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時間に追われて

「忙殺」は感情の死だ。

君は今、紛れもない傍観者だ。
他人の時計を体に巻いて、その針の回転を頼りにしている。

本当はオペレーションを回す為の維持単位として
他人の物語で消耗しているのに、
これが一人前なのだ、と、いっちょまえに今を生きているつもりになっている。

そうして、秒針の摩擦熱に浮かされながら
承認欲のまどろみの中で、傍っと自我の輪郭が溶けている。

予報外れの夕立に降られて、濡れた前髪で額が冷たい。そんな帰り道、フィクションに漂わせていた意識がプツンと醒める。

閉じたままの暗い脳裡の隅っこに、ボウッと灯るData.1。
見つめなければいけないのは、自分の時計のカウントダウンのほうではなかったか。

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