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「この小説はBiSHでできている」第四話

- この小説は、創作大賞2023「ミステリー小説部門」への応募作品です -

小説の中に散りばめられているBiSHメンバーの名前や曲名を探してみてね

              問題文


            第八章


またね また会おうね  何回も聞いてきた 何回も言ってきた
今日が 最後のまたね になるのだろうか

みんな思い思いの正装で卒業の日に集まっている。
「おはよう」
「おばよー」
「なんだ また眠いの?」
「違うよー」
「じゃ なに どした?」
「なんでもない。」
落ち込んでいるんだろうか 卒業したくないんだろうか 一人でこの先歩いていくのが怖いんだろうか まさか留年じゃないよね などと色々な考えがぐるぐる回ってしまう
「最後なんだから なんでも言いなよ」
「最後の日だってのに 両足で うんこ踏んじゃったの 」
「あはははは」
安心した とても安心した
「だから言いたくなかったのにい。笑いごとじゃないよ」
「いや最後は何でも笑えるわ うん 最後のうんこだよ もうないよ」
「あってたまるか」
教室にBiSHの曲が流れてくる
「誰か気を利かせたな お昼食べる時いっつもかかってたもんね 放送部にBiSH好きな人がいるんじゃない?」
「BiSHの曲たくさん聴いたなあ オーケストラ1000回は聴いとる」
「すごいな。私はプロミスザスターかな」
「HiDE the BLUEも大好き」
「BiSHは私たちの青春とともにあったね」
「ほんとそれ」

「清掃員の人ともお別れだね」
「最後に握手してくる」
「うん 私も行く」

「あれ まあ二人とも 綺麗な格好して」
清掃員さんはいつものように柔らかな笑顔で迎えてくれる。
「最後に話したくって来てしまいました」
と私
「いろいろとお世話になりました」
「いいのいいの もう卒業なんだねえ 実感わかないよ 私も最後に二人に会えてよかった。実は今年が定年でね。今日で清掃員をやめるんだよ」
「え  そうなんですか?」
「長くいたからねえ 8年にはなるね 私もずっとこのままなんじゃないかって思うこともあったけど、永遠なんてことはないから 始まりがあれば終わりがあって 始まって そういうもんじゃないかね 特に若いあんたたちの行くこれから先の道は長いから そういうことも多いだろうね だけどその積み重ねが大事なのさ そうやって人は成長していくもんだよ」
卒業後にふらっと訪れたらまたおしゃべりできると思っていたのに
「最後に握手してください」
とそれまで黙っていた美憂が決然とした声で言う。
少し震えていたかもしれない
「握手かい?いいよ」
働いている人のしっかりした手だった
「教室 廊下 下駄箱 綺麗に使ってくれてありがとうね」
「はい。こちらこそ本当にありがとうございました さようなら」
二人揃って頭を下げる

「涙出ちゃった」
と美憂が言うので
「わたじも」
じゅじゅぐじゅの鼻声だ。
「気持ちば伝わっでるから大丈夫だよ」
私は美憂の背中に手をまわしながらそう声をかけた

教室に戻った。もう移動の時間だろうか まだだろうか
「ジャムパンあげる」
と美憂 なんでジャムパン?
「ありがと」
「シューマイ屋さんのとこ パン屋さんになってた」
「あ そうなんだ」
美憂の前で食べるかどうか迷ったけど、ジャムパンを口に入れる 
シューマイ屋さんに負けないくらい おいしかったらいいな という期待を込めて
「うん」
「どうだ」
美憂が少し緊張した面持ちで見つめてくる
「うん まあまあかな」
これが私の本音だ。
開店したばかりでエビッシューマイとおんなじようになられてたまるかという気持ちと 応援もしたい気持ち 
「そうか」
「そんなもんじゃない 積み重ねだって清掃員さんも言ってたし」
「だね」
「て言うかさ 美憂食べてないってことだよね」
「あはははは いやあ まずかったらあれじゃん シューマイ屋さんなんでなくなっちゃったんだーって怒りしか湧いてこないじゃん」
クラスの何人かが振り向いている
「シューマイ屋さんを惜しむのに 声大きすぎ」
「いいんだよ 好きなものは好きなんだ」
「いつか シューマイ屋さんの孫が復活させるかも」
「孫かあ 私死んでるんじゃね」
「そしたら私たちの孫が通ってるよ きっと」



