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次世代NEMブロックチェーン、Symbolに迫る(5) ~機能編 その3~

このシリーズでは、NEMを簡単に振り返ると共に、NEMの次期バージョンのSymbolの特徴、Symbolのローンチまでの流れ、そしてSymbolがどのように活用されていくのかをなるべく分かりやすく紹介していきます。

今回は、既にNEMに備わっている機能がSymbolによってどのように強化されていくのか紹介していきます。

マルチシグアカウントの階層化

NEMのマルチシグアカウントは1階層のみの設定ですが、Symbolでは最大3階層までマルチシグを設定できるようになりました。

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これにより上記のような社内のワークフローをマルチシグアカウントを用いて実現することもできます。

モザイクの変更点

モザイクはNEMにも備わっているトークンの発行・流通を担う機能ですが、Symbolになるにあたり、いくつかの変更が加わっています。

モザイクの生成方法の変更

NEMではモザイクを生成するには、最初にネームスペースを作成し、ネームスペースにモザイクをぶら下げていたため、必ずネームスペースを作成する必要がありましたが、Symbolではモザイクを作成する際に、ネームスペースを作成する必要がなくなりました。

モザイクの有効期限設定・永続化

NEMではモザイクの有効期限は、ネームスペースの有効期限に依存していましたが、Symbolではネームスペースとは独立して有効期限を定めます。

モザイクの有効期限は、ブロック数で設定しますが、Symbolネットワークが続く限り永続して存在し続けるモザイクを作成することも可能となりました。

モザイク制限機能の追加

モザイク制限機能を使うと、特定の条件を満たしたアカウントのみ、そのモザイクの取引ができるように制限を加えることができるようになります。

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上記は農家が作成したじゃがいもモザイクの制限例ですが、この例ではCAN_BUY = 0のAliceはモザイクを受け取ることができませんが、CAN_BUY = 1のBobはモザイクを受け取ることができます。ただし、BobがAliceにモザイクを送ることはできません。

Levyモザイクの見送り

モザイクの永続化やモザイク制限の仕様が追加されていった一方、NEMで備わっていたLevy(手数料徴収)の機能は、説得力があるユースケースがないとして採用が見送られました。

ネームスペースの変更点

モザイク同様、NEMに備わっているネームスペースの機能にもいくつかの変更が加えられました。

有効期限の設定方法の変更

NEMでは有効期限が一律1年(延長可)となっていましたが、Symbolでは有効期限をブロック数で指定するようになりました。テストネットでは30日相当のブロック数から1年相当のブロック数の範囲で有効期限を定めることが可能です。

有効期限を延長することはできますが、モザイクと違い永続化の指定をすることはできません。

ネームスペースとモザイクの紐付け

先に書いた通り、Symbolではモザイクをネームスペースとは独立して取得することが可能ですが、その際、モザイクにはランダムなIDが割り振られます。

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もちろん、IDのまま取引をしたり、履歴を参照することは可能ですが、一目ではなんのモザイクかを把握することが困難です。

Symbolでは自分が取得したモザイクにネームスペースを紐付けることができ、それにより何のモザイクを把握することが可能となります。

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ネームスペースとアドレスの紐付け

アドレスについても同様に、自分が保有するネームスペースを任意のアドレスに紐付けることができるようになります。今まではルートネームスペースとそのオーナーアカウントのアドレスしか結びつけられませんでしたが、Symbolではより柔軟に紐付けることができるようになりました。

まとめ

今回は、現行のNEMに備わっている機能がSymbolでどのように強化されていくのかを紹介しました。

マルチシグアカウントの階層化やモザイクの永続化、ネームスペースの紐付け方法の変更など既存の機能であるモザイクやネームスペースがより使いやすく変更されています。

次回は、機能編の完結編としてSymbolの新機能であるアカウント制限やメタデータを紹介します。

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