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「この小説はBiSHでできている」第三話

- この小説は、創作大賞2023「ミステリー小説部門」への応募作品です -

小説の中に散りばめられているBiSHメンバーの名前や曲名を探してみてね

              問題文




            第七章


とうとう卒業する学年になってしまった。早い 早すぎる 卒業したくない

美憂がにこにこして近づいてきたので何事かと思ったら
「備終アルバムの制作係に立候補したよ」
と誇らしそうに言う。
「なにそれ」
「卒業式の日の写真だけは載らないからそう言うらしいよ」
「卒業式の写真だけが載っているのが卒業アルバム?」
「かも」
いつの間にそんな係が決まったのだろうと不思議に思ったけど、私の休んでいた時かもしれない。すでに一年生の時から写真係というのはいて クラスメイトの写真を撮りためてはいるのだが、制作係はその編集と手のまわらないところの写真を撮る係らしい
備終アルバムか 思い出作りにはなるだろうなと思った
「じゃチェキたくさん撮ろう」
「うん」
それからは二人でチェキを撮りまくった。

「ごみ箱いっぱいだね 投げ捨てる人もいるから押し込んどこ」
三年になって美憂と一緒に整美委員になった私は最近ごみのことが気になっている
「ラビッシュ片付けなきゃ」
と美憂。
「何ラビッシュって」
「ごみくずって意味。清掃員さんから教わった」
「ああ 仲いいもんね」
「遅刻したらこっそり門を開けてくれてから話すようになって チェキ撮ったこともある」
「すごいな」
「清掃員さん優しいんだよ」
「じゃ清掃員さんとこに持っていきますか 一緒に行くよ」



「こんにちは」
作業をしていた清掃員さんがゆっくり立ち上がって振り向いた。優しそうな人だ。
「ああ 美憂ちゃん なにどしたのお こんな時間に」
「教室のラビッシュ溜まったから持ってきた」
「放課後でいいのに」
「へへ」
「大丈夫かい?また教室行きたくないんならあ いな ここに」 
「もう大丈夫ですよー ほら仲良しとも一緒に来てるし」
「あれ」
「こんにちは」 
「こんにちはあ それならよかった」
清掃員さんは満面の笑顔になってくれた。
一年生の時には声も小さかったし 人見知りで 私の休んでいる間にそういうこともあったのかもしれない
今では知らない外国人にも自分から話しかけるくらいになって なんだか成長した妹を見守ってきたお姉さんみたいな気持ちになってしまった。
「じゃついでに手伝ってくれるかい」
「はーい」「あーい」
「声が小さーい」
「はーああい」
「この箱一人じゃ重くってねえ 箱押して」 
「はーい」

12/22 今年もあとわずかで終わり 年を越したら卒業が間近だ
「思わず卒業式までの日をカウントダウンしちゃうんだよね」
と美憂が言う
「やめてよー」
そう言いつつ 実は私もそうしてた。

備終アルバムは年明けに完成した。みんなに配る前に美憂が見せに来てくれた。
「これが私たちの代の備終アルバムですか。たくさんチェキ撮ったなあ」
「そだね」
「これ通学路じゃん 公園でひまわり咲いてたな」
「豆柴たくさん散歩してる人いた」
と美憂 
「ああいた かわいかったよね」
「豆柴のうんこたくさん踏んだわ 201回は踏んだ」
「あはははは 私も」
ボランティア活動で落書きを消したこともあった。
本当は白いペンキを塗るところを誰かが
そこ黒く塗ってと言うので、商店街の一部のシャッターを真っ黒にしてしまったこともある。
あれは怖かった。
「スカートめくってくるクソガキいたな」
と美憂が思い出す。
「ああ 私もやられたわ おねえちゃーんとか言ってきて バサー」
「なにがおねえちゃーんだよ 弟としてあんなクソガキを持たないでよかったわ」
「最近観ないな」
「あいつらも小学校を卒業したんじゃないか」
「なるほど みんな卒業して前に進んでいくんだねえ」
「なに感慨にふけってるんだよ」
と美憂
「いやあ 居心地よかったなあ 卒業したくないなって 今が一番いいなって」
「私もさ こんな変な奴受け入れてくれて ショーコありがとね」
「やめてよー って言うか 自分が変な奴って自覚あったんだ」
「昔はゲボ人間でした」
「なにそれー 今は?」
今も昔も美憂は私の大切な人だよ
「帰りによく寄ってたシューマイ屋さんも 閉店しちゃったね」
「多い時は週二で行ってたな」
「美憂がエビッエビッ エビッシューマイくださーいっていっつも焦って注文してたよね」
「あれはさ 時間が時間だから 部活帰りに行くと売り切れてるときあるじゃんか」
「まあねえ それもよき思い出だよ」
感傷に浸っていると思ったら 美憂が眠そうにしてる
「ん なに 食べ過ぎた?」
「ショーコじゃないから。 冬眠症状だよ 最近卒業とかその後のこと考えてよく眠れん」
それはわかる 私もそうなのだ。
「そう言えば 修学旅行に持っていったお菓子はすごかったね」
無理矢理話を変えてみる。

