【ボンボンショコラ深掘り1】はじまりは、物物交換?野本さんの愛媛県産温州みかん
こんにちは。dari K 広報の菊です。
新連載「ボンボンショコラ深掘り」が始まりました!
バレンタインの新作「リボーンボンボンショコラ」は、不揃いというだけで規格外とされてしまう国産の野菜・果物の再生「リボーン(Reborn)」をテーマとした、ひと口サイズのチョコレート。
フレーバーやコンセプトをお伝えすることだけにとどまらず、このnoteを通して、チョコレート作りを支えてくださるみなさんの想いや背景をお伝えし、チョコレートを大切な方へ手渡す瞬間や、お召し上がりいただく瞬間が、より特別なものになって欲しい。——そんな思いで背景を深掘りしてご紹介します。
第一回目は、上品な甘さのミルクチョコレートに、みかんピールの爽やかさが広がる華やかな味わいの「みかん」。愛媛県の南部、海辺の急斜面にみかんの段々畑が広がる八幡浜市(やわたはまし)でみかんを育てる野本さんにお話を伺いました。
ここのみかんは、甘みが全然違います。
「いわゆる『4つの太陽』が、美味しいみかんの秘密。上から降り注ぐ太陽光と、白い石垣や海、地面からの反射、この4つの太陽が美味しいみかんを作るんです。特にこのエリアは農地の傾斜がキツく、機械化が難しいんです、通るのも体を斜めにして通らないといけない畑もあるくらい。でもその分、光も当たるし、地面の土が浅く土壌の水はけが良いため、収穫時期には甘味がギュッと凝縮されるんです。」
野本さんは、この地域の数少ない女性農家として、みかんを使った商品開発にも取り組んでいます。今回のチョコレートに混ぜ込んで使う「みかんパウダー」もご自身で開発したもの。JAへ出荷した後、二級品の温州みかんの中から特に皮が綺麗で赤いものを選別し、パウダーに加工します。
物物交換しませんか?からスタートしたB型作業所との取り組み
「パウダーに挑戦した1年目は、全部自分1人で洗浄や皮剥きやっていました。パウダーにはみかんの皮だけを使うけど、中身がすぐに腐ってしまって、もったいない。本末転倒というか、皮をとって中身の美味しいところを腐らせるって…やっぱみかん農家として、続けていくべきか疑問が生まれました。1人ではむずかしいなあと思っているところに、市内で障がい者の就労支援をしている「浜っ子作業所」の方と出会い、作業所でみかんを買ってみかんゼリーを作っていることを知りました。さらに、作業所には大型の乾燥機があるというので、物物交換しませんか?って言って、この取り組みが始まったんです。私からミカンを無償で提供し、ゼリーに使ってもらう代わりに、皮の乾燥までの作業をお願いできることになり、とても助かっています。」
みかん色のチョコレートが作りたい!目指すのは自然な甘み
「みかんパウダー作りのきっかけは、2017年の年末。JA主催の加工品展に出品してみないかというお話をいただいたことでした。みかんの加工品といえば、ジュースやマーマレード。でも、今あるものは作りたくない。他にはないものを作りたいという思いがありました。
好きなお菓子はチョコレート、そこから『みかん色のチョコレート作りたい!』とすぐに思い浮かんで、早速やってみました。この時に作り始めたのがホワイトチョコレートに混ぜ込んで使用する「みかんパウダー」です。
実際にパウダーを作ってみると、いろんな人からアドバイスがありました。もっと酸味があった方がいい、もっとみかんピールの砂糖漬けを刻んで入れたほうがいい、もっとクリーム系にしたらいい…
でも、『私農家だからそこまでできない!』って言って笑
結局、農家が作るんだから、自然の甘みを利用したみかんパウダーがいいんじゃないかな〜って、私はそれでやってるんです。
チョコレートはテンパリングが難しくて、本当はもっとレベルの高いチョコレートもできたらいいな〜と思っていました。とはいえ、ブランディングや販路も含めて考えると、私1人ではできないと思っているところに、dari Kさんに声をかけてもらいました。
夢が広がる野本さんの取り組み
ここらへん(八幡浜)は柑橘がたくさんあっても、柑橘をスイーツとして食べられるところも少ないんです。将来は、パティシエの勉強をしている娘が帰って来れるように、基盤を作りの経営の勉強をやったり、色々と準備を進めています。いつか、スイーツを食べれるお店や私のようなシングルマザーの方が働ける場も作れたらと思っています。
リボーン ボンボン ショコラ -Reborn- Bonbon de Chocolatは、贈り物を通した人と人とのつながりをイメージする「リボン(Ribbon)」と、素材が生まれ変わり、チョコレートとしてきらめいてゆくという想いを込めた「リボーン(Reborn)」の、2つをテーマとしています。
野本さんの作った甘いみかんの皮を使ったボンボンショコラ。ご自身用にも誰かへの贈り物にも。チョコレートがつなぐ、心あたたまる時間をぜひお楽しみください。
連載第二回 ほうれん草はこちら
連載第三回 ビーツはこちら