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映画鑑賞雑文「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」2013年

Just what is it that you want to do?)
We want to be free
We want to be free to do what we want to do
And we want to get loaded
And we want to have a good time
That's what we're going to do
(No way, baby, let's go!)
We're going to have a good time
We're going to have a party

まずこの歌詞を知らない奴はこの映画を楽しめない。いや、娯楽作品、コメディとして十二分に楽しめるだろう。
だが、悪いがそんな奴らはTwo Fingers! Fuck Off!である。
エドガー・ライト監督作品は常に英国を愛する者達に向けられた作品だ。ハリウッド的なスパイスは無いこともないが、全作に渡ってどうしようもない英国への愛(パブ、ラガー、ファッキンパブ!!!)に溢れている。英国文化を愛してやまない俺にとっては堪らない作家なのである。
そして、今作は今までの作品群の中でピカイチの出来である。
あらすじは、過去の栄光に縛られ続けている(栄光が無くても過去の中でずっと生きている奴っておるよなー!特に地元には!それがリアル!)負け組になっている主人公が、高校の卒業式当日に出来なかった町にあるパブを全軒制覇するためにかつての親友達を集めて、地元へ戻るというところから始まる。
ここだけ、読むと大した事ないんだけど、1990年卒業の彼らに向けて、ずっと80年代後半〜90年代の英国ロックがずっとかかってるわけよ!
ブリットポップ前夜のその選曲群は、ブラーの初期曲であったり、Teenage Funclubであったり、Happy Mondays(Rave on!!!!)であったり、SuedeのSo Young(俺はこの曲が映画で選ばれた事で十分落涙した)、そして、便所でセックスした親友の妹のところではPulpのDo you remember the first time?がかかっちまうんだから英国ロックを文脈としても理解し、愛し続けている俺は何でこんなファッキンアジアの島国に暮らしてんだ!!
と常軌を逸してしまっていました。
主人公が90年代に青春を送るのにシスターオブマーシーのタトゥー入れてる感じのダサさも本当に堪んねえよ…田舎でうだつの上がらない奴感があの一シーンで全て描かれてる。最高かよ…
そして、初めに書いたPrimal ScreamのLoadedの初まり(これ映画ワイルドエンジェルからのサンプリングな)が高らかに唄われるですよ。重要なシーンで!

ここまでは英国ロックへの愛ですが、物語の大筋が基本的に、地域社会を破壊し続けた新自由主義への嫌悪と反抗が主題になっているわけです。
その新自由主義のメタファーとしてのロボットや異星人(俺はラリってるわけじゃねえぞ!パブで飲んだくれるだけの映画なわけないだろうが!)の侵略を下敷きに、主人公らが繰り広げるドタバタコメディ。
そして、この映画では高らかに、負け犬のアル中飲んだくれワーキングクラスこそが世界を救う!!と宣言し、均質化、平均化、明るい未来に中指を突き付けるのです。
この映画は反グローバリズム、反ネオリベの旗頭になる作品でしょう。
そして、それを最高の英国俳優達と、90年代前半という英国ロックの最後のファンファーレが鳴り響く前夜を基調音に作ってくれたエドガー・ライト監督に感謝の意を表明したいです。
ありがとう…本当にありがとう!!!
Yanks GO HOME!!!

追伸
エンディング曲にThe Housemartinesを選んでくれたあたりで俺は完全に失神しました。

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