「それ何」
「もちろん エビッシューマイ」
思わず声が揃ってしまった。
「エビッシューマイお菓子じゃなーい。好きだねえ」
「好き以上だよ。大好きだよ」
「このエビッシューマイに刺さってる旗は」
「あユニオンジャック リンリン亭のお子様ランチみたいでいいでしょ」
「これはグミぃ かな」
美憂がチッチッチーと人指し指を立てながら舌を鳴らして
「ただのグミじゃない。これはピーチ味のグミだね うんこれは桃グミだよ。ショーコ好きでしょ」
「桃こんなにいっぱいだ 箸休めにちょうどいいな ちょっと味見しよう」
「はあい なんでもどうぞ」
「お菓子箱に無理矢理みんな詰め込んだな。」
「この箱に入っているの みんな大大大好きだよ。清掃員さんにお裾分けしよっと 清掃員さんも大好きなものばっかりだから」
「修学旅行終わる前に食べ終えると思う」



文化祭の写真もあった。
「これは写真屋さんが撮ってくれたんだよね」
後夜祭の写真が目に入った。校庭でキャンプファイヤーみたいにして大きな焚火をして 火を囲んで音楽に合わせて踊るのだ 美憂が放送部に掛け合ってBiSHのbeautifulさをかけてもらったことを思い出す。それまで恥ずかしそうにしてたカップル未満の人たちが ノリノリでトゲトゲして急に盛り上がって仲良くなってた 
「なんかすごくまずいものを模擬店で出した気がする」
美憂は全然違うことを考えていたようだ。
「ああ あれか 美憂が実験だって言って持ってきたアレ」
「なんだっけ」

「模擬店で出すの持ってきたよー」
「おお」
「みんな試食してみてくれー」
クラスメイトが興味津々で手に取って味見をしていく
そこら中から げええ まっずいという声が聞こえてくる
「これなに」
「アンコにゼラチン ポッキーの組合せ」
「最悪だな」
「道玄坂で売ってるって おとといTVでやってたぞ」
と美憂
「個性強すぎる」
「絶妙なバランスで成り立ってると思うんだけどなー」
「こっちは?このメガネ掛けた桃の目してるガネーシャの手作りシールが貼ってあるやつ」
「桃じゃなくてハートね 材料は桃 ゼラチン ポン酢」
「ワイは うーん まずいと思う 既成概念を破壊された」
「ポン酢の分量を間違うなって念じながらやったんだけどな」
「そういう問題じゃない。桃ジュースで口直ししない?」
と私。
「飲ませろ。」
ふう 生き返ったーという声がそこかしこであがる。
「みんながおいしいと思うものを考えてほしかった」
「なんにも思いつかない」
うう と美優が泣きまねをし始めたので頭を撫でてなぐさめる
「泣くな泣くな大丈夫 帰りにエビッシューマイおごってあげるから」
「ほんと?」
「本当本気」
「わかった」
途端に元気になる おごらなくてもよかったかも
「模擬店の掛け声何にする?」
と美憂がこれが本題だとばかりに張りきった声を出してきた。
「模擬店に掛け声いる?」
「掛け声ある方が盛り上がるじゃん。チームって感じで」
「例えばなに」
「行くぞうとか」
「ゼラチン ポン酢ーがいい」
美憂が宣言する
「意味わかんねー」

「そんなこともあったな」
美憂が遠い目をする。
「さっき自分でまずいって言ってたよね」
「あれはどう考えてもまずかった」
「美憂のおばあちゃんに鮎釣って送ってもらえばよかったな」
「最近は小さな魚しか釣れないって こないだ言ってた」
美憂は少し寂しそうな小さな声でそう言った。

「水泳のも写真あるぞ 美憂のスクール水着 レアだな」
「やめてくれ こっちのつぎはぎだらけの服を見ろ」
「一週間でやめた演劇部の衣装だ。これはレアだぞ」
美憂が半眼でこちらを見ている。黒歴史だったっけ?
「思い出した まったく」
「そう言えばなんで演劇部やめたんだっけ」
「だって酷いんだよ 一年もみんな役が付く 出られるって言うから入ったのにさ」

