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【サービスデザインとUXデザインの違いについて】

皆さん、超オハヨー!シシシだよ( ^ω^ )  

一昔前はUXデザインとUIデザインについての違いについての議論がなされ、今はようやくその認識が一般に広まったように思います。  

↑有名なジェス・ジェームス・ギャレットの図て解説すると、Surface(表層)であるUIは氷山の一部分ですが、UXは氷山そのものの設計を扱います。

しかし、世の中にまた新たな疑問符が出てきました。  

それは、「サービスデザイン」と「UXデザイン」は何が違うのか。です。

結果としてある程度納得できる答えが見つかったと感じていますが、最初にお伝えしておくと、実はコレ、UXとUIの違いを理解するよりもよりも広範囲の知識が必要だということがわかりました。

ですので今回はデザイン思考とかUXがどうの、みたいな基本的な説明は省かせて頂いています。何卒ご了承くださいませm(_ _)m

後述するThis is service design doing にすら、ハッキリとした回答は書いてありませんし、むしろ、アンタ、デザイン思考実践者だろ?そんなちっちぇこと気にすんな!とすら書いてあるくらいです。かっけぇ。(ちなみにシシシも名称にこだわりはないです。みんながそう呼ぶから使ってるというスタンスです。)  

とは言え、〇〇デザイナーとして組織において働かなければいけない方々にとっては、ある程度の線引きはあった良いと思うんですよね。

なぜなら、デザイン思考を基盤とした働き方に求められるスキルやその対象範囲はあまりにも広く、究極的には何でも屋になるしかありません。(分身の術でも使わない限り、1人では仕事がまわらない…ぴえー!)  

そんな恐ろしい事態を避けるための後ろ盾として、今回の記事の見解を参考にしてもらえると嬉しいです。  

執筆にあたり、この両者の定義をスカッと解決する文献を探してみましだが、ついぞ日本語ではっきりとした情報を見つけることはできませんでした。したがってこれを機に海外文献で調べた上で、自分の見解をまとめてみました。
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両者のマインドセットは共通している

サービスデザインとUXデザイン、両者の違いを語るのを難しくしている理由は、サービスデザインが何をするのか?に目を向けるとよく分かります。
This is service design doingからの一例では、

Service design helps organizations see their services from a customer perspective it is an approach to designing services that balances and ease of the customer with the needs of the business aiming to create seamless and quality service experiences. Service design is rooted in design thinking, and brings a creative human centered processes to service improvement and designing new services. through collaborative methods that engage both customers and service delivery teams, service design helps organizations gain true end to end understanding of their services, enabling holistic and meaningful improvements - crowd sourced by Megan here in Myler  

要約すると、
1:サービスデザインとは組織が顧客目線とビジネス要求のバランスをとりつつ、シームレスなで高品質なサービスを創造すること

2:サービスデザインはデザイン思考に根ざしており、また人間中心設計を持ち込み、サービスの改良または新しいサービスをデザインする

3:コラボレーションを通して顧客とデリバリーチームをエンゲージし、包括的、そして意味に溢れた改善を実現しつつ、初めから終わりの理解の獲得を助けます。

とあります。

お気づきの方もいるかもしれませんが、サービスという言葉をUXに変えてもほとんど意味が通ります。

なぜなら、デザイン思考を基盤としたマインドセットにおいては、両者のやる事はほぼほぼオーバーラップしているから、です。これが違いを曖昧にしている最大の原因だとシシシは考えています。

さらに、同書にはこうも書かれています。

When it comes to terminology you will find the splitters and  the lumpers.
中略  
Honestly, we don’t care what you call it as long as you are doing.

世の中には2種類の人間がいる。それは分ける奴と分けない奴だ!( 超訳:シシシ)

この本では一貫して、それをなんと呼ぶか、ということにこだわるよりも、デザイン思考を実践する、デザインシンカーであることが大事なんじゃい!というスタンスを取っています。かっけぇ。( 2回目)

これにはシシシも同感です。シシシは、デザインリサーチャー、UXリサーチャー、プロダクトマネージャー、UXデザイナー、プロダクトデザイナー、サービスデザイナーという名前を会社から次から次へと名刺に与えられてきましたが、大事にしてきたデザイン思考=デザインはみんなのもの、というマインドセットを持ったデザインシンカーである事は変わってません。

とは言え、冒頭にも書きましたが、組織で働く以上、ある程度の担当業務範囲や責任範囲の切り分けはあったほうがいいなあーと思ってます。個人が持てる工数は無限ではないですから(^◇^;)

以下はマインドセットは同じと言うことを踏まえたうえで、あくまでも企業人として、もし業務を切り分けるとしたら?と言う観点で読んでいただけると誤解がなくて良いと思います。


↑社内人材のユニコーンデザイナー化、業務遂行能力の完璧さを求めるのは辞めましょう。チームで補い合った方が堅実ですし、健全な組織が生まれると思います。


両者は設計の視座と対象が異なる

サービスデザインとUXデザインは、同じデザイン思考を実践するものと言うことはよく分かりました。では、それぞれのプラクティス( 活動)を何に対して行なっているのか、という視点から見てみましょう。

もともとUXという言葉を作ったのは皆さんお馴染みのドン•ノーマン(Don Norman)さんです。  

彼が著書、誰のためのデザイン?(The design of everyday things.)を執筆するにあたり、ソフトウェア以外の広範囲にわたる人の体験設計を扱うにはヒューマンインターフェイスやユーザビリティという言葉だけでは捉えきれなかったためです。

“I invented the term because I thought human interface and usability were too narrow. I wanted to cover all aspects of the person’s experience with the system including industrial design, graphics, the interface, the physical interaction, and the manual.”  

