見出し画像

研究レポートvol.8.0『地域ブランド育成におけるマーケティングの実践』まとめ

今回は、2007年の名古屋学院大学論集に掲載された清水良郎さんの論文のまとめになります。こちらも全文をネットで読むことができます。
是非、興味をもったら手に取ってみてください。

はじめに

地域ブランドの実態を明らかにし、その育成への議論を進めていく。

地域ブランドの重要性

地域ブランドの検索数は「ブランドバック」と匹敵するほどの数になっている。
自治体経営にも地域ブランドを盛り込む構想が練られている。

地域ブランドの骨格

ブランドとは、一般的に売り手の価値提供と、それに対する買い手の満足の繰り返しがもたらす信頼関係が作り出すものであり、買い手の心のなかに形成されるもの
➡和田(98)の定義を採用

繰り返し購入され、それに満足が繋がっていくとブランドの形成につながっていく。
しかし注意すべきことは、,注意しておかねばならないのは,ブランドは対象者の心の中に形づくられるものであり、その存在基盤には脆さがつきまとうということ。

地域ブランドの種類

戦略的に地域ブランドづくりが進められている分野は,「特産品ブランド」「観光地ブランド」「居住地ブランド」「勤務地ブランド」の4つの領域。

「特産品ブランド」の要素としては農産物,海産物,地場産業製品
「観光地ブランド」には歴史,風土,自然,各種インフラ,人的サー
ビス,滞在施設,娯楽施設
「居住地ブランド」および「勤務地ブランド」には「観光地ブランド」のほぼすべての要素の他,教育,福祉などの地域行政が加わる。

多面的、立体的な地域ブランド構築

ブランド構築をするには、ステークホルダーを意識した戦略的なアプローチが必要だ。

タッチポイントブランディング

ステークホルダーとの接点管理は「タッチポイントブランディング」と呼ばれている。
タッチポイントプランニングを実践するには,統一されたブランドコンセプトの樹立が不可欠。
➡観光客,居住者,地域内企業,通勤者,通学者などに,どういうイメージをもって欲しいのかを統一しておかねばならないということ。

ブランド育成しやすい商品、しにくい商品

ブランド化しやすい分野とそうでない分野が存在している。
➡ファッションやクルマ,酒,タバコなどの嗜好品は作りやすく,日用雑貨などは作りにくい。

特産品は、土産物のブランド化は難しい。何らかの方法で特産品の中に,購入者の人生観や価値観を埋め込む工夫が必要。
人為的に作り上げた特産品,観光施設はこの自己表現便益と結び付け
にくく,一時的に購買を煽ることはできても地域ブランドとしての確立は難しい。
➡歴史や謂れなど,ブランドの背景に深みがなければならない。

地域ブランド育成の実際

価値の育成には、顧客との双方向で成り立つ。
➡顧客とのやりとりのなかで、構成されていく。例)サントリーの「サントリーオールド」
顧客に親しまれるようなネーミング,ニックネームをつけたくなるような,パッケージデザイン,形,色,なども重要

地域ブランド確立における各種コミュニケーション手段

顧客の意見を広告にいれること。さらに広告メディアの選択も重要。

まとめ

地域ブランド価値の具体的な育成過程として,自己表現便益に基づいた顧客のライフスタイルを演出すること,顧客とブランドとの双方向の対話などを経て,顧客から見たマイブランド化を発生させることがポイントとなる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?