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【続巻マンガ紹介】『永世乙女の戦い方 10巻』が熱い!

マンガが好き過ぎて、マンガの貯蔵量が60,000冊を越えながらも、毎月新しいマンガを買い漁る僕が、前回1~9巻までの名言を紹介したマンガである『永世乙女の戦い方』(©くずしろ/小学館)の最新刊:10巻を紹介させていただきます。

永世乙女の戦い方 10巻 感想

前回から引き続き、マイナビ女子オープンのタイトル戦を前に最強女王である天野香織が、アマ強豪の津雲嵐との銀河戦は激戦のようでゆったりとして将棋を指していきます。

そしてその天野先生の銀河戦を大盤解説している香と四条先生の裏で、大学将棋部チームの塔子さんと長内さん、墨田先生は回転寿司屋で天野先生VS津雲さん戦はどうなっているだろう?と話し合って中で、塔子さんも長内さんも「天野先生が勝利前提」で話を進め、とくに長内さんはエグイ展開まで予想していてかつその内容が大正解…。

長内さんの天野先生が勝つだろうという予想は単純に天野先生を応援しているわけではなく、津雲さんが勝てるわけがないという予想で、「弱者のメンタル」とメンタルを弱く見せない「武装」という話が出てきます。

そして「弱者は自分のプライドを守るために、自分を大きく見せようと武装して必死」という行動思考と、「弱者のプライドを守るための武装は、強者の前では簡単に剝がされる」というその言葉の展開になっていきます。

個人的には「真の弱者は武装しているとか自分の手の内を明かさない気がする」という感情が横切りましたが、将棋であれスポーツであれ、どんな物事も虚勢はプロフェッショナルの前には立ち打ちできないのだろうと感じました。

「津雲さんのダメなところは、挫折すらできないこと」だと天野先生(津雲さんの心?)が語り掛けてきますが、挫折したという経験ではなく自分自身が傷つかないための選択をしてきたこと、満身創痍の勝ちを取りに行ったことなど一度もなく、負けであってもそれは無傷の負けを選択していたことが、この対局において、焦りや焦燥感となって追い詰められて心が真っ二つに切られていきます。

天野先生の「心を折りに来る将棋」に、津雲さんはなぜ女性初のプロ棋士にならないのかと問いかけますが、その問いかけに「女流として初の棋士」などの称号といったものには興味なく、天野先生が女流棋士である理由を曇りなき眼で語ります。

「幼い頃から病院のベッドから見るテレビの映像には同世代の女の子たちが仲良く人形遊びをする姿があり、自分は同世代の女の子と遊んだ経験がなかった。だから大好きな将棋で、あの時できなかった遊びをしているんだ。」と、いまを本当に楽しんでいるからこその強さ、好きでやってる人には勝てないなと思わされた一局で、津雲さんが投了しました。

長内さんは、「弱者のメンタル」と「武装」について先ほど語っていましたが、長内さん本人は、「自分が持たざる者で、非凡な存在ではない」とプロになることを諦めたと語り、津雲さんは「自分が凡人であることを認めて、受け入れていくことから始まる」と自分と向き合い新たな道を進んでいく様子は、天才と凡人の差が強く描かれているようで、僕自身にも刺さりました。

物語の後半は場面が変り、大盤解説をしていた香の師匠である四条先生は、香の天野先生に対する忠誠心のような幻想がなくなってくれればいいと思っていたことがあり「香ちゃんを天野先生の対局の聞き手役に抜擢したのは失敗だったかも…。」と不安がっていました。

今回の対局で、香の中の天野先生がさらに神格化してしまっただけなのではと、悶々と考えている師匠に対して、香は「師匠、どうしよう。倒したい!」と、次のマイナビ戦でどうしたらいいかわからないけど私は香織さんを倒したい!という主人公らしい真っすぐな言葉で返します。

場面は変わって、天野先生が自宅に戻り生け花をしている母親に勝利の報告をしますが、娘が将棋で負けることを望んでいる母親とのコミュニケーションはどこか歪で重々しい雰囲気が漂います。

そんな中で天野先生が生け花をする母の切る花を見て、「お花を摘むなんてかわいそう」と言い放つと、母は「これは生け花、文字通り花を生かす行為で、尊い花を長く保存しより美しく見せる」と語ります。

