彼女がくれたパスポートケース

昨日の出来事だ．

彼女が自分にパスポートケースをくれた．もともと，100均でパスポートケースを購入する予定であったが，このご時世のため海外に旅行する人が少なく，パスポートケース等のトラベルグッズは販売中止になっていた．

それを知った彼女が昔使っていたパスポートケースをわざわざ家から持ってきてくれて，自分にプレゼントしてくれた．黒いインクがついていたり，かすかに色があせていたりしていた．だが，そのパスポートケースを貰ってすごく嬉しい気持ちになった．

100均のパスポートケースだとは言え，彼女にとってもそのケースは特別なものではないかと勝手に思いこんでいる．だって，高校生のときに初めて海外に行ったときに使ったパスポートケースなのだから．

そんなことを都合よく考えているからなのか，新品で買うパスポートケースよりも彼女に貰ったパスポートケースのほうが価値を感じたのであった．恐らく，彼女が自分にとって特別な人であり，彼女の思い出が残っているものであるため，そこに価値を感じたのであろう．

確かに，芸能人が使っていた服や衣装はファンが高価な値段で購入される．別にもともとそこまで高いものではないのに関わらず，その人が使っていたという理由だけで高値で売買される．ファンたちは，その著名人が使用したという理由の他に，その著名人の思い出が残っている商品であると感じているからこそお金を払って購入したいのではないだろうか．

今回の出来事もそれと一緒だ．彼女の思い出が詰まったパスポートケースであるように思い込み，そこに価値があると勝手に感じる．なんとも阿保らしいものだ．

恐らく，彼女が海外に留学した際に思い出として残しているものは別にある．だけれど，彼女から貰ったパスポートケースに価値を感じてしまう．不思議なものだ．

僕は好きな芸能人とか著名人とかは特にいない．だが，僕にとって特別な人は何人かいる．その人たちが使ったものに対しても，芸能人が使用したものよりもきっと価値があるように感じるだろう．

そんなことは一旦置いといて，他人が持っているものにすごく魅力的に感じるときがないだろうか．他人が食べているパスタは美味しそうに見えるし，他人が持っているブランド品はかっこよく見える．正直ブランド品は興味ないため，どっちでもいいが．

でも，他人が持っているとなぜかそこに付加価値を感じてしまう．今回のパスポートケースもそうだ．新品で買ったほうが勿論綺麗なのにも関わらず，彼女のお古であるケースのほうがすごく価値を感じた．

それは彼女だからだろうか．彼女には言い難いが，恐らくそうではないだろう．確かに自分にとって特別な人であればあるほど，感じる価値というものは大きくなると考えている．でも，それだけの理由ではない気がした．でもその理由がわからない．

そこでインターネットを用いて，「なぜ他人のものはよく見えるのか」について検索してみた．検索して一番上に出てきたサイトを開くと「自分に自信や信念がない人に多く見られる傾向がありますね」と記載されていた．カフェにいるにも関わらず，図星を突かれたようで少し笑ってしまった．

確かに，自信があったら今頃本名でnoteだって投稿しているだろうし，インスタでもどんどん自慢をするであろう．しかし，自分はなぜかそれができないのだ．

素直なことを述べると，なぜか真面目な自分が恥ずかしいし，ネットで批判されるのだって怖いからである．こうやってnoteに記事を書くことでちょっとずつ自分の自信をつけ，それに慣れるように努力している．正直，いいねが付くとすごく嬉しいし，また記事を書こうって思える．そんな毎日だ．

だから最近も記事をちょこちょこ書いている．自分は不器用だし，要領だってそんな言い訳ではない．でも，毎日毎日僅かながら前に進んでいるつもりだ．だから長い目で見守ってほしい．堂々と自信をもって，皆の前に現れるその日まで．