名字の同じ祐奈とはすぐ仲良くなった
「祐奈 静御前の役だっけ いいなあ」
「美憂は 北条政子でしょ セリフ多いからいいじゃん」
「静御前の方がかわいい」
「いや ほら 私日本舞踊やってるからその関係で選ばれただけ」 
「おーい みんな集まってくれー
今度の老人ホームでの芝居 場所が思いのほか狭いことがわかった。
で 同時に出られるのは3人が限度だ
これからいう役は割愛な 慈円 堂本 和尚」
「どっちのお寺の和尚?」
「 あー建長寺 遠藤 えー 北条政子 美憂」
「まじか」

「ということがあったのさ ショーコに言った気がする」
「聞いた気がしてきた  あ ほら これこっちの写真 模擬店でコスプレもしたね」
「いろいろと面白い衣装を着ることができたのも高校生ならではだな」
死ぬわけでもないのに思い出が走馬灯のようによみがえってくる
たくさん泣いたり笑ったり怒ったりまた笑ったり
濃密な時間だった
大切な時間だった
「一年生の時にさ。夢だか目標だか書かされたじゃん。憶えてる?」
「ショーコはえーと うん国際機関で働きたい。私は なんだっけ 小学生の時はTVに出ることって書いた 笑っていいとも出たかったな 昼に電話鳴るとTVと電話交互に見てたわ これ呼んでる?って。結局テレフォンずっと待ってたのに 来なかった」
「しゃあない」
美憂を軽く抱きしめる
「ショーコっていい匂いするよな」
「そう?はじめて言われた」
「なんかこう 普段は照れくさくて言えないことも言えるような そういう 時間だー」
最後 美憂は恥ずかしそうに叫んだ
「ああ 美憂の目標思い出した」
「え なに もうやめてー」
「あの頃文学少女だったじゃん 演劇部辞めてから文学に生きるとか言ってさ 東京の有名な書店を制覇する じゃなかった?」
「ああ」
遠い目をしながら
「神田の三省堂 東京堂 陸奥 あー 忘れた」
「三省堂ってなくなっちゃうんでしょ」
「そうらしいな」
「有名な作家の握手会とかあったら行ってみたかったなあ 行ったことがなくても思いを届けたものがなくなるのってさみしいね」
美憂は黙って頷いた
「みんなが撮ったのもあるよ」
「これは生物室」
「カエルの解剖思い出した」
いかにも嫌そうな表情で美憂がおえーと言っている。
「あったー あったあった 美憂がさ カエルの精巣みてさ 早く箱に入れてってパニクってたよね 精巣inしてよー あははははは」
ぶすーとした顔で見られてしまった。

「これ美憂 酷い顔してるな」
「放課後に写真撮られたんだよ 部活があるから普段は教室いないけど、その日は赤点取ったから居残りして補習受けてたんだよね」
「ああそれで 結局全部の成績の平均てどうなったんだっけ」
「3に近い2だからDは免れた Dだと大学行けないからな 本当にDEADMANのDだよ」



卒業が近づくとあんまり話さなかったクラスメイトとも名残惜しくなるのかたくさん話すようになる
「ワイは衣装 袴やな」
と溝口
「卒業式はやっぱり羽織袴ですかねー」
「正装いんじゃない?」
美憂は
「わたしは黒のスーツで行くつもり それが私の正装だ」
「地震の時以来一貫してるよね」
「ショーコは成人式でも着物だったな なんかぎこちなくて操り人形みたいだった」
「私のおばあちゃんの着てたやつ 代々思いを受け継いでいるんだよ 志は着こなせたと思う」 
「みんなでチェキ撮ろうよ」という声が上がって
おおおそうだなーとわいわい騒々しい 心地よい騒がしさだ。
さすがに全員は入れないので席順の近いエリアで分けて撮ることにする。
「順々にな」



「やだな もう少しここに  わたしたちまだいられるかなあ?あああ 卒業しないって手はないかな」
私がそう言うと
「すまん 一人で留年してくれ」
「ええ 酷ーい 置き去りかよ」
卒業するなんていうことはずっと前からわかってた なのに

卒業までの日を つい カウントダウンしてしまう
もう あとわずか


答え

第七章
メンバー名
モモコグミカンパニー 
「うんこれは桃グミだよ。ショーコ好きでしょ」
桃こんなにいっぱいだ 箸休めにちょうどいいな ちょっと味見しよう」
「こっちは?このメガネ掛けたの目してるガネーシャの手作りシールが貼ってあるやつ」
じゃなくてハートね 材料は ゼラチン ポン酢」

ハグミー 「これはグミぃ かな」

セントチヒロ・チッチ 好きな花なので絵文字はひまわり
          「これ通学路じゃん 公園でひまわり咲いてたな」
        美憂がチッチッチーと人指し指を立てながら舌を鳴らして

