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映画にサブタイトルを勝手につける 映画コラムvol.8

先日、“たかが世界の終わり“という映画を
久しく行かない近所のビデオ店でレンタルした。

たかが世界の終わり

とてつもなく暗い雰囲気を醸し出したタイトルだ。

案の定、内容も酷く暗く、娯楽大作のような
わかり易い結末とはいかなかった。
正直いうと、途中までよく分からんかった。

主人公のルイは12年振りに実家へ帰省する。
伝えたい事があって実家に帰って来たのだけれど、この家族、母や兄、妹と義姉の4人が異常に喧嘩をするのだ。

喧嘩、喧嘩、仲直り、かと思ったらまた喧嘩。

家族の会話、ただそれだけの内容。
この映画はそれをずっと繰り返す。

実はルイ、死期が近い。伝えたい話しというのはこの事だ。
それで久しぶりに家族と会ってみると、喧嘩がおっぱじまる。

最悪だ。

激しい喧嘩を繰り返す、親、兄妹たち。
なんだってこんなに喧嘩するのか、
映画の終盤にさしかかるまでわたしは訳が分からなかった。

私は映画作品を視聴中に、話しの筋が分からなくなると、
タイトルを頭の中で思い浮かべるようにする。
物語のヒントはいつもタイトルにあるからだ。

『たかが世界の終わり』

つまりはたかが死、と言っている。

おいおい、とてつもなく悲観したタイトルだな。
その死を伝えに来たんだろ君は。

伝えたいのに口論ばかりで伝えられない。
口論でルイに話しをさせる隙を与えない家族。


ちょと待てよ。

ここでようやく、なぜ喧嘩ばかりするのかが理解できる。映画はすでに
クライマックス中。


私はやっと気がついた。
ルイの話しを聴きたくないのだ。

要するに、ルイの家族は彼の死が迫っている事を知っていて、
それを受け入れられず、彼の告白を遮るように会話する。
無理に会話を続けようとするから喧嘩に発展するのだ。


なんて遠回しな家族愛なんだ…。

タイトルも遠回し過ぎやしないか。
たかがって、若干いじけてる感じもするし。

そこで、わたしは考えた。
わかり易いサブタイトルを付けよう。

ルイはさよならを言いに帰郷した。
だけど、家族は彼を想うが故に、
さよならを聴きたくなかった。

“さよならなんて言わないで“


こんなサブタイトルどうだろう。

ちょっとエモ過ぎたか。

たかが世界の終わり  “さよならなんて言わないで“

これがこの映画のタイトルの横についていたら、
喧嘩ばかりの会話劇を
最初から最後まで楽しめたかもしれない。

と言いながら、こんな妄想サブタイトルを付けてる時点で
十分かそれ以上に作品を楽しんでしまっている自分だ。

さすが、カンヌ国際映画祭グランプリを獲得しただけの根拠がある
味わい深いの映画だった。




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