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【ダヨリン恋愛相談室】vol.4「先生が好きだった。結婚しても消えない想いを伝えたい!」

Time will not wait for me, Time is my destiny
時間は僕を待ってくれない、時間は僕の運命だ。
The Beach Boysの曲「Break away」の一節です。誰かと出会う年齢や、タイミングというのもまた運命ですよね。今回は、そんなことを考えさせられる相談です。こちら!

こんにちは、私25歳既婚者です。実は私高校の時に先生に恋してから今頃っていうかずっと忘れられずにいます。高校一年の時のたった一年間だけだったんだけど、テストでいい点取ったらプリクラ撮ってくれたり結構特別に扱ってくれてたのに私は恋愛も付き合ったりもした事なかったからどうしていいかも分からず、好きとも言えず先生は違う学校に行ってしまいました。先生が最後の日に初めて下の名前で呼んでくれた事とか今思い出しても胸が痛みます。逢いたい。あの頃の気持ちを伝えたい。そしてあの時の先生の気持ちを聞きたい。そしてあの時の気持ちをちゃんと思い出にしたい。
(from こまくんさん)

こまくんさんの性別が書いてありませんが、おそらく女性だと仮定してお答えします。

結論! 先生に気持ちを伝えましょう。ただ、その前にこまくんさんが考えておかないといけないことがあります。

こまくんさんは先生への想いをずっと募らせてきた。「先生が最後の日に下の名前で呼んでくれた事」を思い出すと胸が痛むくらい、想いは今でも枯れていない。これはスゴイことです。高校を卒業し、大人になり、別の人と出会い、結婚し、新しい人生を歩んでいる。その間には様々な想いや迷い、納得、確信、気持ちの切り替えがあったはず。それを経てなお、先生への気持ちが廃れない。これはやっぱり、こまくんさんの中で「消化不良」だからだと思います。伝えたかったのに伝えられなかった。想いを聞きたかったのに聞けなかった。そんな後悔にさいなまれているのではないでしょうか。

でも後悔する必要はありません。むしろワタシは感情に任せて想いをぶつけなかったこまくんさんを「賢明だった」とさえ思います。なぜなら、高校生のときに告白したら先生はきっと困惑したに違いないから。もちろん1人の男性として悪い気はしないでしょう。が、教師は全ての生徒と公平に接するものだという建前がある以上、「面倒なことになっちゃったなぁ」というネガティブ感はぬぐえないはず。さらには「生徒が先生を好きになるのは、はしかみたいなもんだ」と本気にされなかった可能性もあるし、もし先生がこまくんさんのことを好きだったとしても、「先生と生徒」という立場を守るためにそっけない態度を取り、こまくんさんが大いに傷ついた可能性だってあります。

じゃあ卒業のとき告白すればいいじゃん、ということになりますが、かりに両思いになってつきあうことになったとしても、先生の方に「俺が一生こいつの面倒見たる!」くらいの覚悟がないと、あまり良い結果にならない気がします。発展途上であり前途洋々でもある少女の一生を左右するわけで、だからこそ、「それくらい真剣に考えてくれる男じゃないと娘は渡さん!!」と、ワタシがこまくんさんの母親だったら思います。

というわけで、後悔する必要はありません。問題はこれからです。気持ちを伝える前にこまくんさんが考えておくべきこと。それは、「自分は先生とどうなりたいのか?」ということです。

くまさんは相談に「思い出にしたい」と書いています。ということは、「先生のこと好きだったんです」と伝えて、「……そうだったんだ。ありがとう」で終わることを想定しているということですよね。やっと想いを伝えられたこまくんさんはスッキリした気持ちで人生を再び歩み始め、一件落着。確かにそれが美しいエンディングです。しかし問題は、そうならなかったときです。

「今だから言うけど、僕も好きだったよ」と言われたら。そしていい雰囲気になっちゃったりしたら、こまくんさんはどうしますか?「ホントですか!……嬉しい」と、喜びをかみしめつつ、そのまま先生と別れて今の生活に気持ちを切り替えることができますか?「そのつもりだし、想いを告げたらそのあと先生とどうこうする気持ちはない」と断言できるのであれば、会って気持ちを伝えることと気持ちを聞くことに集中すればいいと思います。しかし実物の威力というのがあるのです。7年ぶりに会って「やっぱり好きだー!!」と気持ちに拍車がかかっちゃう可能性だってあるわけです。

「いや!かりに先生が昔自分のことを好きだったとしても、それは昔の話だし、自分はそれを確認できたら満足」と思うかもしれません。が、再会して成長したこまくんさんに瞳をキラキラさせながら「好きだったんです」と言われ、先生の方の恋愛スイッチが入ってしまう可能性だってあるわけです。

先生のキャラが分からないのであくまでも推測ですし、先生が妻帯者になっている可能性も高いでしょう。が、それを理由に想いをシャットアウトできる人ばかりではないことは世にごまんといる「わけありカップル」を見れば明らかです。そして、お互いの「立場」が恋心を止める理由にならないことは、先生を好きになった、そして結婚しても想いが消えなかったこまくんさんが一番分かっているはずです。

……つまり何が言いたいのかというと、「今の平和な生活が崩れる可能性もある」ことを少しだけ念頭に置きつつ行った方がいい、ということです。かなり余計なお世話だと思いますが、ワタシの役目は余計なお世話をすることなのです!

そもそも、こまくんさんの相談メールは一見、相談には見えません。想いを告げて、けりをつけて、それで解決する話ですから。なのに相談を送ってきてくれたのはなぜでしょう?「こんな風に思い続けるのってどうなんだろう」「告白した方がいいのかなぁ」「告白してもいいのかなぁ」などの迷いがあるからではないでしょうか。で、それはつまり先生への想いが真剣である証拠なんですよね。とするならば、今と状況がガラっと変わってしまう可能性も考えておいた方がいいと思うわけです。

まぁ、「なるようになれ」という気持ちであるならば、ワタシには何も言うことはありません。腹をくくって何でも話してきちゃいましょう!ここで後悔を残したら、また消化不良になっちゃうし、自分の気が済むように行動してみて初めて見えてくる真実、そうしないと見えてこない真実というのはあります。正直ワタシとしては、先生が昔ほど素敵じゃなくなっていて、こまくんさんはショックを受けつつもダンナさまへの愛を再確認!なんてことになったらベストだな、と勝手なことを思うわけですが……。ともあれ、素敵な再会になることを祈ってます。がんばって!!!


*本記事は2005年~2012年に「ebookJapanコミック」の携帯サイトに連載された記事を加筆修正したものです。

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