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【DCF計算編⑥】【ダウンロード可能】2段階モデルを作ってみよう!

予測期間を10年にした2段階DCFモデルを作る!

これまでカバーした内容を総動員してモデルを実際に作ってみます。ずいぶんと長旅になりましたが、実際にモデルを作りながら復習していくことでさらに理解が深まると思います!以下リンク集も参考にしてください。末尾にこの記事で作ったモデルを添付しています。

①PLからCFへの変換
参考1 利益とキャッシュフローの違い(感覚編)
参考2 利益とキャッシュフローの違い(理論編)
参考3 NI・EBIT・EBITDA・営業CFの関係

②投資CFの選別とFCFの計算
参考1 投資キャッシュフロー
参考2 FCF計算過程とCF計算書の違い

③将来予想の入力
参考1 2段階モデル ユニクロの例 前編
参考2 2段階モデル ユニクロの例 前編
参考3 ユニクロ 答え合わせ編

④DCFの実行
参考1 2段階モデル イントロ
参考2 リスクとディスカウントレート

今回は、これらの要素をすべて含んだエクセルモデルを作成し、それを公開したいと思います。使うだけでなく、一緒に考え、悩めるように順を追って具体的なモデル作成のプロセスを公開したいと思います。

変動期間は10年とります。ユニクロの例で、3年の変動期間では成長力を反映しきれないということがよく分かりました。もし10年先が分からなくても例えば5年目に安定期間に移行すれば問題ありません。その場合でも、目標株価は変わりません。「One scenario, one value」です。「想定したシナリオに対して1つの目標株価が計算されること」がDCFの重要な特徴です。

①PLから営業CFへの変換

PLから、売上高、営業利益を取得します。
CF計算書から、減価償却費、運転資本の増減、税金、金利支払(受取)を取得します。取得した数字を上から並べていきます。米株の分析をされる方もいらっしゃるとおもいますので、日英で。なお、今回はEBITDAスタートでいきます。どうやって営業CFに変換するかイメージがわかない場合は、こちらを参照ください。

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下から3段目の”CF計算書上の営業CF”は文字通りCF計算書の「営業活動によるキャッシュ・フロー」から書き移すだけです。ここは信頼できる中間目的地になります。

そして、主な部品である「EBITDA+運転資本-税金」以外の部分をすべて「その他」に押し込むことで、変な動きが隠れていないかチェックする機能を持たせます。

②投資CFの選別とFCFの計算

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投資キャッシュフローはすべてを記載する必要はありません。営業用で恒常的なものだけを選びましょう。「設備投資」はメインの資金使途になります。設備投資以外の投資項目でカウントしたいものは「その他の投資」に入れましょう。

③将来予想の入力

今回はモデル作成方法がメインテーマなので、過去データは適当に入力しておきます。符号は、収益/入金がプラス、費用/出金がマイナスです。参考情報として成長率やマージンを表示する項目を下段に追加しています。実際は過去10年分データを入力しています。

変動フェーズは10年間なので、この期間の成長率、営業利益率、償却前利益率、設備投資等は自由に入力できます。ちょっと画像がみにくいかもしれませんが、各項目の右側に予想を入力するセルを作ります。途中の年度を省いてビジュアルを確認するとこんな感じになっています。安定期のグロースを入力する欄が1つ右に飛び出ているのが確認できます。他の項目は10年目まで入力します。10年後以降は、同じFCFマージンで、売上成長だけで成長していく前提だからです。

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④DCFの実行

変動フェーズ(1-10年目)では、各年のFCFをそれぞれ現在価値まで割り引きます。
安定フェーズでは、公式を使ってターミナルの価値を求めた後、10年目のDF(ディスカウントファクター)をつかって2段階で現在価値まで割り引きます。

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このFCFは厳密にはFCF to Firm (unlevered FCF)といって、負債債権者と株主を含めた「事業」のFCFなので、その合計から負債債権者の取り分を引きます。そのあとで1株あたりの価値を計算し、目標株価とします。

まとめ

これでゼロからモデリングができました。いかがでしたか?
難しいと感じたところがあれば是非コメントで教えてください。

このモデルは骨組みにすぎません。しかし、この骨組みを実際に使ってみると、非常に多くの学びがあります。

実際の企業のデータを入力してみて、何がいえるか。その数字をどのように実態と結び付けていくか。そして、将来をどう見るか。

このプロセスの繰り返しこそが、投資上級者への近道です。


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