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Webフリーマガジン インタビュー 『流しの仕事術』を読んで、本当に“流し”をはじめました!  1人目 宗玄カズヒロさん【後編】

前編はこちらです。


※『流しの仕事術』とは?

恵比寿横丁を中心に活動する現役ギター流し・パリなかやまさんによる「流しのノウハウ」をまとめた初の書籍。2014年10月、代官山ブックス刊。このインタビューは『流しの仕事術』を読んで、実際に“流し”をはじめたという方に現場デビューまでの過程を聞き、まとめたものである。

『流しの仕事術』(書籍 紙/kindle)

『流しの仕事術』(note

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宗玄カズヒロさん

石川県在住のシンガーソングライター

http://sougenkazuhiro.jimdo.com/


――「流しをはじめる」と決めてから、最初に何をしましたか? 行動開始から“流し”実践に至るまでの流れを教えてください。

まずはパンフレットをつくりました。「お店に流しがやってくる」「曲目リスト」「流しとは?」といった情報をまとめて、刷り上がってからは「うちで流しをやってみないか?」と声をかけてくれた先輩をはじめ、共感してくれた温かい友人や知り合いのお店のお店に配りにいきました。

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次に、『流しの仕事術』の奥義03に「お客さんの目にとまれ! 徹底的に見た目から攻略」とあったので、服装もいろいろと考えました。スーツで正装がいいとは思いましたが、僕は暑がりの汗っかきなので、色とりどりのバンダナを揃えネクタイの代わりにすることにしました。

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――実際に流しをやってみた感想はいかがでしたか?

いざやろうとすると、最初は怖かったですね。

これまでやってきたライブ・イベントや音源制作は先方からの依頼で成り立つので、受け身の状態ですが、“流し”はこちらからお客さんの席に出向き、「一曲いかがですか?」と飛び込み営業をするイメージがあったので、嫌な顔をされるのではないかと不安でした。

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でも、実際に“流し”をやってみると、僕の予想とは正反対で、お客さんがとても喜んでくれることに驚きました。「こっちも頼むよ!」「また今度もお願いするわ」、そんな声を数多くいただきました。

さらにやってみて思ったことは、“流し”はお客さんが生で音楽を聴けて、さらにカラオケ以外で本人が歌うこともできるので、これは「音楽の隙間産業」だと感じました。ニーズは確実にあると実感しています。

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――『流しの仕事術』を読んで、参考になった点を教えてください。

お客さんとの接し方が大変参考になりました。

ギターを抱えたままお店をまわり、興味のありそうなお客さんにパンフレット(リクエスト表)を手渡す。そこで「どうですか?」と待たずに次へ移動し、しばらくしてから先ほどパンフレットを渡したお客さんの反応を見る。あくまでもお客さんからリクエストしてもらう姿勢が大事だとわかりました。

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先日、パリなかやまさんと恵比寿横丁で初めて会って、話をしましたが、泥酔しているお客さんを相手にすることが多いので、その対応も勉強になりましたね。酔客に対しては、まともな話し合いは通用しないこともありますから(笑)。

また、流しの値段に定額はないので、『流しの仕事術』奥義37「流しの代金はキチンともらう。ウヤムヤにしてはならない!」にもありますが、お代を頂けないと判断したらすぐ立ち去る、時間を決める、次からは距離を置くなど、対処法はさらに実践の場で学んでいかなければいけません。

とにかく今は、「流しをするお店に迷惑をかけないこと」を第一に活動しています。

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――最後に、これから“流し”をはじめようとしている方へアドバイスをお願いします。

「音楽を仕事にしたい」と思っている僕のような人間が“流し”という形態でそれを実践できるのは幸せなことです。一見すると、自ら音楽を楽しんで演奏して、お金をもらう職業のように見えるかもしれませんが、“流し”の演奏は自分の発表会の場ではないんですよね。

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リクエストに応える、知らない曲の場合は次の機会までに覚える、わからない曲の場合には「では、こちらの曲はいかがですか?」と柔軟に対応する、男女2人のときは空気を読んで出しゃばらないように考慮するなど、“流し”に求められているのはまさに水商売、接客業の仕事ということを頭に入れておくといいのではないでしょうか。

とはいえ、“流し”にはお代をいただいて音楽を演奏するプロの音楽家の面も当然あるので、リクエストをくれたお客さんに満足してもらうだけの演奏力・歌唱力を身に付ける努力をするということも忘れてはいけません。

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取材・文:廣田喜昭


『流しの仕事術』(パリなかやま 著)

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