もうすぐ卒業式だね
「答辞だっけ 誰がやるんだろ」
「美憂の成績のDはDEADMANのDですの私に訊くなよ。頭のいい奴だろ」
「ワイがやる」
「おお そうなんだ 溝口 頭よかったんだ」
「ICUを目指してたくらいだからな」
「合格したんだっけ?」
「それは 訊くな。いいか 日本人の良さは察する能力が高いことだ」
「なるほど 勉強になりまっす」
といつも通りフォローするのは私
「ワイはスピーチコンテストで優勝したこともあるからな そういう評価もあるんだろ」
「溝口は応援団のキャプテンだから 場慣れしてるのもあるかも」

在校生の送辞はなんと溝口の弟がしてくれるらしい
「兄弟で送辞と答辞か すごいな」
「答え合わせばっちりだぜ」
「だろうな けど、普通そういうのって前もってカンニングさせてもらえるんだろ?」
「カンニング言うな」
と私。
「そうなのか?ワイ中学の時も弟とやったからよく知らんわ」
「さいでございますか」

卒業生はクラス順にぞろぞろと体育館に向かっている。
「なんか 行きたくないなあ」
「卒業するのやっぱりやめまーす 言える?」
と私
「言えない」
この上履き履くのも今日が最後だなあと思ったり この廊下の角を曲がったところにへばりついているガム取れなかったなあとか なんでもないことを思ったりする

渡辺校長の式辞が始まった
「若さというのはすばらしいものです。けれど、年をとっても人生は美しいんです。君たちの物語はもっともっと輝きます。ろっくんろおるのかみさまもそう言っています。本当です。私にありがとうはいりません。君たちが努力して自分たちの力で手に入れたものです。みんな星に約束してください。君たちの明日を全身全霊で生きていくことを。備終アルバムを手にしたみんな 準備はいいですか?」

教室に戻ると楽しそうな声を上げている人もいれば 泣いている声も聞こえる
「渡辺校長泣いてたね」
と美憂
「うん」
「泣くと思ってた」
「そう?」
「要はシックスセンス 第六感だよ ショーコもうるっときてたな」
「かすかにね」
「溝口兄弟のもなかなかだった」
「だね。いやあそれにしても早かったなあ」
「だよねー  高校生活も永遠じゃなかったなあ 小学生の夏休みのようにはいかん」
「卒業が嫌で留年する人いないよね どうかな」
「私 実は」
「え ええ?嘘でしょ?」
「あはははは ウソウソウッソだよーん」
「さすがにありえんわ 卒業詐欺かと思った。今日の私の涙返せ」
「ごめんねー。でもさ 卒業式来ていない人は留年かもね」
「同窓会でまた会えるよ」
「同窓会ね」
「ぜっったい同窓会しようね 必ず」

最後のホームルーム
一人一人名前を呼ばれて 卒業証書と卒業アルバムを受け取っていく
はい はい はあい はい あい はい はい ハイ ハイハイ はーい
「急に実感が」
「うん私も」
「本当に卒業するらしい けど何を?」
「なにって決まってるでしょ」
「いや そうじゃなくってさ なんて言うの こう 卒業するに値するくらい成長したんだろうか と思って 活舌もよくないのはあんまり変わらなかった ときどき はい が あい に聞こえそうな時がある」
「美憂成長したよ 最初はさ 今みたいに名前呼ばれても 小さな声で あいって返事してたじゃん さっきは堂々と 大きな あい で返事してたでしょ すごい成長だよ 英語も上達したしさ」

名残惜しい人は残って そうでない人や 踏ん切りをつけた人がみんなに軽く手を挙げてあいさつしながら教室を出ていく 

下駄箱で上履きを脱ぐ。
上履きを袋に入れる。
下駄箱の自分の名札をポケットに入れる。

「校庭の桜 満開だね」
風に舞う花びらもこれで見納めだ
「お 花びらゲット」
「子どもか」
私たちのタイムカプセルが桜の木の近くに埋まっている
文化祭のクラスTシャツにみんなで寄せ書きしたもの 
クラスの歌を作って録音したもの
部活の汗が染みついたタオル
なくしそうだからと備終アルバムを入れた人
たくさんの思い出が詰まっている

