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話し相手がいないから聞いて欲しい、いつの間にかぽっちゃりしていた僕がかつての姿を取り戻す話を。

話し相手がいないから聞いて欲しい、いつの間にかぽっちゃりしていた僕がかつての姿を取り戻す話を。

事の始まりは2ヶ月ほど前、戯れに友人が僕の写真を撮った。そして今しがた撮影されたばかりの写真が僕のスマホに送られてきた。
そこには見知らぬデブがマヌケな薄ら笑いを浮かべて写っていた。

写真を見つめているとじわじわと脳が受け入れて行く。悲しくも残酷で受け入れがたいこの事実を。丸ごと受け入れられず細かく刻んでミキサーにかけて、少しずつ受け入れて行く。

「このデブは僕だ」

全て受け入れ切った瞬間、僕は稲妻に打たれた。
何故ならば僕には「太る」と言うことは無縁だと思い込んでいたからである。
今までの人生で「節制」なんてものはした事も無いけれど、それでも僕は痩せていたのだ。

あまりの強い衝撃に慌てた僕はそのまま稲妻に乗って電気屋さんへと駆け込んだ。
「体重計」を買うためである。
これも僕がデブを自覚する事が遅れた大きな原因の一つであるが、我が家には体重計がなかったのである。数年前に壊れてから壊れっぱなし。
だってスレンダーな僕ちんには必要が無いものだと思ってたから。てへっ

その時は気が動転していたので気にならなかったが、後から考えたら慌てた様子で体重計を買うデブは店員さんの目にはどう映ったであろうかと辛い気持ちになった。

そして自宅に戻り運命の体重測定。最後の足掻き衣服を全て脱ぎ去りスッポンポン。
「67.0kg」
僕の身長は175cmで標準体重は「67.4kg」であるが、僕は人より骨格が非常に細く標準体重ではかなりお肉が余るのである。
最後に体重を確認した大学卒業時で「58kg」だったのため、そこから9kg太った事になる。
ちなみに大学入学時は浪人時代に仕送りのほぼ全てを漫画と小説とCDに費やし、霞を食らって生きる仙人であったので「47kg」であった。これは痩せすぎ。

その後、体重計に片足、内股、ガニ股、後ろ向きなど試行錯誤と現実逃避を繰り返しながら乗ってみるも体重が減ることはなかった。全裸のデブが独りで何をやっているのであろうか。

こうして現実を「数値」としてはっきりと受け止めた僕は、痩せる決意をしたのである。

痩せるためにはまず分析が大事だ。人は何故、年を重ねると太るのであろうか。
「年をとると代謝が落ちる」なんて話があるが、僕は何の番組であったか忘れたがラジオで「最近の研究では50代まで代謝量はほぼ減少しない事がわかった」なんて話を聴いた。それに「代謝が落ちるから!」なんて言われたら「じゃあ、まぁ、仕方ないか」と早くも諦めそうになるのでとりあえずは除外する。

それでは何が原因となるのか。大学時代と比べて何が変化したのか。
それは「仕事をし始めた」事である。
考えれば考えるほど「仕事をする」という事は肥満に繋がる。
まず大なり小なり人それぞれではあるものの確実に大学生の時よりは「小金」を持つようになるのだ。
大学生の時に金欠が故にパスタに塩を振って夕食としていた所、小金を持つとパスタソースをかけてそこにファミチキとポテチと缶ビール。さらには食後のアイスまで付けてしまうのが人間なのである。

そして小金を得た代わりに失ったのが「時間」である。
働けば働くほどに趣味だとか娯楽に費やせる時間は減ってゆく。
そうなると一番手軽な娯楽で全ての欲望を発散させようとする。一番手軽な娯楽といえば「飯食って酒飲んで寝る!」じゃん。人ってそうじゃん。そりゃ太るじゃん。

そして僕の場合で言えば、3月に車にひかれた影響もある。
僕は昔からランニングが趣味であり、働いてからもそれだけは継続して続けていた。しかし足を負傷し走るのを止めてしまったのだ。
もう十分ランニングが出来るほどに回復していたものの、一度失った習慣を取り戻すのはなかなか難しいのである。

こうして分析を終えた太っちょ捜査官は計画を練る段階へと進んだ。
とりあえずの目標として5kg減、「62kg」を設定した。

まず小金を持った事に浮かれて過食になっていた件について。
もうこれは単純に食べる量を減らすしかない。
そこで僕が行ったのは、夕食時にまずボウル一杯のサラダを食べる事である。よくダイエットサイトなどで「ダイエットにドレッシングはNG」なんて書いてあるが、うるせぇ馬鹿野郎!である。ボウル一杯のサラダを素のまま食べ切る事がどれだけの苦行であるか。絶対に続かない。
素のサラダを毎日食べ続ける事ができるようなストイックな人は、そもそも太らないのだ。お気に入りのドレッシングをぶっかけてやれ!!!オラァ!!!(僕は百鬼というドレッシングが好き。おすすめ)
「パスタ、ファミチキ、ポテチ」が「パスタ、ドレッシングをかけたボウル一杯のサラダ」になれば十分に改善されているはずだ。
昼も「お弁当、カップラーメン、デザート」とか異常な事をやっていたので、それをお弁当だけにした。お弁当はちゃんと食べる。
緩めに。緩めに行こう。続かないから。
大体2週間くらいで、胃が縮んだのか特にそれ以上の量を食べたいと思わなくなったので、そんなに辛くはない。

そして次に「食事以外の趣味がない」事に対して。
僕の場合は「趣味」と「ダイエット」一石二鳥という事でランニングを再開させる事とした。
しかし肥えた体で久々にランニングをしてみて気がついたが、ダイエットにランニングは向かない。
何故ならば適性体重を超えた状態でランニングをしても、まともに走る事ができないからである。十分な運動効果が得られる前に膝と心臓が爆発しそうになるのだ。
意気込んで走り始めた初日に「ブヒィ・・・ブヒィ・・・」と足を引きずりながら涙目で帰宅した僕が言うのだから間違いはない。ランニングというものはある程度痩せてきた人がさらに体重を落とす、もしくは痩せた人がその状態を維持するために行うものだ。
そこで僕は食事での減量を優先しながら、無理のない範囲でのランニング、何ならばウォーキングをする事とした。
僕の場合は大体2、3kg落ちた頃から運動効果があるくらいに走る事ができるようになった。
ここも緩めに。緩めに行こう。続かないから。


そうして決意からおおよそ2ヶ月。
今日、目標としていた5kg減に成功したのである。
えっへん。

最後に勝手にアドバイスとしてまとめを。
えっへん。

・体重計は毎日乗る、気がつくと太っているぞ(サイレントデブ)★
・食事制限は最初の2週間頑張ればあとは楽だぞ★
・いきなり運動すると膝がぶっ壊れるぞ★
・基本緩めに設定すると続くぞ★
・緩すぎると痩せないぞ★

以上、緩めダイエットの勧め




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