それで君たちは語り始める

それで君たちは語り始める
君たちの言葉は固い砂粒のよう
海を吹き抜ける湿った夜風のように
私たちは君たちの口が閉じられることを待っている

世界は豊かで美しく
賛美と陶酔に満ち溢れ
夜通し踊り明かす誘惑の芳香が
私たちの鼻孔を心地よく撫でる

それでも私たちはアーダムの子孫
群衆の中で生まれ、世代を超えてきた
君たちはホメロスを読まず
石に刻まれたミケランジャロの苦しみを
学ぼうとはしないのか?

古書店の中に眠る本物の真珠は
まだ君たちに見つけられることなく
それでも静かに君たちを待っているのではないか?

分からないことを語ってはならないと
君たちに教えた人は、かつていなかったのか?

2020
D.I.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?