【ボンボンショコラ深掘り3】さわ農園安部さんの真っ赤なビーツ
dari Kのバレンタインの新作「リボーンボンボンショコラ」は、不揃いというだけで規格外とされてしまう国産の野菜や果物の再生「リボーン(Reborn)」をテーマとしたチョコレート。
このnoteでは、チョコレートに関わるみなさんの想いや背景を深掘りしてお伝えします。第一回のみかんと第二回のほうれん草に引き続き、第三回は真っ赤なビーツです。日本ではあまり馴染みがありませんが、見た目は「かぶ」に似た、ロシア料理のボルシチには欠かせない野菜です。
今回のチョコレートの味わいにも、この、大地の甘みが感じられるビーツを入れることで、甘みが自然と引き立ちました。
脱サラし、夫婦で農業の道へ
今回は、大分県大分市でビーツを栽培する若手農家、安部さんご夫妻にお話を伺いました。妻・紗和子さんが農業を始めたのは2017年。初任地の大分で出会った夫と結婚し「せっかく田舎で過ごすんやったら、幼い頃からの夢を叶えたい。」と、住宅メーカーの仕事を辞めて農業を始めました。
2020年からは夫と共に農地をさらに拡大、今ではじゃがいもや、玉ねぎ、ニンニク、春菊など他品目を栽培しています。
栄養価の高い野菜作りのために、農薬も化学肥料も使わない
「農薬を使わないというリスクをとっても、出来上がった野菜がそれ以上に美味くて栄養価が高いんです。農薬を使わなくても、肥料や水のやり方を工夫すれば、虫がつきにくくもできるんですよ。」
肥料には、ホームセンターで買えるものだけではなく、独自のルートで八女から仕入れた豚糞など、有機JASで認定が出るような、自然の力を利用した肥料にこだわっています。
現在、安部さんが育てるビーツは、5畝分。当初は、ホテルやカフェの料理に使ってもらうという目的で育て始めました。
ビーツを、チョコレートに混ぜ込んで使うパウダー状にすることになったきっかけは、パウダー加工を営む應和(おうわ)さんとの出会い。
安部さんが、異業種交流会で出会った應和さんにビーツを育てていることを話すと「ビーツ欲しい!そういえば、赤が欲しいと思ってたんです!!」と大盛り上がり。そこからパウダーのためのビーツを育て始めました。
「應和さんから『長い目で見て付き合っていきましょう』って言われて、ありがたかったんです。」毎年、ビーツの育て方を少しずつ変えながら、試行錯誤。「初めは20Kgから。うまくいけば、次は50kg、次は300Kgって。」今では500kg以上と、徐々に収穫量が増えました。
「ビーツは特殊な野菜で、小さいのが欲しい人もいれば、大きいのが欲しい人もいて、規格はないんです。どういう使い方をするかによって、良いものが違います。サイズのよって味は大きく変わらないので、今は赤ちゃんの頭くらい、1kgほど大きくなったタイミングで収穫しています。」
現在は、育てたビーツを全量パウダーにしているという安部さん。飲食店に卸していた時は、お客様からの収穫サイズの希望が細かく、収穫時期の調整がとても難しかったと話します。パウダーであればサイズに細かい指定はなく、収穫のタイミングを見極めるという負担が減りました。
実験を繰り返してたどり着いた、血のような「赤」
お二人の作るビーツの特徴は、その真っ赤な色。
秋に植えて春に収穫するパターン、春に植えて夏に収穫するパターンと数年間試しながら、秋に植え、越冬させたビーツの方が赤い色素が出ることがわかりました。その過程で畑も場所を変えながら、一番ビーツに適した土壌を見つけ、肥料も相性の良いもの選びました。エビやカニの甲羅を砕いた自然の肥料で、土壌にミネラルや鉄を含ませながら栽培しています。
リボーン ボンボン ショコラ -Reborn- Bonbon de Chocolat
安部さんの作った真っ赤なビーツを使用したボンボンショコラは、野菜が主役。素材そのものの味わいを大切に、香料や着色料を一切使わず仕上げました。(自然の色がそのまま出るため、実は、試作の商品と本番品では微妙に色味が異なります。)
ボンボンショコラの断面は、ホワイトチョコレートに混ぜ込んだビーツの自然なピンク色。チョコレートの味わいはもちろん、農家さんこだわりのビーツの赤を生かした鮮やかな見た目も、ぜひお楽しみください。
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