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「ビジネスの分析してみる」は「ビジネスで実験してみる」につながるという話

はじめに

前回の記事で、もし分析をする仕事をしたいなら

1. 分析環境がある
2. 意思決定が迅速で実行できる
3. 新しい施策をするためのお金や人がいる

の3つがあるところで働くと良いよという話をしました。よく考えたら、なぜ?という話をあまりしてませんでした。今回はその理由を話します。

分析したことを実現するには実験する必要があります

分析のお仕事は「出したら終わり」になることはありません。というか、なってる会社やサービスだとやばいです。基本的に分析はサービスや事業をよくするためのものです。分析結果を出しただけでサービスや事業は良くならないです。そのために分析でサービスをよくすることに結びつけるなら、次の手順が必要です。

1. 依頼
2. 分析
3. 結果共有
4. 施策出し
5. 施策の実行
6. 施策の検証

前半の3つまでが分析の仕事だと思われがちです。確かに狭い意味では正しいのです。ですがが、お仕事の中で分析をするならば後半の4〜6の作業にも手を出した方が良いと思っています。最低限、4〜6の作業を見据えて分析をするかしないかで、分析結果の出し方が変わってきます。

この5〜6を何度も繰り返して、ようやく仕事をする意味が出てきます。

分析結果を出してようやく半分

たまにいるのですが、分析はご神託のようなものと考えてる人がいます。つまり、分析結果をもらえると立ちどころに問題が解決して事業やサービスがうまくいく魔法のようなものだと考えてる人です。

よっぽど初歩的なことができてない場合、まずその部分を直したら改善しますよ、ということはあります。分析が終わったら、依頼者は頭を使って足を動かす必要が出てきます。

最近、私が使っている食事のレコーディングアプリを気に入っています。そのアプリの運営会社の中で分析依頼があると仮定してみます。前提として、そのアプリはサブスクリプションモデルです。通常は無料で使えます。便利ないくつかの機能を使える権利を得るため、月次でユーザーに課金してもらうモデルです。

プロダクトマネージャーから「課金ユーザーの定着が悪く、翌月のアクティブ率が60%程度だ。これを70%に乗せないと採算が合わない。何とかして上がるようにならないか?」と依頼が来たとします。

めちゃくちゃ余談ですが、このレベルでサービスと現状を把握してるプロダクトマネージャーがいたら超優秀ですね。

分析の結果、初日から3日間の9食分を記録させるのが定着に重要とわかりました。この結果をプロダクトマネージャーに共有します。

この結果を出すところが、手順の1〜3です。ようやく半分です。

施策に落とし込むでようやく8割

ここから改善の作業に入ります。プロダクトマネージャーはどうやったら9食分の記録を記入させることができるかを考えます。

1. 初回入力のチュートリアルを作る
2. 通知の許可率を上げる施策を考える
3. 3日間だけプレミアム機能を無料で使えるようにする
4. 何かログインボーナスをつける
5. 9食分を達成するためのクエスト機能をつける
6. より記録が行いやすくなるようにトップのデザインを変更する
7. 記録完了時の取得している栄養のフィードバック機能をつける
8. 今の食事に対するおすすめの料理を表示する機能をつける

ここで施策はいくつか出すといいです。プロダクトマネージャーは手持ちの開発やデザイナーの余力などから、どの順番で行っていくかを考えます。

分析者はさらに細かく見る数値を考えたり、手持ちの結果から検証できるものはないかを考えます。例えば、「チュートリアル作る」施策に関しては「1回目の食事の記録の完了率を出す準備する」「1食目の記録をした人としなかった人の2つのグループに分けて、3日間の記録の完了率の差を出す。この施策がどれくらい有効かを考える。」などです。

改善施策はいくつかあった方が良いと思います。というのも多くの場合、サービス提供者側の気持ちに反して、ユーザーが想定通りの動きをしてくれるとは限りません。チュートリアルを設定したしとしても1食目の完了率は変わらないこともあるし、逆に下がることもあります。この時に1つの施策にこだわっていると、何とかチュートリアルの内容を工夫して改善しようとして多くの時間とリソースを取られることになります。1つ目がダメだったら2つ目、2つ目がだめなら3つ目とスピーディーに行えることが重要です。

最後に検証

実際に施策を行ってサービスに反映されたら、実際に改善されているかをモニタリングする必要があります。同時に細かく分けた指標をみます。失敗していたら、その過程のどこに問題があったかを素早く共有していきます。

このようなことを行って、少しずつアクティブ率が上がっていきます。

まとめ

分析者が仕事をするなら、環境にこだわる理由について具体的な話を交えて行いました。分析環境がないと依頼に対して迅速に答えることができません。分析結果から、即座に対策を考えようと動き出す環境がなければ前進しません。その対策を実行する時に、いちいち関係者の了承をとるような状況だったり、実際に動ける人の確保に1ヶ月かかるような状況だと絵に描いたもちのままです。

この流れができる会社かどうかは慎重に見ていく必要があると思います。分析以外のお仕事をしている人も、このような改善を回せているか?回せないなら何が問題なのか考えていくと良いと思います。

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