「校庭に埋めたタイムカプセル 取りに来ようね 連絡するから」
「せっかくこの道を進んでいこうってものが見つかったんだから しばらくは一人で頑張ろうと思う」
「ええ? 私なんてまだなにしたらいいかわかんないよ」
「ショーコはそれでいいんだよ」
「どんどん先に行っちゃってさ 後ろ姿ばっかりじゃ どんな表情してるか 笑ってるのか泣いてるのかだってわかんないよ 勝手すぎだよ あとね 美憂は一人じゃないから 私いないけど そばにいるから」
「ショーコ いろいろ変なことに巻き込んでごめん ショーコがいてくれたから強くなれたんだ
ただ あなたが好きでした ありがとう」

星の瞬く夜に また会おう バイバイショーコという言葉を残して 美憂は去って行った

Dear... 幾星霜 因果が巡り 復た再び会えますように

なにとぞ

答え
第八章
メンバー名
モモコグミカンパニー  ICUの卒業生です。
       「ワイはスピーチコンテストで優勝したこともあるからな」

セントチヒロ・チッチ キャプテンをしていました
       「応援団のキャプテンだから場慣れしてるのもあるかも」

アユニ・D 「DのDはDEADMANのDですの私に訊くなよ。」
BiSHの所属するWACKの社長 渡辺氏 
       「渡辺校長泣いてたね」

曲名 
SEE YOU  またね   また会おう
Nothing.   「なんでもない。」
FiNAL SHiTS 「最後のうんこだよ もうないよ」
オーケストラ   そのままです
プロミスザスター そのままです
HiDE the BLUE  そのままです
ZUTTO  「ずっとこのままなんじゃないかって思うこともあったけど、」
NOT FOREVER 「永遠なんてことはないから」
        「だよねー  高校生活も永遠じゃなかったなあ
Beginning,End and Beginning 「始まりがあれば終わりがあって 始まって」
A long way to go 
     「行くこれから先の道は長いから そういうことも多いだろうね」
STACKiNG      「だけどその積み重ね
JAM         「ジャムパンあげる」
DEADMAN       そのままです
YOUTH        「若さというのはすばらしいものです。」
Life is beautiful     「けれど、年をとっても人生は美しいんです。」
Story Brighter      「君たちの物語はもっともっと輝きます。」
ろっくんろおるのかみさま  そのままです
No THANK YOU     「私にありがとうはいりません。」
Promise the star  「みんな星に約束してください。」
TOMORROW    「君たちの明日を全身全霊で生きていくことを。」
ZENSHiN ZENREi  「君たちの明日を全身全霊で生きていくことを。」
BE READY    「備終アルバムを手にしたみんな 準備はいいですか?」
LiE LiELiE     「あはははは ウソウソウッソだよーん」
ごめんね       そのままです
SHCOOLYARD     「校庭の桜 満開だね」
SAKURA       「校庭の 満開だね」
星の瞬く夜に     そのままです
Bye-Bye Show     バイバイショー
Dear...         そのままです


BiSHのファン 清掃員  幾星霜 因果が巡り 復た再び会えますように
握手会 握手かい?
ハシヤスメさんのファンネーム ハシックス  
         「要はシックスセンス 第六感だよ」
小さなiが大きなIになりました
 「小さな声で あいって返事してたじゃん さっきは堂々と 大きな あい で返事してたでしょ」

この小説全体に大きな謎 ミステリーが隠されていたんですけど、謎解きはできましたか?

              最後の答え

各章の最初の言葉をつなぐとBiSH大好きありがとうまたねになることに気付いた人 すごい
文字通りこの小説はBiSHでできているんです。

最後まで読んでいただいてありがとうございます。
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なにとぞ

清掃員の方や、清掃員でないミステリー好きや小説好きの方や、
BiSHやCENTやPEDROや(momo)の関係者の方もコメントや褒める感想をくれると嬉しいかもしれない きっと嬉しい
よろ



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