しかし、こうした出発点であったからか、残念ながらノーマンさんの思惑とは異なり、今日のUXデザイン及びUXデザイナーと言えばWebサイトやアプリなどのデジタルプロダクトの設計を指すことがほとんどです。

実際シシシの経験からもUXデザイナーはUIデザインを手がける事がほとんどでしたし、違和感を感じていました。

個人的な所感としては、一部のクラシカルなプロダクトデザインを除き、未だにUXという言葉は多くの企業の場合、デジタルプロダクトの体験設計の枠を超えられていないと思ってます。

一方、サービスデザインは経済活動そのものであるサービス全体を広範囲にわたる視座(経営、事業戦略)から設計します。  

それは例えばサービスデザインで利用するツールにも現れていて、ビジネスモデル社が提唱した、ビジネスモデルキャンパスや、サービス全体を設計する、サービスブループリント、サービスを取り巻く環境を描く、サービスエコシステムマップ、事業戦略を描くためのビジョンマップなどがよく使われる事からも窺えます。

これもシシシ個人の経験と当てはめても、UXデザイナーという名前を与えられた時にはビジネスモデルキャンバスを使用することなんてほとんどなかったですねー。٩( 'ω' )و

話を戻しますが、サービスデザイン及びサービスデザイナーは、よりビジネスを対象として設計活動を行なっています。

これは個人的な見解ですが、本来、経済活動にはプロダクト(フィジカル•デジタル問わず)も含まれるはずであり、そう言った意味では、サービスデザインはUXデザインも包含するのではないでしょうか。

↓おまけ

少々古いですが、株式会社グッドパッチ代表取締役の土屋尚史さんのコラムにて、デザイナーの守備範囲と言う資料を見つけました。これを見ても、サービスデザイナーは全体プロセスの中で最初の方に置かれていて、ビジネスデザイナーとも呼ばれています。出典:WD(ウェブデザイニング)2018年6月号より  


まとめ

今回はサービスデザインとUXデザインの違いについてまとめてみました。結論としては両者はデザイン思考に基づいている為、やる事はほとんど同じ、呼び方にこだわる事は意味をなさないよ、と前置きしつつ、両者の成り立ちに目を向け、あえて切り分けるのであれば、UXデザインはプロダクトに、サービスデザインはビジネスに焦点を当てている現状、というのが現時点でのシシシの見解です。  

実際のところ、多くの会社でサービスデザイナーとUXデザイナーと呼ばれる職業の対象領域は、非常に曖昧になっているのでは無いでしょうか。先に挙げた本質的な意味では、これ自体は悪いことではありませんし、両者の違いは現在進行形で薄れていくと思ってます。

こんな記事を書いといてアレですが、個人がやる事を明確化せず、各領域が得意なプレイヤーをチームに集め、協力してホリスティック(全体的)な開発が行えれば良いと思ってます。そしてそのような文化が広まってほしいと思います。(スクラムにもSwarmingという考え方がありますがこれはまた別の機会に…)

さてさて、どんな名前で呼ばれるにせよ、我々の仕事は常に人間を中心に行動し、組織のサイロを越境してモノとコトをデザインするデザインシンカーですからね!壁をなくす側が壁を作るなんて本末転倒ですよね。

さぁ、いよいよ壁は無くなるぞ!
デザインはみんなのものだよ!    

↓この記事を書くにあたり参考にした書籍や記事  

This Is Service Design Doing: Applying Service Design Thinking in the Real World
https://www.amazon.co.jp/dp/1491927186/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_OiOREbE65QA

The Design of Everyday Things: Revised and Expanded Edition (English Edition)
https://www.amazon.co.jp/dp/B06XCCZJ4L/ref=cm_sw_r_cp_api_i_OkOREb0KGB5ZF

UX vs Service Design: What’s The Difference?
https://uxplanet.org/ux-vs-service-design-whats-the-difference-2071fa03c947

Service Design and UX Design: What’s the Difference?
https://trydesignlab.com/blog/service-design-ux-design-what-is-the-difference/

Web Designing 2018年6月号[雑誌] 
https://www.amazon.co.jp/dp/B07BF72NZZ/ref=cm_sw_r_cp_api_i_1lOREb5WSAA37

読んでいただいてありがとうございました。  

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