夜には胡桃のような石に乗って歌を歌っていました。

  少し寒いけれど月がきれいな夜に散歩をしていたダフネは少し遠くから聞こえるやさしい歌声に気がついて、導かれるように広場の方へ近づいて行きました。

 明るい月の光を浴びて、ゆったりと歌う影。

 広場のすみにある木から顔を覗かせて、声の主をそっと見てみました。

 やさしい、しかしどこか切ない表情で歌を歌うジャンの姿が見えました。

 ダフネはその美しい姿にただただ見とれていました。

  ダフネはその後も、明るい月の日に小さな広場へ通いました。

 広場へ通うたびにすこしずつすこしずつ、ジャンとお話をしてみたい、触れ合いたいという気持ちが強くなっていきました。

  ある夜、気持ちが抑えられなくなったダフネはジャンに声をかけました。

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