アユニ・D 「昔はゲボ人間でした」
      「あユニオンジャック リンリン亭のお子様ランチみたいで」
    アユニ・DのDは
    「本当にDEADMANのDだよ」

アイナ・ジ・エンド  
     「大丈夫かい?また教室行きたくないんならあ いな ここに」
     「はあい なんでもどうぞ」
     「このメガネ掛けた桃の目してるガネーシャの手作りシール」
     「行くぞうとか」
 リンリンさんはアイナゾウ(象)と呼んでいます。
 ガネーシャはゾウの頭の神様です。
    「これからいう役は割愛な 慈円 堂本」
    「あー建長寺 遠藤」 
リンリン 「あユニオンジャック リンリン亭のお子様ランチみたいで」

ハシヤスメアツコ 「桃こんなにいっぱいだ 箸休めにちょうどいいな」
       「このメガネ掛けた桃の目してるガネーシャ」

BiSHの所属するWACKの社長 渡辺氏 別名 ジュンジュン
       「順々にな」

曲名
WiTH YOU 「一緒に行くよ」
Throw away 「ごみ箱いっぱいだね 投げ捨てる人もいるから押し込んどこ」
PAiNT it BLACK そこ黒く塗ってと言うので、商店街の一部のシャッターを真っ黒に
TOUMIN SHOJO なぜIが小文字でTOUMiNでないのかは謎です。 冬眠症状
MORE THAN LiKE 「好き以上だよ。大好きだよ」
SHCOOLYARD 後夜祭の写真が目に入った。校庭でキャンプファイヤーみたいに
beautifulさ   そのままです
脱・既成概念「わいは うーん まずいと思う 既成概念を破壊された
DON'T MiSTAKE 「ポン酢の分量を間違うなって念じながらやった」
飲ませろ     「飲ませろ。」
I have no idea 「なんにも思いつかない」
本当本気    「本当本気」
Small Fish 「最近は小さな魚しか釣れないって こないだ言ってた」
is this call? これ呼んでる? 結局テレフォンずっと待ってたのに」
DEADMAN  そのままです
Bye-Bye Show  「ワイは衣装 袴やな」
Marionette   「なんかぎこちなくて操り人形みたいだった」  
CAN WE STiLL BE?? 「もう少しここに わたしたちまだいられるかなあ?
 

BiSH 備終アルバムの制作係に立候補したよ」
   「ラビッシュ片付けなきゃ」
    「美憂がエビッエビッ エビッシューマイくださーいって」
箱推し グループ全体を推すこと 箱押し
うんこ 馬のうんこをかぶるPVは衝撃でした
     「豆柴のうんこたくさん踏んだわ 201回は踏んだ」
     「これはピーチ味のグミだね うんこれは桃グミだよ。」
     「ショーコはえーと うん国際機関で働きたい。」
小学生の時はやたら「うんこくさいくうこうで」(うんこ臭い空港で)とか「うんこくさいきかんで」(うんこ臭い機関で)とか言ってた記憶があります

BiSHのラジオ番組ATTACK OF THE KiLLER BiSHは201回放送されました  
   「豆柴のうんこたくさん踏んだわ 201回は踏んだ」

楽器を持たない
パンクバンド あんなクソガキを持たないでよかったわ

モモコグミカンパニーさんのファンネーム モモコグミ
   「これはピーチ味のグミだね うんこれは桃グミだよ。」

リンリンさんのファンネーム テレフォンズ
   「結局テレフォンずっと待ってたのに 来なかった」
 
BiSH
「美憂がエビッエビッ エビッシューマイくださーいって」

ち〇ぽ BiSHのライブ前の掛け声です
 「アンコにゼラチン ポッキーの組合せ」「最悪だな」
 「桃じゃなくてハートね 材料は桃 ゼラチン ポン酢」
 「ゼラチン ポン酢ーがいい」

12/22 BiSHが代々木で解散日を発表した日です。

BiSHの所属する事務所のあるところ  
   「道玄坂で売ってるって おとといTVでやってたぞ」
BiSHのオーディション会場だったOTOTOY 
   「道玄坂で売ってるって おとといTVでやってたぞ」
BiSHのファン 清掃員  「正装いんじゃない?」「精巣inしてよー」
BiSHのグッズは黒が基本 
      「わたしは黒のスーツで行くつもり それが私の正装だ」
BiSHの目標は東京ドームツアーでした
     「神田の三省堂 東京堂 陸奥 あー 忘れた」
印象的なセリフは答えにはしていませんが、清掃員なら気づいてくれると思います。

次回の第四話 第八章が最終回 卒業式です。URLはこちらです。
https://note.com/datapatricii/n/n80b98fb48dc7

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なにとぞ





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