私の中のジャックナイフが目を覚ます時の話。

選挙が近くなると、街頭演説する輩をチラホラと見かける。
私の中のジャックナイフが目を覚ます瞬間である。

あれはまだ長女が赤ちゃんだった頃、超低体重児だった長女はミルクを1回でたくさん飲むことが出来ず時間もかかったので、ほぼ1時間おきくらいで授乳をしていた。
もちろん夜中も2時間も経たないうちにお腹が空いて泣く。次はオムツが汚れて泣く。実質1時間毎に起きてた気がする。
というのも、長女は筋金入りのHSCなのでミルクが少しでも冷めると飲まない、オムツがほんの少しでも濡れると嫌がり替えるまで泣き続ける子だった。ミルクもオムツも勿体無かったし、ベテラン師長さんからも"こんなに自我が強い子は初めてだ"とお墨付きをもらうような赤子だった。
そんな赤子を相手にしていたので、1日中気を張っていたし、寝不足のせいかその頃の記憶はほとんど無い。そんな状態で、毎日を過ごしていた。

そんなある日、祝日は夫が出勤なのでワンオペだった。私はいつものようにミルクを飲ませ、オムツを替え、眠るまで抱っこして家の中を歩き回った。そして昼頃、やっと寝かしつけに成功した。細心の注意を払い、そっと布団に寝かせ、ほっとした次の瞬間だった。

『お休みのところ申し訳ありません!!!こちら〇〇党でございます!!!!!』

長女はびっくりして泣き、私は絶望して膝から崩れ落ちた。
外では拡声器を持ったバカが演説を始めている。何を喋っていたか怒りのあまり入ってこない。
やっと…やっとの思いで寝かしつけたのに…!
何でこの時間に…!何でこんな住宅街で…!外出先ならまだしも、家の外でやられたら逃げ場がないじゃないか!!!
私は怒りに震え、そばにあった目覚まし時計を手に取りベランダの窓に手をかけた。
この目覚まし時計を投げつけて「うるせぇ!!!子育て世代を応援するならよそでやれ!!!!!ここには昼寝をしなきゃならない赤ちゃんがいるんだよ!!!!!」と、大声で叫んでやりたかった。
でもこの子の将来を考え、踏みとどまった。そんな事をして傷害罪で逮捕でもされたら夫にも長女にも申し訳ない。
私は泣きながら長女を抱っこした。それから夫が帰ってくるまで長女は寝なかった。

あの時の私の絶望と怒りは忘れない。たぶん一生忘れない。そして、いい加減、誰か教えてやって欲しい。
あなたのそれは、お昼寝中の赤ちゃんを起こし、やっとの思いで寝かしつけた親を絶望の淵に落とし、体調不良で伏せっている人の療養を邪魔しているだけで、有権者の心には何にも響いていませんよ。どんな綺麗事を声高々に叫んでも"こいつは想像力の欠片も無い、ただのバカなんだな"と思われているだけですよ、と。

今日も私の中のジャックナイフが目を覚まし、鎮めるためにこの筆をとっている。
そしてこう締めくくろうと思う。

バカに政治をさせないために、投票に行こう。


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