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好きな詩 とか(2022年)

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2022年3月の記事一覧

【詩】 瞬間礼拝

【詩】 瞬間礼拝

今この瞬間に 礼拝しよう

そこに 魂の約束が あるから

ほんの些細な 一場面に

どこまでも 果てしなく

広がる宇宙が あるから

春は 命を 呼んでくる

今 目の前で ヒラヒラと舞う

生まれたばかりの 白い蝶が

宇宙の神秘を 歌っている

土から ニョキニョキ 顔を出す

赤ちゃん色の 新芽が

宇宙の奇跡を 歌っている

瞬間

神の 居ないところなど なく

瞬間

奇跡が 起こ

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破線は再会する

今のきみは鎮魂そのものだった
みんなぼくらを類推していたから
もうここにはいないと嘯く
(どこにでもいるよ)
無数の息はぷかぷかと
綿花を注いでいる 空に

光の剥製に触れていた
沈黙するように生命は
洗われなくてはならない
ばら撒かれたこころ
ひろい集めることもなく

濡れた衣を着たあとに人は
エクリチュールになる
泡のまにまに もこはふくらむ
そして、あらゆる意味は縮絨する

ぼくは以下のもの

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色々

色々

青は誠実
彼方へ続く大空
吹き抜ける涼風

橙色は憧れ
energischな煌き
眩く視線を奪う色

白は広大
全てを包む雪の原
天翔ける純白の翼

深緑は時
大地に深く根を張り
天へ高く背を伸ばす

桃色は愛
胸の内に優しく抱き
世界の全てと繋ぐ色

わたしは藍
藍色のわたし
藍は何色?

文脈がわからなくなったあとに

梢が首を垂れている
蕾の重みに耐えられないからだ
自らの声がこの掌を振り払うような
憐れな日々がありました

瓶のなか、くだけてとけた果物
わからないことが根絶されるようにして
かつての澱が落ちていったから
きみはやさしいひと

魚たちは回遊する
誰もが信仰をひけらかして
意思の雲母がわれた
ああ!
きみにかける言葉が見つからない!
きみにかける言葉が

そうしてまた失った
蛇口からこぼれる慈悲の

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