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2023年(R5年度) 1級建築士 学科試験の合格点88点。合格率は16.2%!

執筆日:2023年12月07日(木)
更新日:2023年12月07日(木)

オフィシャルサイト(ポートフォリオサイト)




受験者数

28,118人(前年30,007人)

合格者数

4,562人(前年6,289人)

合格率

16.2%(前年21.0%)

合格基準点

学科Ⅰ(計画) 11/20点
学科Ⅱ(環境・設備) 11/20点
学科Ⅲ(法規) 16/30点
学科Ⅳ(構造) 16/30点
学科Ⅴ(施工) 13/25点
総得点 88/125点

※各科目及び総得点の合格基準点すべてに達している者を合格とする。
※なお、合格基準点について、各科目は過半の得点、総得点は概ね 90 点程度を基本的な水準として想定していたが、総じて難度が高かったことから、上記合格基準点としている。

総評

《合格発表》合格基準点は、昨年より3点下がり、88点。合格率は16.2%!

7月23日(日)に実施された1級建築士学科試験の合格者が発表された。
受験者28,118名、合格者4,562名、合格率は16.2%で昨年より4.8ポイント下がった。
合格基準点は、計画が11/20点、環境・設備が11/20、法規、構造が16/30点、施工13/25点、総合88/125点。
(N学院)

合格率16.2%、合格基準点は88 点に下方補正

令和5年の1級建築士学科試験について、実受験者数は28,118 人(昨対-1,889 人)、合格者数は4,562 人(昨対-1,727 人)、合格率は16.2%(昨対-4.8%)となりました。合格基準点について、各科目は過半の得点となり、総得点については、出題の難度が総じて高かったことから88 点に下方補正されました。なお、試験の難度について、昨年は合格基準点が91点に上方補正され合格率21.0%であったことを踏まえても、令和5年は、昨年より難度の高い試験であったと言えます。
(S資格)

試験の出題傾向

標準的な問題の正誤が合否を分けた!

出題傾向は、実務に携わる上での啓発的な出題や社会的な重要性の高い分野からの出題となっており、昨年から大きな変わりはない。
正答率Aランク(70%以上)の設問が昨年より14問減り36%出題され、正答率Bランク(50%以上 70%未満)の設問が、昨年より12問増え43%出題された。
容易なAランクの問題、標準的なBランクの問題を確実に得点できたかにより、合否が分かれた。
(N学院)

全体的に難度は高かった

令和5年の1級建築士学科試験は、令和4年と比較すると全体的に難度が高くなりました。科目の基準点補正はなかったものの、特に学科Ⅱ(環境・設備)は、例年に比べて難しい内容でした。
初出題については、法改正や新技術に関する内容の他、近年の社会情勢からの新しい用語や、令和4年度の出題傾向と同様に地球温暖化対策に基づいた「木質系材料及び工法」「ZEB Ready」「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」といった出題、災害対策に関する内容もみられました。今後の試験については、これら新傾向についてポイントをおさえた学習と、過去出題されている内容を正しく判断できるような学習が重要になります。
(S資格)


試験の特徴(N学院)

【計 画】
テーマとしては、国土交通省や地方自治体等によるガイドライン、脱炭素社会の実現に資するための木材の利用促進、都市計画についての問題が多くみられた。また、計画以外の科目で出題されてきた内容の設問も目立つ。計画という科目にとらわれず、総合的な知識が要求されていると言えるだろう。
特徴的な問題では、No.3「建築や都市に関する著作物」、No.6「木質系材料及び工法」、No.10「交通の面からみた都市計画」、No.11「都市計画法に規定される地域地区」、No.13「高層の分譲集合住宅の新築計画」等が上記のテーマを意識したものだった。例年に比べ、実例建築物の出題が特に少なかったことも特質である。新規の用語も随所に出題されたが、難易度としては標準的と言える。

【環境・設備】
特徴的な問題は、建築環境分野では、新規問題として太陽位置図の読み取り問題、建築設備分野では、受水槽に関する専門的知識を要する問題、自動火災報知設備のP型受信機とR型受信機の違い、設備機器の耐震対策などがあげられ、昨今増加傾向にあるゲリラ豪雨対策としての雨水排水管系の算定の問題などもあった。
建築環境分野においては、正答枝となる枝は過去問の類似が多く、標準的な難易度であったが、建築設備分野においては、新規出題や実務の知識が必要な応用された内容が多く、正答枝が新規で残りの枝が過去問である問題では、消去法で解くため過去問題の理解は必須であり、また応用問題では、過去問題の周辺情報も理解しておく必要があったため、難易度はやや高かった。

【法 規】
問題構成は、建築基準法20問、関係法令9問、基準法と関係法令の融合が1問の出題であった。
今年度の試験の特徴としては、近年の出題傾向であった、より実務的な出題形式である融合問題がなく、従前の形式での出題であった。また、二級建築士試験では頻出であるが、一級建築士試験においては30年以上前に出題された採光計算が出題され、戸惑った受験生が多かったであろう。関係法令においては、建築士法が例年通り比重の高い法令であった。
その他、昨年に引き続き大問での出題となった建築物省エネ法や、1月1日改正の建設業法の内容が盛り込まれるなど、建築士として周知させたい内容が積極的に出題されていると思われる。全体の難易度としては、標準であった。

【構 造】
問題構成は、構造力学6問、一般構造21問、建築材料3問であった。
構造力学は、No.2「棒の軸方向変位」が30年振り、No.5「トラスの塑性崩壊」が13年振りに出題された。一般構造は、No.18「鉄骨構造」において、細長比が異なる筋かいにおける荷重-変形関係の図が与えられている問題が特徴的であった。
また、No.22~24、26は、初出題の枝が比較的多い構成であった。建築材料は、No.27「木材」が「脆性破壊を示さないもの」を選択する、特徴的な問題であった。この形式で出題されたのは、実に、34年振りであった。

【施 工】
問題構成は例年通りで、今年の特徴としては、No.2「工事現場の管理等」で、法規と同様に今年1月1日に施行されたばかりの建設業法の改正から出題された。
No.4「建築工事の届出等」では、建築基準法85条の仮設建築物に対する制限の緩和について初めて出題された。
また、No.14「鉄骨工事(精度の管理)」は図による問題として、No.21は「断熱工事」として単独で出題され、目新しく感じた受験生が多かったと思われる。
今年も新規枝が多く出題されたが、新規枝を正答枝とした問題が多く、また、過去に出題された問題であっても、表現を変更・追加して出題されており、本質を理解していないと正しく判断できないため、難しく感じる問題が多かったと思われる。


参考文献:教会建築家の推薦書籍


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