最後の一葉

熟し過ぎて黄色くなったゴーヤが
枝にぶら下がっている
このまま腐って落ちるのは不憫だな
しかし今の私にそれを収穫しに行く力はない
病床に縛り付けられて動かせるのは目だけだから
最後の一葉という物語があったな
木に残った一枚の葉っぱが散るのと
自分の命が尽きるのがどちらが先だろうと
想いにふける病気の少女
小学生ながらとても切なくて涙ぐんだのを覚えてる
将来自分がそっち側に回るとは思いもしなかったが
生きていてごめんなさい
一日に何度も繰り返す言葉
私は誰に謝っているんだろう
邪悪なものに寿命をもらっていても
すべてをかなぐり捨てたくなる
入院したとき死にたいとわめき散らす私に
神様に生かされてるんだからそんなことを言っては駄目よと
私が最も憎んでいるのが神であることを知らない看護師に
言われてベッドから転げて笑ったら
鎮静剤を打たれて眠らされたっけ
足のない犬盲目の猫心の壊れた人間
哀れなのはどれですか
ようやく起き上がれるようになって外を見ると
腐ったゴーヤが土に還りかけていた
助けてあげられなかったな
一緒に土に還れるのなら
神をも許そう
人生を愛そう
枯葉を見つめてた少女の身代わりになら
いくらでもなれる

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