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思春期懐古 with シンガポール風情

〜好きポイント〜
・シンガポールを感じられる
・思春期の記憶が蘇ってくる

〜出逢い〜
シンガポールに行くことになった時にシンガポールの作品を探していて(「自己紹介」参照)、出逢いました。そういう時には割と、表紙の感じで選んだりする。あと女性が主人公の本は選びがちかもしれない。

It is 2003, and in the sweltering heat of Singapore sixteen-year-olds Szu and Circe develop and intense friendship. For Szu it offers an escape from Amisa, her beautiful, cruel mother - once an actress and now the silent occupant of their rusty house. But for Circe, their friendship does the opposite, bringing her one step close to the fascinating, unknowable Amisa.
Seventeen years later, Circe finds herself adrift and alone. And then a project comes up at work, a remake of the cult seventies horror film series 'Ponti', the same series that defined Amisa's short-lived film career. Suddenly Circe is knocked off balance: by memories of the two women she once knew, by guilt, and by a lost friendship that threatens her conscience...
(Picador出版「PONTI」裏表紙より引用)

【※以下、私個人による非公式な和訳です。】
2003年。うだるほど暑いシンガポールで、16歳のSzuとCirceは親友になった。SzuにとってCirceは、美しく冷酷な母Amisaからの隠れ蓑だった。Amisaはかつて女優だったが、今はさびれた家に静かに佇んでいる。一方CirceにとってのSzuは、魅惑的で謎に包まれたAmisaに近づくための足掛かりだった。
17年後、Circeは途方にくれ、孤独だった。そんなCirceに、1970年代のホラー映画シリーズ「PONTI」のリメイクプロジェクトの仕事が舞い込んだ。「PONTI」は、Amisaの短い女優人生を代表する作品だった。
突如、Circeはかつての親友であるSzuとその母Amisaを思い出し、罪悪感と、今も彼女の胸を締め付ける失われた友情が蘇る。Circeは頭が揺れるような混乱を覚える。

あらすじを読んでも、「どういうこっちゃねん」という感じですよね。

至極簡単に言ってしまえば、Szu・Circe・Amisa、女3人の日常と人生を描いた本。葛藤。後悔。憧れ。許し。

思春期というのは、おそろしい。

大好きな友達のこと、ある日突然顔も見たくなくなったりする。
鬱陶しくてたまらなくなる。
相手は何も悪くないのに。

それで「絶交」したりしてしまうから、こわい。

思春期の私は、そういうことをしたし、されたと思う。

されたことは、今となっては「あれなんだったんだろう(笑)」と思うくらいだけど、相手はそんな簡単に流せなかったかもしれないと思って、Circeのように時々後悔の波に襲われる。当時は罪悪感なんか微塵もなかったのに。

すごく陰湿なイジメとかを「思春期の過ち」で済ませるのは絶対に違うけど、「みんなと仲良く、みんな友達、ずっと友達」みたいなのって、なかなか難しい。teenagerはteenagerで、彼らの世界で色々闘ってるんだよね。

自分が子供のとき周りにいた大人のことも、大人になったら捉え方が随分変わる。嫌いで嫌いでしょうがなかったかつての教師のことも、「学校でしか威張れなかったんだね、うんうん。幸せに長生きしたまえ。」と思えたりする。

そして、ハッピーなことばっかりじゃなかったけど、今そういう風に思えている私の人生ってけっこうハッピーなんじゃないかと思えてくる。
「PONTI」はそんな本です。

So It's a hot, horrible earth we are stuck on and it's only getting worse. But still. I want to care for you always. May you be safe, may you feel ease. May you have a long, messy life full of love. pp.292

【※以下、私個人による非公式な和訳です。】
私たちは、暑くてどうしようもない世界にがんじがらめになっているし、そこは悪くなる一方。それでも、あなたのことを大切に思っています。安全に、のびのび過ごしていてほしい。長く、愛に満ちたはちゃめちゃな人生を送っていてほしい。

かつて自分を苦しめた人に、🔺こんな風に🔺思えているなら、あなたの人生は悪くないかもしれないね。

シンガポールを感じたい人にもおすすめ。

シンガポールは本当に我を失うぐらいに暑かったし(暑がり)、miloどこにでもありました。
そこいら中に高級デパートがあって、旅行客ってそういうところにたくさん行くのかもしれないけど、ちょっと郊外のショッピングモールとかに行くとSzuとCirceもこういうところで日本の化粧品買ってたのかな〜とか想像して楽しかったな〜。また行きたいな〜。
(※もちろんシンガポールに行ったのはコロナ発生前)

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