プロのライターの記事を分解して素人の記事と比較して何がすごいのか考察してみた
経緯
人が読んで感心、得をしたと思う記事、プロっぽい文章とは何なのか、人の心を動かす文章とは何なのか、を自分の現状と比較して一考してみたいキッカケがあった。
文春オンラインにて公開されている、庵野秀明ドキュメントの下記レポート記事を見た。(記者はRAM RIDERさん)
同番組の色んなネット記事のレポートを見たが、記事のクオリティの高さが飛び抜けていた。
自分も同番組のレポート記事(下記)を書いていたのでより身にしみて、同じ事実、コンテンツから生み出される文章の違いというものについて考えさせられた。
お金をもらって書くライターというプロの仕事なのだから当たり前と言われればそうなのだろうが、どうしてこんなに自分はこの記事に心を動かされたのか、何が自分と違うのか掘り下げてみたいと思った。
まず記事の構成要素から分解し、自分の記事との比較をしたいと思う。
構成要素
以下二つの表は、前述の二つのプロと素人の記事の構成の比較表になる。
プロ(RAM RIDER氏)の記事の構成
「困ってる姿を撮るのがいいですよ」シン・エヴァ庵野密着、本当の“プロフェッショナル”は誰だったのか
素人(0take)の記事の構成
庵野秀明氏のドキュメンタリーから見るシンエヴァと人間性
比較
以下のポイントごとにピックアップ
・重複要素
・文字数
・事実と考察
・重複要素
青セルがプロと素人の重複要素
自分の記事には、前提のTV版エヴァシリーズの解説と時代背景、及び番組紹介がないことがわかる。
・文字数
総文字数は、プロが4920文字、素人が1663文字と2倍近くの差がある。
前述の重複していない要素の文の文字数もあるが、それぞれの章立ての文字の表現のボリューム量がプロの方が多いことが窺える。
・事実と考察
事実と考察の割合だがプロの記事のほうは、バランスがいい。
基本は事実からの考察を絡めており、事実のみ、考察のみの章もあり、創造の幅を広げている。
なにがすごいのか
ここまで、記事の骨格となる要素を分解して比較を行った。
結論としてやはりプロの方が多くの読み手の気持ちと知識と欲しているものを想定した構成となっている。
特に顕著なのがTV版エヴァシリーズの紹介と時代背景、番組紹介のところだろう。
読み手を置いてけぼりにしない前提条件、自分が感じた、言いたいことだけ言う構成とは相半する、事実の掘り下げ、調査部分だ。
人が感心する、得をしたと思う記事
人が感心、得をしたと思う記事には大きく以下のポイントがあると思う。
①置いてけぼりにされない
②わかった気になれる
③共感
④知らない情報が知れる
記事の性質によって、読み手の層は違うが、今回のようなドキュメンタリー番組、庵野秀明氏、という性質上、多くの読者は難解な考察よりも、わかりやすくエヴァシリーズ/庵野秀明と番組の振り返りを求めていたのだと思う。
事実と考察と表現
ここまで、目次の骨格要素のみをとりあげて話してきたが、もう一つ人が惹きつけれられる文章の大事な点がある。
個々の文章の言葉選び、表現力だ。
これはもう圧倒的で、何故こんな文章がどう出るのか、どう評価したらいいのかすら書く言葉が見つからないほど私は、文章の表現、語彙に対して弱者だ。
読書という習慣はまったくないが、単純に読書だけしてきて身につくものでもこれはない気がする。
ただ、悲観的になる必要はなくて、私自身はわかりやすいものが好きだし、自分のわかる言葉でシンプルに今後も書いていければいいと思う。
無理にプロに寄せていく必要はなくて、自分が本当に望むなら、そういった文章を読んでいくうちに自然と内から外に表現されていくものだと感じた。
単数/複数の事実からN階層に掘り下げる技術
ここまで骨格、表現力、ときた。
では、最後に事実から何階層までも掘り下げられる、考察力だ。
これも、思考の癖、方法論、対象の好きへの情熱、知識量、などいくつかポイントはあると思うのだが、単純に常にこの項目を意識しているか?という点も大きいと感じた。
私はよく岡田斗司夫のレビュー動画なども見るのだが、あの人のすごいところは、事実、真実かどうかは置いておいて、一つの考察を軸にどんどん積み上げて岡田考察ワールドを作り上げてしまうところだ。
それがまったくのでたらめの妄想レベルではまったく楽しくないのだが、うまい具合に事実を織り交ぜつつ、ここは事実寄りベースで、ここは妄想寄りベースのが面白いなど、状況に応じて対応しているところだ。
まとめ:読み手の反応をどこまで深く考えられるか,表現力,掘り下げ力
まとめると、以下の3つのポイントがすごいという結論に至った。
・いかに読み手の反応を深く考えて、寄り添って目次の骨格を作り上げられるか。
・いかに読み手の心を動かす表現力のある個々の文章を書くか。
・いかに読み手の想定の範囲を超える驚きを得る情報まで掘り下げられるか。
つまり、これができればプロのライターになれる、ということ。
ライターって人と話さなくていい、自由、とかいうけどめっちゃ人に寄り添いますね、うん。
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