この「長く生かす」と「自然のまま枯れるべき」という対局的な生死観・命に対しての考えが垣間見え、「与えられた時間・能力を最大限に使って咲き誇り、枯れるように命を使おう」とする娘と「少しでも長く、生きていてほしい」と思う母の感情が交錯しつつも、討論するつもりはないとその場を後にします。

そして自室で津雲さんとの将棋を振り返り、自分には「荒らす将棋」が合っているのかもと感じたり、次のマイナビ戦で自分との約束を果たして挑戦しにくる香の姿を思い浮かべ、師匠である中原先生へとある連絡を入れます。

何が伝えられたのかはわかりませんが、その後中原先生が香の師匠である四条先生や塔子さんのお父さんである、角館先生、さらには香の対戦相手だった夏木先生を呼び集め、香のタイトル戦の準備のお願いをします。

ここから少し日常的な場面になって、着物の着方だったり着物を着た常態での将棋の指し方、そしてタイトル戦に挑む心構えだったりと、タイトル挑戦の経験がある塔子さんや夏木先生がラスボス戦前のレベルアップをさせてくれる展開に。

特にタイトル戦で着物を着ることと重みを伝える夏木先生の言葉が経験者として、そしてたくさん将棋を積み上げてきた者としての気迫が感じられます。

物語の最後は天野先生が主治医の先生と話し、絶好調と語る天野先生とその状態が非常や危ない状態でもあると語る主治医の会話から天野先生の病状がかなり深刻な感じが伝わって来てます。

そして香ちゃんが通っていた児童館で館長に伝えた天野先生の想いは、「今まで自分が対局してきた相手は将棋が日常という人たちであり、その人たちにとっては「日常の一つの将棋」だけど、将棋を何も知らない香を見つけて「自分の将棋」がすべてとなる子を育て、頂点の戦いに来るように仕向けた実験」をしていたという衝撃的な展開。

主人公が香なのか天野先生なのかの視点によってこの後タイトル戦が終わってどうストーリーの見え方が変わりそうだなと、先がとても気になる10巻だったと思います 。

永世乙女の戦い方 10巻 名言一覧

怖い。私に、指せる?その先に絶望があるとわかってだとしても、進める?この道を。

早乙女 香

あなたは、知らないでしょう。
こういう圧倒的な、力に、立ち向かう術は。

天野 香織

いいえ違います。何もかもが。なぜなら私は、逃げていない。それがあなたと私を隔つもの。津雲さんあなたは、ぼやけているですよ。“読み”も“覚悟”も。

天野 香織

自分の身を守ることが優先で、視線はハナから越えようとしない。アマチュア棋士と女流棋士。棋士でないという点では似ていても、私は一手一手、矜持を持って指しています。何も背をわない者に、私が負けることはない。

天野 香織

満身創痍で勝つことより、無傷の負けを選ぶ。
要は、本気でやって負けるのが怖いんだ。

天野 香織

私がどれだけ対局をし、棋譜を残せど、いつかそれは地層のように埋もれていく。

天野 香織

弱者はね、自分を大きく見せたくて必死なんだよ。あの手この手を尽くす。勝つためじゃない。卑小なプライドを守るために。でもそんな化けの皮、本物の化け物の前には、剥がされて終わり。

長内 章成

折り合いっていうか、諦めかね。持たざる者はさ、その自分の凡俗さを、受け入れた時が、スタートだから。

長内 章成

失敗から人は学ぶものですからね〜。二歩のような、即負けの反則ではないですが、不恰好かつ自身の精神状況にも影響します。

夏木 小百合

品格と格式、礼節を持って指しなさい。着物で指すということは…、タイトル戦で指すということは、そういうことです。

夏木 小百合

ダメよ。劣等感とか身の程とか、そんなもの知るために今日来たの?違うでしょ。

角館 塔子

いかがだったでしょうか?

次巻は天野先生の人生での大一番の勝負が見られるのではという期待と香がどんな成長を遂げるのか、また、まだまだレベルアップする修行の展開あるような予感がしてます。ぜひ興味のある方は読んでみて損はないと作品だと思います!

それでは今回はここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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