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再現性を追求する

僕は製造現場で働いている。

やっていること自体モノづくりなのだが、いわゆるクリエイターとはやっぱり職種が異なる。
何が違うのかというと再現性ということだと思う。

クリエイターは作品を作り、再現性を求める企業は商品を作る。

企業が利益を追求するにあたっては当然再現性が要求される。
わかりやすく言うと同じラーメン屋で何度かとんこつラーメンを頼んだとして、毎回味が違う!となってしまうと(それはそれである意味面白いが)話にならない。

お客さんは博打を打ちに来ているのではなくその店の味を楽しみに来ているわけなので。製造業っていうのはつまりそういうことで基本的には同じものを同じように作ることで一定の評価を得る。あとはクオリティの問題。


だが実はこの再現性というやつ、なかなか一筋縄ではいかない。

うちの職場でもそうなのだが一つの製品が完成するまでに複数の設備や複数の人の目を通過し、水や空気にも触れる。
完成までにどんなに早くても丸一日以上かかる。

一日の中で気温も違えば天気も違う、季節が違えば温度も違うし人が変われば手際も全く変わってくる。

例えば24時間で製品が完成するとして、その24時間中のすべての条件を全く同じにするというのは物理的にほぼ不可能だと思うが、その中でも再現性というものが求められる。


時々そういうのを全く理解しないまま「なんで、同じようにできない!」みたいな言い方をする輩が存在する。
「大局的な見方ができないヤツ、小物が」
と黒相棒がささやく。

何かが発生した時にその人の対応を大きく分けると「失敗したことを怒る人」と「データが取れていないことに対して何らかの対策を打とうとする人」の二つに分かれる。

時代は確実に変わってきていて前者は上昇気流に乗れない。
最近特にそういうことを客観的に見るようになった。

失敗することが失敗ではなく、データが取れないことが失敗だということを西野さんが最近よく語られている。

まったくその通りで、製造過程において何らかの理由でうまく行かないことがあるのだけれど、そこが問題ではなく失敗した時の色んなデータが残っていないことがものすごく問題だというのが実感として分かる。

再現性を確立するために圧倒的なデータ量が必要で、その圧倒的なデータにより再現性が可能になる事でAIやIoTといった技術が導入可能になる。


ただ圧倒的なデータの収集ってとにかく骨が折れる作業。時間がかかる。
いまはコツコツこれをやっている。

実際クリエイターとは違うんだけどそういうデータ収集って感覚としては商品じゃなく作品を作る感覚に近いんじゃないかと思っている。
どちらかというと自己満足に近いところがある。

だからそういうの嫌いじゃないのかもしれない(笑)







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