YOGAの[サンスクリット辞書的な]意味

 YOGAを教えているという人でも『ヨガってなんですか?』と改まって質問すると困ってしまいますよね。発音からしてヨーガと伸ばすのかヨガと短く発音するのかとか。インド人の発音だとヨーグとかも有って本当はなんなんだって😅

 サンスクリット語やヒンディー語などのインドで使われている言語は母音のo(オー)は必ず長母音として発音しますからYOGAはヨーガと発音するのが正しいのですが、北インドのヒンディー語では末尾の母音が省略されてYOGとなってヨーグと発音するのですね。でもソレはヒンディー語でありインド文化を継承してきたサンスクリット語ではないのです。
 インド文化はヴェーダだけでなくダンスや音楽、医療や武術等々ほぼ全ての重要な文化がサンスクリット語で伝えられてきました。なので『私はヨーグの先生です』とか言うインド人は(サンスクリットの発音でない段階で)ヨーガの上っ面しか知らないんだろうなと判ってしまいます。知り合いのヨーグと発音するインド人もラームデーヴ(*1)から習ったと言っていましたが、なんだか言っている内容が薄っぺらいんですよね。ラームデーヴのテレビ番組を見て覚えたことで、日本人を相手にヨーガのグルを名乗っているんだろうなと思ってしまいました。インド人から習うのなら最低でもヨーガと発音する人を推奨します。

*1:ババ・ラームデーヴ(Baba Ramdev パタンジャリヨーガ)は今日、インドで最も有名なヨーガのひとりとなっている。彼の人気は、1990年代の民間テレビのチャンネル数の増加によるもの。

 ではヨーガとは何かというと、いくつもの意味が思い浮かびます。時代背景や宗派によっても同じ言葉を別の意味で使っています。そのため個人の意見ではなくてアカデミックな根拠のある意味を知っておきたいものです。それにはやっぱり辞書に書いてある意味が信頼できますね。以下は梵英辞典(サンスクリット・イングリッシュ辞典)で最も有名なapteという辞書により調べた結果です。あなたはいくつご存知でしょう?


辞書的な意味(梵英辞典 apte による)

1 Joining, uniting.
 結合する、団結する。

2 Union, junction, combination;
 連合、連結、組み合わせ。

3 Contact, touch, connection;
 接点、接触、つながり。

4 Employment, application, use;
 雇用、申請、利用。

5 Mode, manner, course, means,
 モード、マナー、コース、方法

6 Consequence, result;
 帰結、結果。

7 A yoke.
 くびき

8 A conveyance, vehicle, carriage.
 乗り物、車両、馬車(台車)。

9 (a) An armour. (b) Putting on armour.
 (a) 鎧。 (b) 鎧を着る。

10 Fitness, propriety, suitableness.
 フィットネス(適正)、適切さ、適合性。

11 An occupation, a work, business.
 職業、仕事、事業。

12 A trick, fraud, device.
 トリック、詐欺、仕掛け。

13 An expedient, plan, means
 方便、計画、手段

14 Endeavour, zeal, diligence, assiduity.
 努力、熱意、精進、勤勉

15 Remedy, cure.
 治療法、救済策

16 A charm, spell, incantation, magic, magical art.
 お守り、呪い、呪術、魔法、魔法の芸術。

17 Gaining, acquiring, acquisition.
 得ること、取得すること、獲得すること。

18 The equipment of an army.
 軍隊の装備。

19 Fixing, putting on.
 固定する、装着する。

20 A side; an argument.
 A面(側面)。 引数(議論)。

21 An occasion, opportunity.
 機会、機運。

22 Possibility, occurrence.
 可能性、出来事。

23 Wealth, substance.
 富、物質。

24 A rule, precept.
 規則、戒め。

25 Dependence, relation, regular order or connection, dependence of one word upon another.
 依存、関係、規則的な順序やつながり、ある単語と別の単語の依存関係。

26 Etymology or derivation of the meaning of a word.
 言葉の語源または意味の派生。

27 The etymological meaning of a word.
 単語の語源的な意味(反対の固定概念)。

28 Deep and abstract meditation, concentration of the mind, contemplation of the Supreme Spirit, which in Yoga phil. is defined as चित्तवृत्तिनिरोध;
 深く抽象的な瞑想、精神の集中、至高の精神の瞑想。ヨガ哲学。 心の活動の抑止方法(ヨーガ・スートラでチッタブルッティニローダとして定義されている)。

29 The system of philosophy esablished by Patañjali, which its considered to be the second division of the Sāṃkhya philosophy, but is practically reckoned as a separate system. (The chief aim of the Yoga philosophy is to teach the means by which the human soul may be completely united with the Supreme Spirit and thus secure absolution; and deep abstract meditation is laid down as the chief means of securing this end, elaborate rules being given for the proper practice of such Yoga or concentration of mind).
 パタンジャリによって確立された哲学体系。サーンキャ哲学の第 2 部門と考えられていますが、実際には別の体系としてみなされています。 (ヨーガ哲学の主な目的は、人間の魂が至高の精神と完全に結合し、それによって確実な赦免を得る方法を教えることである。そして、深い抽象瞑想がこの目的を確保する主な手段として定められており、心の集中を適切に実践するために複雑な規則が定められている)。

30 A follower of the Yoga system of philosophy.
 ヨガ哲学体系の信奉者。

31 (In arith.) Addition.
 (算数における) 加算(追加)。

32 (In astr.) Conjunction, lucky conjunction.
 (astr.で) 接続詞、ラッキー接続詞。

33 A combination of stars.
 星の組み合わせ。

34 N. of a particular astronomical division of time (27 such Yogas are usually enumerated).
 特定の天文学的な時間区分の名前 (通常、そのようなヨガが 27 個列挙されます)。

35 The principal star in a lunar mansion.
 月の館の主役。

36 Devotion, pious seeking after god.
 献身、敬虔に神を追い求める。

37 A spy, secret agent.
 スパイ、秘密諜報員。

38 A traitor, a violator of truth or confidence.
 裏切り者、真実または信頼を侵害する者。

39.an attack;
 攻撃。

40.steady application;
 着実な適用;

41.ability;
 能力。

42.equality
 平等


 32のlucky conjunction. ってどういう意味なのでしょう?ご存知の方はコメントで教えていただけるとありがたいっす。

 カルマ、ジュニヤーナ、バクティ等のヒンドゥー教の宗教実践ヨーガはどれに分類されるんでしょう?28や29は、ちょっと違うような気がします。
30とか36とかでしょうか。
 それにしても、めっちゃ多数の意味が有って覚えきれません。元々単純な言葉ではないんですね。さらに、聖典にも別の切り口が有りますが現在使われているヨーガという言葉の意味はおいおい記事にしていけたらと思っています。

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