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新作映画「トゥモロー・ウォー」レビュー
映画を観ながら、どうしても声を出さずにはいられない時がある。「いけ、やっつけろ!」「がんばれ、負けるな!」手頃なクッションや枕を敵だと思って夢中で打撃を加えた結果、部屋に埃が舞う。でもそんなこと気にしない。だって自分は今、映画の主人公と一緒に世界を救うために戦っているのだから。手にしたリモコンで狙いを定め、引き金をひく。命を散らした仲間のために、主人公の代わりに涙を流す。
いくら感情的になって騒いでも誰にも迷惑がかからないのが、自宅鑑賞の良いところ。そして家の小さなテレビ画面でも、ここまで夢中にさせてくれる没入感がすごいSFアクション大作が、Amazonオリジナル『トゥモロー・ウォー』だ。
【STORY】
2022年。主人公のダン・フォレスターが自宅のテレビで家族と一緒にワールドカップを観戦していると、突然電波が乱れた次の瞬間、フィールド上に30年後の未来からやって来た人々が武装した姿で現れる。「未来の地球を救うために、力を貸してほしい」。その日から世界中の人々が徴兵され、未知の侵略者から人類を救うために未来へと転送される。学校で化学を教えているダンも、愛する妻と娘ミューリを現在に残して戦いに身を投じなければならない時がやってくる。元軍人でもあるダンは確かに戦闘にも慣れているが、実は抜擢されたのには別の理由があった。
【スタッフ・キャスト】
監督:クリス・マッケイ(『レゴバットマン・ザ・ムービー』)
制作総指揮:クリス・プラット
音楽:ロアン・バルフェ
ダン・フォレスター : クリス・プラット
ミューリ・フォレスター : イヴォンヌ・ストラホフスキー
チャーリー : サム・リチャードソン
ドリアン : エドウィン・ホッジ
ジェームズ・フォレスター : J・K・シモンズ
【レビュー】
親子の胸熱なドラマが物語の根底にあり、時間を超えた父娘の愛という点では名作『インターステラー』をも思い出させる。子を想う親、親を想う子、その想いの強さとすれ違いというのは普遍的なテーマである。SFにそうした人間ドラマを合わせてくるのは、なかなかに上手い。
胸熱なのは、前半における何気ない場面や、登場人物の細かい設定がクライマックスになって回収されていくところもそう。そしてキャラクターがみんな、とにかくカッコいい。ダメな奴もいたりするけれど、ここぞという場面で勇敢さを見せつけてくるあたりが、ベタだけどもたまらない。
敵のクリーチャーのデザインや、集団で転送される時の描写などオリジナリティあるビジュアルもあって、SF映画としての魅力も欠かさない。軍隊式の戦闘シーンも分かりやすくまとめられていたのと、構えとか音を立てずに潜入するシーンとか真似したくなる。最近の映画で激しさや緊張感を増したためか逆にゴチャゴチャして見にくい戦闘シーンなどをよく見かけるが、本作は敵の圧倒的な強さや、戦いの状況など終始分かりやすく、なおかつその場にいるような緊張感と高揚感を味わわせてくれたので大満足。
きっと劇場で鑑賞していたら、さらに引き込まれていたであろうスケール感なので配信のみなのは残念だが、子どもの頃にテレビで『インデペンデンス・デイ』を見て手に汗を握った時と同じような体験ができたので良かった。知識を身につけることの大事さや、地球温暖化の問題などのテーマも散りばめられていて、娯楽作品としてはよく練られた脚本だと思う。
しばし現実を忘れて、頼れる兄貴クリス・プラットと一緒に、人類の命運をかけた未来での戦いへ身を投じてみるのはいかがでしょう。もれなくカッコ良すぎるJ・K・シモンズ大先生もついてきます。
【おすすめな人】
SF好き
アクション好き
非現実感を味わいたい
娘さんを持つお父さん・お母さん
親子関係で少しぎこちなさを感じている全ての親と子
スッキリ泣きたい
熱くなりたい
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